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凍った瞳

作者: 言紬 現

”そこ”に見えるのは…絶望?それとも…


目を開けた。目が冷め、凍った

驚きを隠せないまま凍った自分の瞳を視た

なんだ…コレは?

鏡越しに映る自分の瞳。顔。

凍った瞳。

不健康そうな、目の下のクマ。

何も言いたくない

そう言わんばかりにキュッと結ばれた口

あぁ、思い出した…コレは自分だ

何も言葉を紡げない口

寝不足のおかげでできた目の下のクマ

そして、何もかもを見たくない。

うんざりして。挫折して。絶望して。

そうして完成した…凍った瞳

少し外を見た。

雪だ。

そんな天気だからか、他人は見えない。

少し…歩いてみよう。


雪の上を歩くとサクッサクッという足音と

1秒前の自分が作った足跡

なんだか新鮮だ。

たまには外もいいかもな

そんなことを思って少しソラを見上げた

曇っている。

なんだか、懐かしい。

懐かしいなんて言葉じゃ表せない

既視感、デジャヴ。

そんな言葉のほうが当てはまるのだろう。

頭を掻きむしる。

やっぱり、外になんて出なければよかった。

いいことなんて、起きやしない

変われるなんて、あるわけ無い

何かを期待してしまった自分が恥ずかしい。

帰ろうとして、後ろを振り返ると

私と同じような瞳の子供が、

私の足跡を追いかけて歩いていた。

何か声をかけたほうが良いのか?

そう思って口を開こうとするが、

やっぱり言葉は紡げない。

口から漏れるのは、うめき声。

子供の方も、じーっとこっちを見ているだけで、何も話さない。

凍った瞳で、何かを訴えているようだ。

だが、一向に子供の意図はわからず

頭を掻きむしり、歩き始めた。

子供はまた、私の足跡を追いかけて来ている

私のほうが足も大きいし、歩幅も大きい。

しかし何くわぬ顔で、ヒョイヒョイっと付いてくる子供。

いい加減ついてこないで欲しい。

後ろを見るのを止め、早足で歩く。

少し先で振り返ると…

凍った瞳は同じまま

さっきより少し成長した子供。

意味がわからない。

何が起こった?

怖くなって走り出す。

しばらく走るが、すぐに体力の限界が来て

立ち止まる。

後ろからは、まだ足音が近づいてくる。

怖くて、恐ろしくて、後ろを見れない。

フッと、肩に手が当たる。

サーッと血の気が引いていく。

恐る恐る振り返ると、そこにいたのは。

自分だった。

さっき鏡で見た、自分。

あの瞳。

あのクマ。

あの口。

すべてが、自分。

でも、おかしい。今ここに立ってる私は

一体なに?

私の前にいる、この人は何?

わからない。

考えたって、わかるわけない。

そんな答えをだし、私は改めて自分を見る。

向かいに立っている私が、少しづつ歩き始めて、私を追い越す。

後ろから見ていると。

歳を取って、凍った瞳が少し溶けてとても楽しそうな自分。

未来の自分がいた。

そうか。

このままじゃ、だめなんだ。

少しだけ。

前を向いて歩いてみよう。

お読みいただきありがとうございます。

次回作もよろしくお願いします。

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