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84 最初の食堂でのトラブル

食事を始めてすぐに奥の席の男たちがこっちを見ているのが分かった。


「さっさと食べて、出るぞ」


英子に言う。


「えっ、なんでよ。せっかくだから、お酒を飲みましょうよ。あなたも飲めるでしょ?」


と呑気な事を言う。


「お前、追われている自覚が無いだろ?それに俺はまだ、十四歳の未成年だ。来年にならないと酒は飲めん」


「え、そんなのちゃんと守ってるの?意外とまじめなのね。私の周りでそんなの守っている人なんか居なかったわよ」


「いいから早く食え」


「はーい」


旨くもない肉野菜スープと硬い黒パンを交互に食べていると、奥の席の男たちが立ち上がってこっちに歩いてくるのが視界に見えた。


(ちっ!面倒な)


三人だ。


ちゃらけた様子の軽薄そうな若者たちだ。


多分、ただのナンパだろう。


「ねー、彼女、どっから来たの?この町は初めてかな?良かったら町の案内してあげるよ」


と言い、空いている席に断りもなく二人が掛ける。


「あー、そういうのは結構です」


英子が愛想笑いで言う。


「遠慮しなくていいよ。この町にもおもしろい場所があるんだ。その、弟さん?…は宿に返して、一緒に出掛けようよ」


かっこつけイケメン崩れの男がにやけて言う。


こんな郊外の小さな町ならイケメンとしてモテるのかもしてないが、王都ならこの程度は『その他大勢』でしかない。


英子も『スン』とした顔をしてそれ以上目を合わせない。


英子の後ろに立ったもう一人が英子の肩に手を乗せて、撫でる様に触る。


英子の首筋に鳥肌が立つのが見えた。


「おい、何を触っている。その手を離せ」


下から男を睨み上げる。


「ああ、子供はもう寝る時間だ、宿に帰んな。お前の姉ちゃんはこれから用事があるんだよ」


とその男が言う。


苛つく。


「お前は耳が聞こえないのか?その歳でもう耳が悪いなんて気の毒な話だな。それなら、もう一度だけ言ってやる。俺は『その手を離せ』と言ったんだ。どうだ、今度は聞こえたか?

聞こえたなら、さっさとその臭いケツを自分の席に持って行って、椅子の上に張り付けておけ。そうして大人しくしく仲間と三人でお互いの鼻くそでもほじり合っているのが身のためだ。身の程をわきまえろ、このどぶ臭い田舎の犬ころめ」


俺の言葉に、男たちは意表を突かれて、口をぽかんと開けていた。


次第に怒りが込み上げてきたようで、顔が赤くなってくる。


「おい、クソガキ!姉ちゃんに免じて許してやるから、とっとと消えろ!詫びはてめえの姉貴からたっぷり貰う事にしてやる!」


憎々し気に俺を睨む。


俺は食堂の中を見回す。


中で食事をしている人間は皆、関わり合いを避ける様に知らない顔をしている。


「おい、この中に地元の人間も居るだろう!こんなククズ共をお前らは放っておくのか?この町の恥だぞ!本来はお前ら周りの人間がこのクズ共を抑えるべきだろ。それともお前らは旅人みんなにこんな事をいつもしているのか?

だとしたら見下げ果てたクソ町だな。この町の人間は全員汚物以下のクズしかしないってことか?」


と大声で言うと離れた席の若者の何人かがこちらを睨んで席を立ちかける。


しかし、隣の席の年配の連れに肩を抑えられて、気まずそうにまた腰を下ろす。


「ふむ、なるほどよく分かった。つまり、こいつらは周りの人間が逆らえない厄介者と言うことか。どうせ、親父が町の顔役かなんかで、甘やかされて好き勝手に我儘に育ったのだろう。どうだ、図星か?」


三人のナンパ野郎どもに言う。


三人は怒りに全身が震えている。


鬼の様な顔で俺を睨んでいる。


「もう、謝っても許されないぞ。口が過ぎるとひどい目に会うって事を、教育してやらないとなんねえな」


「教育だ⁉お前らの様に無学な輩が誰に何を教育すると?笑わせるな。俺はちゃんとした学者から教えを乞うた人間だ。お前らのような人間未満の羽虫共から教わるようなことは、爪の先ほども無い!

いつまでも夢を見ていないで、自分たちの尻の穴のしわの数でも輪になって数えていろ。お前らの人生でお前らが出来るのは、その程度の事だけだ」


「表に出ろ!」


二人の男が席を立ち、おれの両肩を左右からつかんで引っ張り上げる。


英子の肩に手を当てていた男も俺の後ろに来て、俺の首根っこを掴んで引っ張る。


俺はそれに逆らわずに、席を立ち引きずられるように、出口に引かれていく。


席に一人で残った英子が小声で『殺さないでよ』と言っているのが聞こえた。


「ふん、死ぬか死なねえかは、このガキ次第だ。手加減はするが、ちょっとやりすぎちまうかも知れないな」


俺の首根っこを掴んだ男が英子を振り返って言った。


(馬鹿が。この女はお前らにじゃなくて、俺に言ったんだ)


しかし、その誤解を解いてやる必要は無い。こいつらがすぐに身をもって知ることになるからだ。


店の前の路上で男たちは俺を突き飛ばす。


俺と男たちの間に二メルスほどの距離が出来る。


「クソガキ、最後の情けだ。そこに地べたにはいつくばって、詫びろ。それでてめえの宿で布団でも被って一晩震えて姉ちゃんの帰りを待ってろ。てめえのせいで、てめえの姉ちゃんは酷い目に会うんだ。全部てめえのせいだ!」


「何を言っているんだこのオーク共は?ちゃんと人間の言葉を話せ。俺はオーク語は分からないんだ。それと、お前ら臭いぞ。風呂に入ったことは有るのか?ああ、文明を知らないんじゃあ、風呂も知らんか?哀れな奴らだ」


と大げさにため息をついて見せる。


「ぐあー!」


怒りに我を忘れて先頭の男が拳を大きく振りかぶって突進してきた。


(さて、どうするか?)


俺が力を振るえばこんな奴らは簡単にのせる。


しかし、俺たちは姿をくらませて逃げている身だから、あまり騒ぎを大きくしたく無い。少なくともこちらが手を出すのはまずい。こちらは一方的に被害を受けた、完全被害者と言う立場で居たい。


なら、手を出さずにこいつらを倒せればいい事になる。


(それなら、あれをやってみよう)


昔の格闘ゲームで、八極拳という中国拳法の技を使うキャラクターが居た。


そのキャラクターが手を使わず、肩で相手を弾き飛ばす技を使っていた。


『鉄山靠』(てつざんこう)とか『貼山靠』(てんざんこう)とか言われる技だ。


中々かっこいい技なので、動画再生サイトでやり方を見て公園の木でこっそり練習したことがある。震脚と言う下半身の踏み込みで体重を乗せて、肩で相手に体当たりする技だ。


相手が突っ込んで来るのに合わせてカウンターで当てると、ダメージが倍増する。


厳密にはもっとちゃんとした理屈や、やり方があるのだろうが、素人が分かるのはその程度だ。


当時、試しで公園の細い木に、全力で肩をぶつけてみて、肩の骨が折れたかと思った。


その木の横でうずくまったまま、十分以上痛みで動けなかったのを思い出す。


非力な前世俺には実現不可能な技だった。


しかし、今のムキムキボディーの俺ならあれが出来るのではないだろうか。


今なら衝撃で肩が折れてもすぐに再生できる。


本来の技の再現では無いだろうが、体重を乗せたぶちかましだけで、かなりの威力が出そうな気がする。


突っ込んで来る男に向かって半身になり腰を落とす。


そのまま右足の『震脚』で地を踏みしめ、右肩の後ろの肩甲骨の辺りで、相手のみぞおち目掛けて思い切りぶちかます。


「ひゃー、怖い」


棒読みの下手な演技で頭を下に丸める。


はた目には俺がビビッて、相手に背を向けたように見えるだろう。


肩甲骨の後ろに『ドン』という鈍い衝撃があり、相手の体が反対側に吹っ飛んで行った。三メルスも宙を舞って、背中から落下していく


(おお、飛んだ!凄い威力だ!)


感動した。


吹っ飛んだ男は、そのまま呼吸困難になって痙攣している。


「てめえ!」


ともう一人が、同じスタイルで突っ込んでくる。


「わー、たすけてー」


ドン!


吹っ飛ぶ。


「殺してやる!」


「ひー、しにたくないー」


ドン!


吹っ飛ぶ。


俺の周りには殺虫剤で死にかけたゴキブリの様なスタイルで、あお向けに手足をぴくぴくさせた男たちが転がっていた。


うん、うまくできた。


俺からは何も攻撃していない。


満足してまた、食堂に戻る。


食堂の俺の席の前では英子が食事の続きをしていた。


ほっぺたを膨らませて鬼の形相で食べている。


「おい、俺が連れ出されている間に、お前は何をしている?」


「ごはん食べてるの。だって、喧嘩が終わったらすぐに逃げるんでしょ。今食べておかないと後でお腹がすくじゃない」


と言いながらもひたすら食べ続けている。


マイペースなやつだ。


ハムスターみたいに頬を膨らませて必死に食べる姿はどう見ても『婚約破棄された悲劇のヒロイン』から遠い。どちらかと言うと、『大食い選手権』で予選突破を狙うが必ず一回戦で脱落する、『顔採用』の前座フードファイターと言った方がしっくりくる」


「逃げないからゆっくり食え。明日の駅マ荷車の予約をしてあるんだ。今日はこのまま宿に帰って寝るだけだ」


「えっそうなの?なんだ、慌てて損した。それならお酒も飲んでいい?向こうの席の人が水酒を飲んでるのを見ていたら、私も一杯飲みたくなってきちゃった。ここの食堂の水酒はちゃんと冷やしてくれるみたいよ。ほら、あの奥の店員さんが簡単な氷魔法で木器の中身を冷やしてるのが見えるでしょ」


「酒は駄目だ」


「えー、一杯だけだってば。いいじゃん」


「お前は酒中毒か?一日くらい飲まずに我慢できないのか?」


「あなた、私に厳しすぎない?」


「むしろ、赤の他人としては、優しく面倒を見すぎだと思うぞ。俺が嫌ならこの町で別れて、今後は別行動でもいいんだぞ」


「分かったわよ。そんなに意地悪言わなくてもいいでしょ」


ふてくされて英子は食事を続けた。


「あ、お前、皿の数が多いぞ。俺が外に出たあの一瞬で、追加注文したのか?」


「知らない」


「皿の数が多いんだ!」


「男が細かい事を気にするもんじゃないわよ。小さい男」


「小さいって言うな!背から何から、いろいろ小さいのは自分で分かっているんだよ!」


俺達が言い合っていると、食堂の入り口から強面で恰幅のいい中年男性が入ってきた。


男性の後ろには若い屈強な男たちが五六人従っている。


「表の騒ぎは何だ?うちの者を誰があんな目にあわせた?」


店内を見回して男が言う。


食堂の中が静まり返る。


「ああ、あいつらか?あいつらは勝手に殴りかかって来て、勝手に転んでたな。正直何がしたかったのか分からん」


強面親父を横目で見て食べ続けながら言った。


「お前は?」


「旅の者で今日この町に着いたばかりだ。明日にはよそに行く。ここで食事をしていたら、チンピラが俺の連れを連れ去ろうとしたので文句を言ったら、店の外で殴られそうになった。あんな厄介者を野放しにするな。とっとと連れて帰って、物置にでも閉じ込めておけ」


めんどくさそうに言うと、男の後ろの若手がいきり立って前に出る。


「このガキ、口に気を付けろ!誰を相手にしているのか分かっているのか!」


「誰だ?知らん。この町には着いたばかりだと言ったのが、聞こえなかったのか?」


「てめえ!」


「待て」


強面親父が若手を制する。


「あいつらをお前が一人でやったのか?」


「あいつらが勝手に転んだと説明しただろ。お前も耳が聞こえないのか?嘘だと思うならその辺の野次馬共の誰にでも聞いてみろ。大勢が見ていたから誰でも説明出来るだろ。断っておくが、俺からは一切手出しをしてないからな。

ところで、あのチンピラ共はこの町の何だ?みんなあいつらを怖がって、物が言えないみたいだったが、あの程度の貧弱な連中がなんで怖がられているんだ?あいつらの親類かなんかがこの町のごろつきの親分か何かなのか?あんなクズ共をろくに管理できないなら、この町の権力者はただのぼんくらか?」


「てめえ!」


とまた若手がいきり立つ。


「止めろと言ってんだ」


親父がまた若手を止める。


「おい、なんでわざわざ喧嘩腰の物言いをする。こっちにも面子ってものがある。ガキに舐めた事を言われたら引くに引けなくなっちまうだろ」


「おい、勘違いをするな。穏便に済まそうとしてやってるのはこっちだ。本来なら、俺の顔を見た瞬間にそっちが地べたに這いつくばって詫びるのが筋の話だ。それを、どういうつもりだ?いいか、俺はムカついているんだ。筋を通さない田舎者に愛想を振りまいて、敬意を払ってやる必要があると思うか?」


「ちょっちょっ、ガイ君さすがに言い過ぎ。そのへんでやめようね」


強面親父の周りの男たちの怒りゲージが限界近くなっているのを見て、英子が口をはさんできた。


「ねえ、おじさーん。私たちはここに来たばかりで、ただ食事を食べていただけなの。それで、あの三人が絡んできて、体を触わってきて、本当に迷惑だったのよ。私たちは被害者なんだってば。ホントよ」


「やかましい!舐めやがって!」


先ほどからいきり立っている手前の若手が俺の肩に手をかける。


「おい、この頭の悪いぼんくらを、ひっこめろ。今ならまだ無かった事にできるぞ。ここから先はどうなっても知らんぞ。今引かないならお前らはただの悪党ってことになる。そう判断するぞ。悪党には何をしてもいいよな。俺は悪党の健康に気を遣ってやれるような親切な人間じゃあないんだ。

言っている意味が理解できるか?今すぐ理解した方がいいぞ。それが出来なきゃ命を縮めるぞ」


強面親父に横目で笑いかける。


俺を見下ろす強面親父の右頬がぴくぴくと痙攣している。顔が赤くなって今にも爆発しそうだが……。ゆっくりと一つ、大きく深呼吸をして、なんとか落ち着きを取り戻した様子だった。


「ああ、坊主、悪かったな。大体の話は外の連中に聞いた。だが説明も聞かずにいきなり詫びを入れる訳にもいかんだろ。それで少し話を聞かせてもらった」


「親父⁉」


周りの屈強な若者たちが、驚いて、強面親父を見る。


「おい、この旅のお二方に非はねえ。その手を放しやがれ!」


強面親父が、俺の肩を掴んだ若手の頭を、拳骨で殴りつけた。


「俺達からお前らに用事は無い。明日にはこの町を出るのか?」


「ああ、こんな町に用はない。ただの乗り継ぎだ」


「それならいい」


強面親父は俺に背を向けて店を出ようとする。


「待て」


それを呼び止める。


強面親父が迷惑そうなうんざりした顔で振りむく。


「詫びは言葉だけか?この場で食事をしている全員が不愉快な思いをしたんだ。それにどう落とし前を付けるんだ?」


「ああ、今この店にいる全員の飯をタダにする。今食べてる分だけな。追加は駄目だ。あと全員に水酒を一杯つける」


「ふん、しみったれているな。だが、まあいいだろう」


強面親父とその一行は無言で店の外に出て行った。


『遠耳』を発動して、外に出た連中の話を聞く。連中が後で仕返しに来るかもしれない。行動を把握しておかないといけない。


「親父!なんであんなガキに言われっぱなしになってるんですか⁉これじゃ町の連中に示しがつきませんよ。舐められちまう!」


「おい、てめえらの目は節穴か?」


強面親父が押し殺した小声で言う。


「ありゃあ、貴族だ。ガキも女も両方だ」


「え?あんな汚ねえなりの連中がですか?」


「あのガキの目を見たか?こっちを虫けらのように見下す目つきをしてやがった。あの目は知っている。貴族の目だ。人に命令することに慣れてやがる。あの女もだ。緊張感のない呑気な顔をしていただろ。周りが自分に従うのが当たり前だと思ってやがる。自分の身に危険が及ぶなんてかけらも心配していやがらねえ。

どこかに変装した護衛の騎士でも隠れてるかも知れねえぞ。俺は久しぶりに背筋が寒くなった。向こうが怒って身分を明かしたら、俺達は全員無礼打ちで殺されてたところだ。本当にやばかった。

うちの馬鹿息子め、なんて奴に喧嘩を売ってくれたんだ。あの馬鹿どもは、もう一切好き勝手させねえ。こっぴどくしごいてやる。お前らもそのつもりで居ろ。分かったな」


「へい、分かりました親父!」


話を盗み聞きしていたらいい感じで、誤解してくれていた。


強気に出て見るもんだ。


ただ、見る者が見れば、俺も英子も一般市民には見えないらしいと分かった。


旅の今後が少し心配になってきた。


「ふっふふふ、これで飲んでもいいわよね。水酒一杯無料なんだから」


英子は能天気な顔でうきうきしている。


「仕方ないな…」


ここは折れておく。


「あ、貴方は未成年だから飲めないわよね。それならあなたの分も、私が飲んでいいってことよね」


「いや、冷えている水酒なら一度俺も飲んでみたい」


「駄目、駄目、だーめー、法律違反は駄目なんですぅー。これは没収しまーす」


食堂の女中が冷えた二杯の水酒を木のジョッキでテーブルに置いていった。その二杯を英子がすかさず自分の前に抱え込む。


「それが無料になったのは俺の手柄だぞ!」


「最初に絡まれたのは私だから、私の手柄よ!」


「お前!ふざけんなよ!俺にどんだけ、ただ働きさせる気だ!」


「あんたが、最初にお金を要らないって言ったんじゃない」


「それはそれ、これはこれだ!」


「はい、両方口付けたー」


「馬鹿、酒の中にベロを入れるな!汚いだろが!」


「私の酒を取ろうとするからよ」


「俺のだろ!」


「ちっさ!男としてちっさ!」


「だから、小さい言うなっての!」


「ほら、代わりに私の肉串を一本あげるわよ」


「あ、その皿いつ頼んだ?俺があのおっさんと一生懸命話している間か?お前はどさくさに紛れて何をやっているんだ!」


「最初からあったわよ」


「いや、無かった。無かったぞ!」


「うるさいわねー。そんなに細かい事ばっかり言ってると女の子に……って、これは言っちゃいけないんだったっけ?」


「ぐふあー!」


「ほら、泣かない、泣かない。喧嘩は強いのになんでそんなにヘタレなのよ」


「ふぐー!ふぐー!」


「ねえ、その変な泣き声、不気味だからやめない?」


「ふぐあー!」


「ああ、もう話が通じないなー」


困り顔の英子は木製ジョッキの水酒を一気にあおる。

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