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なろうっぽい小説

良心をどこに置くべきか

作者: 伽藍

聖女であるピンク髪の男爵家庶子のご令嬢が婚約者を持つ第一王子を誑かして偽聖女として断罪されて処刑された、そのあとのお話。

 ふっと、少女は伏せていた眼を開けた。


 花も恥じらうような、月も隠れるような、冗談みたいに美しい少女だった。

 顔を上げれば、さらりと桃色の髪が流れる。視線を上げれば、真夏みたいに深い空色が映えた。


 そうして少女は、眼の前の女性と相対した。


 こちらも現実ではないみたいに美しい女性だった。緑色みたいに美しい黒髪と、それよりも更に深い夜の瞳が少女を見返した。


 女性が微笑む。作りものみたいに美しい笑みだった。


「ご機嫌よう。お疲れ様だね、聖女様」


 聖女様、と女性は少女を呼んだ。


 少女は少しだけ眉を寄せた。

 少女にとって、聖女というのは呪いのような呼び名だった。その呼び名のせいで、少女の人生は何もかも滅茶苦茶になってしまったから。


 だから、少女は名前を名乗った。


「シャーリーとお呼びください、……えぇと……?」


 少女シャーリーは女性の名前を呼びかねて、口ごもった。その様子に気づかないわけはないのに、女性に気にした様子はなかった。


「では、シャーリー。現世でのお役目、まこと大儀だったね。尊いお方より、褒美として次の命の希望を聞くように奉じられている」

「次の、命……?」


 言われて、シャーリーは困惑した。それから、思い出す。

 そうだ、自分は偽聖女として処刑されたのだった。


「わたしは、……わたしは、死んだのですね」

「そうだね」


 憐れむ様子もなく、女性は頷いた。


「あなたは聖女という身分を偽った大罪人として処刑された。それが地上に生きる人びとの選択だった。尊いお方は人びとの選択を見届けた。だから、あなたのお役目はもう終わりだ」


 そう、そうだ。シャーリーは処刑されたのだ。

 シャーリーはとある王国のとある男爵家の庶子だった、らしい。実母はとうに喪っていて施設で育ったから、その触れ込みが本当だったかは知らない。ただ、そう言われて強引に引き取られただけだ。


 シャーリーは、聖女だった。神から名指しされた聖女だった。だから、十五の歳になって急に、男爵家に引き取られたのだ。


 それからのことは、思い出したくもない。


 強引に第二王子の婚約者にさせられるし、だというのに第二王子は平民出身のシャーリーが気に入らないらしくて幼馴染みだという公爵令嬢を近くに置いていた。聖女の立場を保証するはずの第二王子がそんな態度なものだから、王立学園に集まる貴族たちからの扱いも酷いものだった。


 もっと悪かったのは、別の公爵家のご令嬢と婚約しているはずの王太子である第一王子がシャーリーに興味を持ったことだった。やんわりと拒んでも全く伝わらないし、婚約者である公爵令嬢には蛇蝎のごとく嫌われた。

 男好きだと噂されて、当然のように友人なんて一人もできなかった。


 挙げ句に、偽聖女だなんだと騒ぎ立てられてあっさりと処刑されたのだ。シャーリーが自分のことを聖女だなんて言い始めたわけではないのに。

 第二王子は、真の聖女である幼馴染みの公爵令嬢と婚約するらしい。聞いたときには正直なところ、勝手にしてくれと思ったものだ。


「それで、どうする? あなたは神に気に入られる美しい魂を持ち、無事にお役目を果たした。望めば精霊として迎え入れることもできるし、珍しいところでは幼い頃にお世話になったとあるお優しい夫妻のもとで飼い猫になりたいだなんて望んだ聖女もいたよ」


 最悪な人生を思い返していたシャーリーに全く斟酌することなく、女性はさっさと話を進めていた。


「あの、あの! ……ちょっと、お待ち頂けますか」


 どうにか口を挟んだシャーリーに、望まれた通りに女性は口を噤んだ。不思議そうに首を傾げている表情まで、まるで作りもののお人形みたいに美しかった。

 シャーリーは二度、呼吸をした。


「わたしは、偽聖女だと言われて処刑されたのですけれど」

「そうだね」


 女性はあっさりと頷いた。


「わたしは偽聖女ではなく、本物の聖女だったということでしょうか」

「そうだね」


 やはり、女性はあっさりと頷いた。思うところはないらしい。


「わたしに、……わたしに、聖女と言われるような、特別な力はなかったのですけれど」


 シャーリーは言った。


 そう、聖女だなんだと囃し立てられたわりに、シャーリーに特別な力はなかった。

 他の聖女たちが持っているような、他人の傷を癒やす力も、魔物を退ける力も、強い結界を張る力も、植物を生長させる力もなかった。ただ、他よりもほんの少しだけ魔法が得意だっただけだ。


 だから、シャーリーは自分が偽聖女だなんだと言われても、そうだったのかとしか思えなかったのだ。


 そんなシャーリーの懊悩に気づいたのか気づいていないのか、女性は不思議そうに首を傾げただけだった。


「誰が言ったの?」

「え、……はい?」

「だから、誰が言ったの? 他人の傷を癒やしたり、魔物を退けたりするのが聖女だなんて、誰が言ったの?」


 思いがけないことを言われて、シャーリーは瞬いた。


「それは、教会の方々や、王族や貴族の方々が、そう仰っていたので」

「ふうん、そう」


 自分から訊いたというのに、女性は興味なさげに頷いた。


「まあ、長い時間の中で言葉の意味が人びとに都合良く変わっていくなんてことは、珍しくもないからね」


 それから少しだけ、女性は笑った。初めて感情が見えた気がした。

 嘲りのように見えた。


「特に聖女だなんて言葉は、ほら、……ちょっと、響きがね、『それっぽい』だろう。きっと、教会や王家が権威として利用するのにちょうど良かったんだね。権力者たちが便利に言葉を使ううちに、意味がどんどんと書き換えられて、神が授けたはずの元の意味を失ってしまったんだろう」


 それから女性は、シャーリーを見た。


「聖女というのはね、本当に昔は、神の意志を伝えるものを呼んだんだ。聖女というのは神の遣いだったんだ。神の意志を汲み、神の用向きを言付かるもの」


 思い出すように視線を彷徨わせて、どこか得心した顔をする。


「その流れの中で、特別な力を持つ聖女というのも偶には生まれたかも知れないね。正確にいえば因果が逆で、『聖女に力を持たせた』のではなくて『もともと力を持つものに聖女の役目を与えた』のだけれど。たとえば疫病が流行る時代には病を癒やす力を持つ聖女を、魔物が激増する時代には魔物を弱らせる力を持つ聖女を遣わせたこともあったかも知れない。まあ、尊いお方がほんの少し力を強めてあげるくらいはしたかも知れないけれど。聖女の本質というのは、そこではなかったのにね。そうしているうちに、きっと、人びとにとって都合の良い能力を持つものを聖女と持て囃すようになったんだろう。ほら、だって、そのほうが『それっぽい』だろう。『それっぽい』ものに、人間ってのは弱いものだからね」


 大切な話をしているはずなのに、女性の声音はどこまでも軽かった。


「人間というのは、どうにも神というのを人間にとって都合の良い存在だと思い込みたいようだね」


 それから仕切り直すようにして、女性は声の調子を切り替えた。


「人間の認識はともかく、尊いお方々の認識はいまも変わらない。あなたが神に選ばれた以上は、特別な力など何も持たなくてもあなたが聖女だよ、シャーリー」


 言い切られて、シャーリーは複雑な顔をした。シャーリーにとって聖女の地位は固執するようなものではなく、今さら保証されても何の意味もないものだからだ。

 そもそも、もう死んでしまっているのだし。


「でもわたし、何もしていないわ。ただ状況に翻弄されて、何もできないまま処刑されただけ」

「いいや、立派にお役目を果たしていたとも。だって、ずっと見ていたからね。人間があなたにどんな感情を向けるかを、人間があなたをどう語るかを、人間があなたをどう扱うかを。人間はあなたを軽んじ、疎んじ、最終的に偽物として処刑した。それが答えだ。あなたは立派にお役目を果たしたとも。尊いお方々もお喜びだ」


 聞いていて、だんだんシャーリーは腹が立ってきた。

 反射的に怒りの声を向けそうになって、シャーリーは必死に堪えた。このお人形みたいな女性に何を言ったって、空気を殴りつけるみたいに意味がない気がしたのだ。

 けれど感情が昂ぶることは抑えられなくて、シャーリーは女性を睨みつけた。


「どうして、わたしが聖女だったんですか」

「あなたが美しかったから」


 女性は軽やかに言い切った。うふふ、と笑う。


「わたくしたちのようなものはね、美しいものが大好きなんだ」


 わたくしたち、と女性は言った。あなたは誰だ、とシャーリーは問おうとして、言葉が出てこなかった。


「……どうして、聖女が必要だったんですか」


 おや、と女性は少しだけ意外そうな顔をした。シャーリーがそう問うてくるとは思っていなかったのかも知れない。

 どこまでも馬鹿にして、とまた腹立たしく思う。


「それはね、この世界、正確にいえばあなたたち人間の住まう地上世界が滅びかけているからだよ」


 あっさりと、実にあっさりと、女性は教えた。


「四百年前に、とある女魔王が弑されたのは知っているかい」

「……えぇ、歴史の授業で習いました。人間たちを苦しめていた悪逆非道の女魔王だったって」


 いまいち信じていない口調でシャーリーが答えれば、女性が褒めるように唇の端を吊り上げた。


「あれは単なる人間から魔族国への侵略戦争の一環だったんだけれど、マそれは置いておこう。問題は、あの女魔王がただの魔族ではなかったことだ」


 シャーリーが首を傾げれば、女性が答えた。子どもに教えるような優しい声だった。


「あの女魔王はね、《星》だった。この世界がこの世界の人びとを守り、導き、ときに滅ぼすこの世界の意志の一つ。呼び方はいろいろとあるからいまは置いておくけれど、あの女魔王はそのうちの一つで、《星》を司るものだった」


 慈しむように、女性は言った。


「星ってのが何か、君は知っているかい? 星ってのはね、未来を示すものだ。未来を見通すものだ。星というのは、この世界の未来そのものだ。だから実のところ、あの女魔王が弑された四百年前から占星術というのは意味を失ってしまって、いまじゃ子どもの占いくらいの意味しか持たない嘘っぱちなんだよね」


 いまでも占星術師を名乗るものはそれなりにいるようだけれど、と独りごちて。


「四百年前に女魔王を討ち滅ぼした人間たちは、そりゃあ有頂天だっただろう。あの女魔王は、他の魔族の王に比べても飛びきりだった。その強大な力を持つ女魔王を人間の手で殺したのだからね。やり方は、女魔王のまだほんの幼い子どもを人質に取るだなんて薄汚いものだったとしてもさ。そしてその勢いで、人間たちは残った魔族たちを次々と殺し、他の種族たちも虐げ、滅ぼしていった。いまの世界じゃ、人間以外の人型種族なんてほとんど残っていないだろう」


 一つ息をついてから、そっと笑う。


「まあ人間たちは魔族や他の人型種族たちに喧嘩を売っていたつもりで、実際にはこの世界の意志そのものに特大の喧嘩を売っていたのだけれどさ」


 うーん、と女性は首を傾げた。どこまでも軽い、いまいち状況を理解していないような調子だった。

 シャーリーだって、このような状況でなければ笑い飛ばしてしまうような話だった。


「この世界は怒っているよ」


 女性は言った。


「この世界は怒っているよ。ずっと、ずーっとね。だからこの四百年、じわじわと地上世界は壊れ続けている。だーれも気づいていないのかも知れないけれど。あの女魔王が亡くなってから四百年、本来であればとっくに次の《星》が生まれたっておかしくはないのに一向に生まれてこないのだから、怒りは解けていないのだろうね。きっと、あのとき女魔王を討ち滅ぼしたものたちの血を引く子孫の、その最後の一人までこの世界から滅ばない限りは、怒りは解けないのだろうよ」


 そんなのは無理だ、とは話を聞いただけのシャーリーにも容易に想像ができた。四百年前の人間たちの祖先だなんて追いきれるものではないし、下手をすればもう世界中に散っているかも知れない。

 それこそ、人類が丸ごと滅びでもしない限りは。


「けれどね、それでも、やっぱり尊いお方々は人間が可愛いんだな。だから、蜘蛛の糸を垂らしてやることにした」


 つい、と。女性がシャーリーを指さした。

 白魚のように美しい指先をしばし見つめてから、シャーリーははたと我に返った。


「わ、わたし……?」

「うん」


 なんでもないことのように、女性は頷いた。


「尊いお方々は、この数十年で地上世界に十二人の聖女を遣わせた。十二人の女性たちを名指しして、彼女らを我らと重ねて崇めよと、命を下ろした。そのうちの一人が君だね。それぞれ別の国に一人ずつ、十二人。王女が一人、高位貴族のご令嬢が三人、低位貴族のご令嬢があなたを含めて六人、平民のお嬢さんが二人」


 にこりと、女性は笑った。お人形みたいな笑みだった。


「あなたたちには神のご加護があるから、事故や病は避けて通る。だから死ぬとしたら、自死か他殺だけ。あなたの前に、九人が死んだ。自死が二人、刑死が二人、他殺が五人。残りの二人のうち一人は伯爵家のご令嬢で元気にしているけれど、もう一人は子爵家のご令嬢で根も葉もない噂を立てられて国から逃げ出して、いまじゃ他国の下町でパン屋をしているよ。彼女にとってはこれはこれで良かったのかな。けれどね、十二人の中でまともに大切にされているのがたった一人じゃあ、もう尊いお方にもどうにもならない」


 そこで女性は、ちょっとだけ表情を崩した。

 困ったような顔だった。その顔すら、お人形のように作りものじみていた。


「実のところ、今回聖女として遣わされたのはあなたも含めて全員が王家の血筋なんだ。全員が五代以内に王家の血を引いている。そもそも王族に対するほうが尊いお方がお役目やお力を分け与えやすいというのもあるし、この世界を守ろうとするのであれば王族がそうあるべきだろうと判断されていたのもあるし、王家の血筋であればそれなりに大切にされるだろうと考えられていたからなのだけれど、どうにもならなかったね。人間って血筋を大切にするものだと思っていたのだけれど、実はそうじゃなかったってことかな」


 料理をしていて調味料を入れ間違えてしまった、くらいの深刻さで、女性は言った。

 自分が王家の血筋であるということを、シャーリーは初めて知った。きっと国の貴族たちも知らなかっただろう、と思う。


「尊いお方々の慈悲を断ち切ったのは人間たちだ。地上世界は滅びる。まあ、しばらくすればまた新しい生命が生まれるし、そのうちに再び、人間たちも生まれてくるだろう。大したことではないよ」


 だから、と女性はまた、声の調子を切り替えた。


「猫になった聖女は近いうちに地上世界が滅びることも承知のうえで転生していったけれど、そんなわけで人間に生まれ変わることはオススメできないかな。すでにいろいろなところに滅びの種が蓄積しているから、これから一気に状況が悪化していくだろうし……。いちど地上をまっさらにして、次に人間が生まれてくるにはまた何百万年もかかるから、きっと待ちくたびれてしまうよ。あぁでも望むのであれば、別の世界の人間に生まれ変わることならできるよ」


 どうする? と女性は聞いた。カフェで友人にメニューでも訊くような気安さだった。


 なんだかもう疲れてしまって、シャーリーは沈黙した。それから恐る恐る、口を開く。


「一つ、お訊きしても良いでしょうか」

「うん?」

「その、ニックは……、ニックは、どうしているか判りますか。同じ施設で兄妹のように育ったのですけれど、わたしが聖女として呼ばれたときに従者としてついてきてくれて、けれど、第一王子の不興を買って……」


 ニックはシャーリーの幼馴染みで、同年代ではシャーリーが誰よりも信頼する男だった。ニックは、シャーリーに強引に迫ろうとした第一王子を身を挺して止めようとしてくれた。

 だからニックは、殺された。あっさりと、ゴミみたいに殺された。


 思いがけないことを言われたというように、女性はきょとりとして、瞬いた。それから空を仰いで、しばし沈黙して、シャーリーに視線を戻す。


「本当は普通の人間が生まれ変わるには四百年かかるのだけれど、聖女である君を守ろうとして亡くなったからね、尊いお方が融通を利かせたようだ。人間として地上に生まれ変わっているよ。シャーリー、君のことが心配だからと、同じ国の王都に転生したようだ」

「わたしも」


 女性の言葉に被せるように、シャーリーは言った。


「であれば、わたしも地上に、同じ国に、王都に、人間として。ニックが地上にいるならば、わたしも地上で生きます」


 まじまじと、女性はシャーリーを見返した。


「これから、地上の状況はどんどん悪くなるよ。水は濁り、草木は枯れるだろう。人間も動物も生まれなくなるし、きっと疫病が流行る。君が見てきたとおり、王族も貴族もあんまり良くないから国の助けも期待できない。戦争にも巻き込まれるかも知れない」

「それでも」


 ほとんど喧嘩を売るような調子で、シャーリーは言い切った。


「ニックはわたしを助けてくれました。であれば、今度はわたしが、ニックを助ける番です」

「何の力もないのに?」

「この手と足があれば、それで十分です」


 嘘だった。本音では、聖女だというのならば特別な力の一つでも授けてくれよ、と思っていた。

 それでも、嘘でも、シャーリーはそう言った。ニックの力になりたいという意志だけは、嘘ではなかったから。


 女性は、にっと笑った。現実じゃないみたいに美しい顔が、初めてお人形ではない笑みを浮かべた。


「その意気や良し。承ろう、シャーリー嬢」


 あぁそうだ、とついでのように。


「君たちの国にかは判らないけれど、わたくしも近いうちに『生まれる』からね。そのときは地上で会おうよ」


 えっ、とシャーリーは驚いた。

 思わずというように問いかけた。今度は疑問が口にできた。


「あなたは、誰なのですか」


 女性は、笑った。


「星はとうに墜ち、次の星は巡らない。いまの夜に浮かぶのは紛いものの虚ろだけ。いずれ天幕を剥がして、新たな世界が明けるだろう」


 夜の瞳が、シャーリーを射貫く。深く、深い。星のない夜だ。

 不吉みたいに美しい笑みだった。


「わたくしは、《運命》。最後に残った世界の意志。この、終わりゆく世界の、滅び去る《運命》さ」

「緑色みたいに~」というのと、「不吉みたいに~」というのは誤植じゃないです。こういう表現が好きなだけ。指摘される前に主張しておく。


テンプレの皮を被った自分が一番楽しいやつ。結局こういうお話を考えてるのがいっちばんたーのしー! ってなる。最後までお読み頂いた方は性癖にお付き合い頂きありがとうございました。


わたしも含めてですけれど、皆さん『聖女』という言葉を便利に使っているよなーって前々から思っていたので、形にしてみました。

前にもちょろっと語った気がするのですけれど、『聖女』という単語自体が便利なのですよね。よく『聖女』と対になるものとして『魔女』という言葉が使われますけれども、『聖女』という響きは体制と馴染みが良く、『魔女』という響きは反体制と馴染みが良い。だから体制の話が多い婚約破棄小説なんかにおいて、『聖女』という言葉は便利に多用されるのだと思います。そして多用されるから、なんとなく「『聖女』とは何ぞや?」という部分がふわっとしたまま使われている印象がある。わたしの眼についた範囲の話なので印象だけですけれど。なので、人間の考える『聖女』と尊いお方々の考える『聖女』が食い違っていたら、みたいなお話を思いつきました。


完全に蛇足ですけれど、『神』と『尊いお方』という言葉は似ていますが、使い分けています。どうだろう、うまくいっているか自信がない。あと、『神』や『尊いお方』と『この世界の意志』は全く別のものです。「へえー」くらいに思って頂けるとありがたいです。

この世界には意志があります。そしてこの世界は、人びとを見ています。ときに朗らかで善良な中年女性の顔をして。ときにとんでもない悪党の顔をして。ときに飛びきり優秀な王子様の顔をして。ときに家を持たない飢えた子どもの顔をして。ときに老いさらばえた寡婦の顔をして。ときにただそこらを歩いているだけの、無邪気な女学生の顔をして。だから人びとは、美しくあらねばなりません。つまりそれが、信仰ということです。やばい、怪文書になってしまった。


ひとが生まれ変わるのに四百年かかる、というのはどこかで読んだのですけれどどこで読んだのか忘れちゃいました。これも「へえー」くらいに思ってください。詳しいひと知ってたら教えてください。

いま検索してみたら研究ではひとが生まれ変わるには平均四年五か月って出てきた、、へえぇーそうなん???


良心をどこに置くべきか。久しぶりになろう小説っぽくないタイトルを使いました。良心とは信仰のことです。つまり人びとは、信仰をどこに置くべきか、ということです。


【追記20250427】

活動報告を紐付けました! 何かありましたらこちらに

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/799770/blogkey/3434019/

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いつも楽しく拝見させて頂いてます。 全部読みました。 毎回読み応えある上に、考えさせられるお話ばかりで、大好きです。 ぜひ、このまま、突き進んでください。 応援しております。
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