66 ミーファの決断
夜が深まっていく。
大広間で女性と戯れていた貴族のおじさんたちの数が段々少なくなる。
女性と連れ立って、どこかに消えていく。
皆、個室に行ったみたいだ。
それでも、まだ大勢の人たちが、お酒を飲んでおしゃべりを楽しんでいる。
私はただじっと公爵様の帰りを待っていた。
(このまま、戻ってこなければいい…)
と思っていると、公爵様が別の若い男性と連れ立って上機嫌で戻ってきた。
少し酔っているみたいだ。
「この娘たちだ。ああ、こっちの銀髪は駄目だぞ!わたしのだ。あなたにはこっちの青髪を使わせてあげよう。どうだ。美人だろう?」
と言って若い男性の肩を何度もたたく。
若い男性は背が高く、きれいな栗色の髪で、顔は少し平坦で色が浅黒い。目がぱっちりと大きくて、南方風の顔立ちをしている。
「ええ、公爵様のオンナの趣味、素晴らしいデス。私は喜んで、この娘、貰いマス。アリガトウゴザイマス」
と慣れない覚えたての外国語を話すような口調で男性は嬉しそうに公爵様の肩を抱き寄せて揺さぶる。
「その代わり、次の『入荷』では、よろしく頼むよ」
と公爵様は念を押すように言った。
私とマリさんはその場で立ち上がって、淑女の礼をする。
「では、美しいお嬢さん、私と行きましょう」
と慣れた様子で男性はマリさんの手を取る。一緒に寄り添うように、広間から奥に続く通路の先に歩いて行った。
薄暗い通路の先で二人が個室に入っていくのを私は目で追った。
「さあ、私たちも行こう」
と公爵様と私はマリさん達が入った向かいの部屋の扉を開けた。
(もう、戻れない)
ここで逃げたら、公爵様に恥をかかせてしまう。
権力のある人が怒ったら何をするか分からない。
私が処罰されるだけならいいけど、ヘーデン家に何かあったら困る。
(仕方ない…)
と、私はあきらめて部屋の奥に進む。
部屋の中央に大きな天蓋つきの寝台が一つ置いてある。
私はその方に自分から歩いて行った。
後ろで扉の閉まる音と、公爵様が服を脱ぐ、衣擦れの音がする。
私は寝台に腰かけて、公爵様を待つ。
腰布一つの公爵様が私の隣に腰を下ろした。
寝台がその重さで小さく軋む。
「デーゲン君、いや、ミーファ。君の境遇はバルドから全て聞いている。中州に居たこともな。それで、君を非難するとかではないから安心したまえ。実は私はそういう店の玄人も好きでな。時々はそういう店にも行くのだよ。ははは、意外かね?もちろんその時は変装していくがな。
いつも堅苦しい顔と話をしていると、疲れてしまうのだよ。馬鹿な連中の相手を毎日していると、精神がすり減ってしまう。いや、君のような、若く美しい女は実にいいものだ。いつも女たちは私の心の澱を取り除いてくれる。女人の居ない世の中など考えたくも無いな。おっと、余計な話だったな。私の言う通りにしておけば、今後の君の栄光は約束されたようなものだ。これからも、従順でいたまえ。それで何もかもうまくいく。君は何も考える必要が無いからな。全て私に任せておきなさい」
と言い公爵様は私の肩を抱いた。
暗闇の中で彼の体を見る。
貧相な体だ。
胸板が薄く体を脂肪が覆っている。
何も鍛えていない貧弱な体。
私や、私の周りの大好きな人達とは全く違う。
こんな弱そうな人に、私は自分の運命を握られているの?
なんで?
私が今その気になれば、こんな人簡単に殺せる。
そう思うと今まで感じたことが無いような黒い感情が、お腹の底から込み上がってきた。
(殺しちゃおうかな…)
公爵様が私に覆いかぶさって来て、寝台に身を横たえる。
公爵様の唇が私の首筋を這う。
(気持ち悪い…)
心の底からそう思った。
中洲の娼館で毎日『作業』として受け入れていた時には感じたことのない感情だった。
私はゆっくりと両手を公爵様の首に回す。
このまま一締めすれば、終わりだ。
だけど、その後…。
私は部屋の隅にうずくまって、気配を消している女性の方に目を向ける。
おそらくは監視の人だ。
寝台の下にも女性が一人。天蓋の上にも一人。窓の外の窓枠のところにも一人いるような感じがする。
つまり、それだけ、私の事を信用してはいないという事なのだと思う。
なんて、用心深くて臆病な人。
でもね…。
たった、四人で私が止められると思っているのは、判断がとても間違いですよ。
私がここで公爵様を殺して逃げたらどうなるだろうか?
こんな会合で死んだことなんか、世間には公表は出来ないと思う。
事故死か、病死で発表されるかもしれない。
だとしたら、ヘーデン家へのおとがめは無い?
このまま私が公爵様を殺すとしたら、あの女性達は向かって来ると思う。全員を気絶させて逃げることも出来るけど、公爵様が死んだら、護衛の人たちは責任を取って、死刑になると思う。それは嫌だ。
「公爵様…」
「何だい、ミーファ」
と、彼はとろけるような優しい顔で私を上から見つめる。
「この部屋の中にいる四人の女性を、どうか外に出してください。そんな大勢に見られてするのは恥ずかしいです」
と私は演技で甘えるように言う。
「女性だ?いったい何を言っている?ここに居るのは私とお前だけだ…」
と公爵様が不思議そうな顔をする。
しらばくれて居る感じでもない。
頭から血の気が引く気がした。
私は、自分が大きな勘違いをしているのかもしれない可能性に気が付いた。
だとしたら、この次は…。
と部屋の隅に目をやる。
黒い女性の影が身を起こしてこちらに走り来る。
天蓋の上からも細い人影が飛び降りて来る。窓枠からも、黒い細身の姿が低い姿勢で滑るように近づいてくる。寝台の下からも人が転げ出て来る。
皆、無駄のない身のこなしで、こちらを取り囲む。
四方から濃密な殺気が浴びせられた。
皆、手に何か光るものを持っているのが見えた。
その、光るものを持った四本の腕が、公爵様の体目掛けて、真っすぐ突きだされる。
(私、間違った⁉)
無意識で私は公爵様を抱きしめたまま体を寝台の上で反転させた。
四本の手が、公爵様の代わりに、私の体に突き立つ。
でも、大丈夫。
そんなものは私に刺さりません。
(ああ、とっさにこのおじさん、助けちゃった)
私は何をやっているんだろう?
でも、冷静になってよく考えたら、今この人に死なれるのはまずい。
ゼルガ公爵派が無くなればヘーデン家も終わりだ。
そんな分かり切ったことを、今になってやっと思い出した。
やっぱりこの人は死んじゃ駄目だ。
(もー、私って、本当に馬鹿!何やってるのよ!)
寝台に寝ころんだまま、右脚をピンと伸ばして、そのままぐるりと円を描くように振り回した。
刺客の女性達は、とっさに後ろに飛びのいて、直後、光る尖ったものをいくつもこちらに投げてきた。
「やっ!」
と一声あげて、公爵様を上に放り上げた。
「はわっ!」
と、公爵様が変な声を出す。
両手を広げてその手裏剣の様な光物を全て自分の体で受けた。
私の全身が薄暗い部屋の中で発光し始めている。
「この身体強化は!?」
と刺客の女性たちが動揺している。
落ちてきた公爵様を右手でつかんでそのまま抱え、左足一本で、ばねの様に跳ねて、寝台から飛び出す。
そのままの勢いで、目の前の刺客お腹の辺りに、手加減した蹴りを入れる。
そして、右、左、右、と順番に一人ずつ蹴り飛ばした。
脚に魔力を乗せて蹴っているから、みんな痺れたようになって、その場で倒れ込む。
「くそっ!この化け物め!あと少しだったのに!」
と、その刺客が悔しそうに言う。
この人も何か公爵様に恨みがあるのかもしれない。
そう思うと、それ以上攻撃できなくなった。
部屋の外から人の悲鳴が聞こえる。
(この部屋だけじゃない?)
「デーゲン君!早く殺してしまえ!」
と叫ぶ公爵様を無視して私は部屋を飛び出した。
公爵様はいつもの冷静さがなく、ひどくうろたえている。
と、その慌てぶりを見て可笑しくなった。
これくらいの危険で我を忘れるような軟弱な人。
(ああ、この程度の人だったんだ)
私は無意識の中で公爵様をもっと凄い、恐ろしい巨大な人みたいに錯覚していた。
こんな奴、その気になれば、いつでも殺せる。
もう、私はこいつの言いなりにはならない。
マリさんの入った部屋の扉を蹴り破って中に飛び込む。
「わわっ!」
と、私に抱えられた公爵様が変な声を上げる。
寝台の上に服を着たままのマリさんがあおむけに横たわっている。
その横にさっきの南方風の顔立ちの男性が冷静な顔で立っていた。
彼は、私を見ると、ふっとかすかに笑って、窓を開けて身軽に外へ飛び出していった。
マリさんに駆け寄り、心臓に耳をあてる。
動いている。
生きている。
良かった。
何か薬で眠らされているのかもしれない。
私はマリさんを反対の腕で横抱きにして、片手で一人づつ二人の人間を抱えて、また部屋を飛び出した。
広間では、褐色肌の踊り子さん達が、手に、細く長いしなる刃物を持って、半裸のおじさんたちに襲い掛かっている。それを守ろうとして、給仕の女性たちも細く短い刃物を手に応戦している。
首をかき切られたおじさんが倒れている。
そのすぐそばに一人の女性がへたり込んでいて、体がぴくぴく痙攣している。その給仕の女性に大怪我や出血の様子はない。腕に小さな切り傷があるだけだ。
(毒?)
給仕の女性たちは、この屋敷の護衛でもあったみたいだ。
でも、一人一人が小さな短剣のような最低限の刃物しか持っていないから大分苦戦している。
なんで、ちゃんと武装した護衛が居ないのだろうか?
秘密のいやらしい会合だから、普通の騎士に護衛をさせられなかったのかもしれない。
一人の給仕の女性が刺客に刺されそうになっているところに私は体ごと突っ込んで行って、踊り子の突き出す刃物を肩で弾き飛ばした。
そのまま、驚いている踊り子さんを窓の方に蹴り飛ばした。
「公爵だ!」
と、私の抱える人を見て、刺客の一人が叫んだ。
丁度いい。敵を皆こちらにひきつければ、他の人たちが逃げやすくなる。
「公爵様!私がお守りします!」
とわざと辺りに聞こえるように、大声で言ってみた。
刺客たちの注目が、一気に私に集まる。
十人以上の刺客が私を取り囲む。
鞭のようにしなる長剣を振り回しながら、近づいてくる。
ひゅんひゅんと風を切る音が、前からも後ろからも聞こえてきた。
さすがに人を二人抱えて、あの攻撃を全て防ぐのは難しい。
私は大丈夫でもマリさんと公爵様が死んでしまう。
ここはいったん逃げた方がいい。
逃げる方向は…。
「上!」
と私はその場で飛び上がった。
あまり強く床を蹴ると下に踏み抜いてしまいそうだったので、慎重にじわっと蹴る。
天井に頭がぶつかる瞬間に、思いっきり頭突きをした。
ボカン!と、変な音がして、天井の床板が半径1メルスほども吹き飛んで、バラバラになった。
そのまま二階の天井を体ごと突き抜ける。
結い上げた髪が崩れて視界を塞ぐ。
頭を振って、髪を顔から振り払う。
三階の天井にぶつかりそうになったところで、右足を頭上に跳ね上げて三階の天井を蹴った。
私の脚は三階の天井に突き刺さって、天井に引っかかる。
私達三人は、脚一本で天上からぶら下がっていた。
三階のその部屋には刺客は居なかった。ただ、部屋の中央の寝台の上で、『神官長』と呼ばれていたおじさんが血まみれで息絶えていた。
(近衛騎士団の先輩たちは!?)
と、辺りの気配を探る。
衣装棚の中から人の気配がする。私は勢いよく屋根から足を引き抜いて、三階の床に降りた。
「うえっ!うぇろろろろろ!」
と公爵様がえずいて、虹色のキラキラ輝く液体を口から戻していた。
私の足元に少しその液体がかかった。
(汚いなー、もー…)
これが済んだら、すぐ洗おう。
衣装棚の扉をそっと足で開くと、近衛騎士団の先輩二人が震えて隠れていた。
「ああ、びっくりした。なんだ、ミーファかい…」
と二人ともほっとした様子だ。
「いきなり剣を持った女が切りかかってきて。その神官長って男を滅多切りにしたんだ。あたしたちも殺されるかと思ったら、見向きもしないでよそに行ったから、助かったよ」
と、衣装棚から二人は出てきた。
「私はこのまま囮になって敵をひきつけます。お二人はマリさんを見ていてくれませんか?」
と、マリさんを二人に預ける。
「分かったよ」
と先輩が、小柄なマリさんを軽々と受け取る。
「ううう…」
と、うめいてマリさんが目を覚ます。
良かった。毒でなくて、痺れ薬か何かのようだ。
「駄目です…囮なんて…」
マリさんが私の腕を掴む。
「大丈夫。私、あんまり怪我しないんです」
と、いつもの説明をした。
「おっ、囮とはなんだ。まず私を安全な場所に…」
と、公爵様が口をはさんでくる。
「安全な場所ですか?このお屋敷の周りは森です。こんな襲撃しやすい孤立したお屋敷で安全な場所なんかありません。屋敷の護衛と言えば、小さな短刀しか持っていない半分裸の女の子ばかり。こんな場所でどこへ逃げるとおっしゃるのですか?今、このお屋敷で一番安全な場所は私の側です。奴らは公爵様を狙っています。どこへ逃げても一緒ですよ」
と突き放す。
「うむ、うむ、確かにそうか。すまない。取り乱した。酔いもさめた。ただ、この横抱きの格好は何とかならんのか。まるで自分が荷物になったような気がする。腹が苦しい」
「それなら、こうしましょう」
と、私は公爵様をお姫様抱っこした。
「むむむむ、これはこれで恥ずかしいが、ぶら下げて持たれるよりはましか…。よし、覚悟を決めた。私の命は君に預けよう。任せたぞ。あとは好きに自由にやり給え」
公爵様が段々と冷静さを取り戻し始める。
一度落ち着いて覚悟を決めると、公爵様は急に人形のようにおとなしくなって私に身をゆだねた。さっきとは別人だ。
「では」と言って、横の壁を蹴り抜いて、隣の部屋に行く。
誰も居ない。
また、隣を蹴り抜く。
「ひー!」
と聞き覚えのある声の悲鳴が聞こえる。
部屋に入ると、5、6人の女性たちが部屋の隅に固まって隠れていた。
その中に、ガルゼイ様の馴染みの、金髪女性が混ざっていた。
「驚かせてごめんなさい。この二つ向こうの部屋に、近衛騎士団の騎士が二人います。みんなで集まって隠れていてください」
と避難を促す。
そして、私はまた足元の床を踏み抜いて、二階に飛び降りた。
そこはまた、さっきの大広間だった。
そして、今度は刺客に囲まれる前に、窓に向けて走る。
目の前に何も障害物が無いかの様な勢いで、私は走りながら窓を突き破って、そのまま外に飛び出した。
公爵様は、殉教者のような無表情で目をつむって、両の指を胸の前で組んでいる。
騒がないのはありがたい。
私は庭の鉄柵も蹴り倒し、森に躍り出る。
後ろから追って来る大勢の足音が聞こえる。
(ほらほら、こっちだよ…)
と、森の木々の間を疾走する。
そして、
「やー!」
と、足先に強い身体強化をかけて魔力を乗せ、辺りの木の幹を片っ端から蹴り飛ばす。
バリバリ、ギー!と木の倒れる音がする。
この辺の木は、定期的に管理伐採されているみたいで、それほど太い幹の木は見当たらない。
せいぜいが、片手で抱えられるくらいの太さの木ばかりだ。
このくらいの木ばかりなら、簡単に折れる。
私は追手の来る後方に道を塞ぐように、木を蹴り倒す。
「とー!」
と、木を3本まとめて、身体強化の体当たりで吹っ飛ばす。
ド、ド、ド、ドー‼
メキメキ!
と、粉砕された木の破片が辺りに、散乱する。
ひたすら木を蹴る。
蹴る。
蹴る。
蹴る、蹴る。
蹴る、蹴る、蹴る…。
手当たり次第?足当たり次第?に蹴り続ける。
バン、ガラガラ!ドカン!
と、凄い音で、木の幹が吹っ飛んでいく。
そのまま辺りの木々を前後左右になぎ倒しながら、森の中を進む。
どれくらいの時間、蹴り続けていただろうか。
じきに周りに木が一本もなくなり、かなり見晴らしがよくなった。
そうするうちに、大きな川のほとりに着いた。
蹴るのをやめて、立ち止まる。
累々と倒れる木々の中に私は、一人立っていた。
静かだ。
川を背にして、森だった平地を振り返る。
追って来ていた刺客の人たちもいつの間にか居なくなっている。
木がたくさん倒れるのに驚いて、諦めて逃げたのだろう。
遠くの空が薄っすらと明るくなっていた。
朝だ。
たくさん蹴って、少し気分がすっきりした。
でも、身体強化を久しぶりに全力で使って、お腹がすいた。
私は腕の中の公爵様を見下ろす。
「公爵様、一つお願いが有ります」
と声をかける。
「何だ」
と、目を閉じたままの公爵様が返事をする。
「私には好きな人がいます。なので、今後、私の体には触れないで欲しいです。それをお約束ください。それをお約束いただけるなら、私は今日の様に、公爵様の危機に、全力でお助けします。でも、もし、それが、お聞き届けいただけないなら…」
とそこで、言葉を切って少しじらすように間を取った。
公爵様は右目だけを薄っすらと開いて私を見る。
「何だ、早く言え」
とせかす。
「私はやけになって、何をするか分かりません。きっとめちゃくちゃで酷いことをしてしまうと思います」
と言った。
「ふむ…」
と公爵様は首をもたげて辺りの『元』森の惨状を見回す。
「これよりもか?」
と落ち着いた様子で訊き返す。
「ええ、こんなものではありません。この十倍以上です」
公爵様は、また眼を閉じて、私の腕に首を預ける。
「分かった。今後お前の体には指一本触れない。それに、お前の侍女と、第十近衛師団の人間も、今後、貴族相手の夜伽をする必要はない。それでいいな。今日は疲れた。もう、自分の屋敷に帰りたい。屋敷までの護衛は任せたぞ」
と言い、口を閉じてそれ以上何も話をしなかった。
私は強い。
やっと、その自覚が出来た。
強いから、もっと意見を言っていいんだ。
ガルゼイ様も条件を交渉するように言っていた。
(こういうことだったんですね)
と目の前に新しい扉が大きく開いたような気持がした。




