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53 エルフ先生に悩み相談

店に置かれていた小さなテーブルの上の物を片付けた窓辺の席で、俺は自分の身の上を妖艶エルフに話して聞かせた。


「なるほどのー、わしも長く生きているが、そのような話は初耳じゃ。不思議なことじゃの」


と感心した様に言い、エルフのお姉さんは何事かを考えて物思いにふける。


「ところで、長く生きていると言いましたが、エルフのお姉さん、歳はいくつくらいなんですか?やっぱり、200歳とか、300歳とかですか?まさか500歳なんてことは…」


「馬鹿者、女性に年齢を聞く奴があるか、失礼な奴め。そんなだから、35まで童貞なのじゃ」


と彼女は憤慨する。


「これはすいません」


と素直に謝罪する。


「それにしてもお主が王都で有名な『子供殺しの悪魔』だったとはな」


「あ、その二つ名はもう更新されています。今は『黒の魔人』が私の二つ名です。学者と言う割には意外と情報の更新が遅いんですね。そんなことで大丈夫なんですか?」


と、どや顔で言ってやる。


「なんか、腹立つやつじゃな。しかし、お主の言うことが真実なら、お主は身に覚えのない悪事を糾弾されているのか?」


「本当に、私は不運です。死んだのも私、殺したのも私。これ何の冗談ですか⁉こんな状況で一方的に責任の無いことを皆から責められて、やってられませんよ!やってられませんよ!やってられませんよ!」


と今まで誰にも言えなかった不満が爆発する。


「今、何で同じことを3回も言ったんじゃ?」


「大事なことなのでたくさん言いました。もう一回言いましょうか?」


「いや、いい。それでだな、さっきのお主の力、あれは何だ。なぜ、わしのオートマタに乗り移ることができたのだ?」


「オートマタ!?」


「いちいち大声を出すな。うっとおしい」


「オートマタって言いましたか?じゃあ、ファイアーボール分かりますか?」


「ああ、異世界転生小説でよくある火魔法の技の名前じゃろ。過去に転生してきた日本人に、その辺は聞かされておる。巷にもその『外来語』という日本語の一部は知られているが、表向きはエルフの古代語と言うことで誤魔化しておるな」


「ああ、それでですか。時々日本語に近い言葉があって、不思議に思っていたのですよ」


「過去に来た日本人の多くが、いろいろと便利な知識を残していって、この世界の文明を底上げしておる」


「私もチートで成り上がりたかったのですが、私が分かる範囲の発明品は大体既にあるのでなにも出来なかったんですよ」


「この世界にも学者がいて元々の発明品も沢山あるから、なにもかもを日本人の転生者がもたらしたと言う訳では無いがな。古代から伝わるエルフ族の知識もある。それは転生者にも分からない。むしろ転生者の方が、わしに教えを請いに来たものじゃ」


「それで、今、転生者はこの世界に何人くらい居るのですか?」


「知らん。どこかにいるかもしれんが、わしも全世界の事を知っているわけではない」


「ではこの王国には?」


「おらん。最後に転生者…いや、あいつは異世界転移者じゃった…に会ったのは、あれは、どのくらい前かの。150年か200年か前だったかの?」


「そんなに前ですか…」


「スズキハルマ、と言ういやらしいガキじゃった。わしの胸ばかりじろじろ見るので、よくびんたをしてやったが、すると、『びんた頂きましたー!あざーすっ!』と逆に喜ぶので始末におえんかった。日本と言う異世界の国の人間は、皆あんなのばかりなのか?」


「そそそ、それは同胞が申し訳ないことです。私も日本出身ですが、ほとんどの日本人は理性的でまともな人々です。ただ、一部の異世界転生小説にはまったコアなファン層だけが特殊なのです」


「そういえば、さっきお主もわしの脚にしがみついていたな。あのスズキの馬鹿を思い出してゾッとしたぞ」


「いや、あれは気が動転していたせいで、いつもあんなでは無いのでご安心ください。常識もパンツも毎日忘れずに身に付けています。お風呂も入っています」


「言う事がなんか、スズキハルマを思い出させるのじゃがなあ…」


「お話を伺うにその鈴木春馬なる人物は『陽キャ』です。それに対して私は『陰キャ』に分類されます。つまりパーソナリティーとしては対極にあるのです。『陰キャ』の人間と言うのは放っておけば、台所のゴキブリのように暗がりに身を潜めるだけの無害な生き物なのです。なので、大船に乗った気で、ご安心ください」


「何を言っているのかよく分からん。やはり、言う事がスズキに似ている…」


「これからおいおい、『陰キャ』を理解していただくように、私も努力いたします」


「いや、その辺の努力は要らん」


「あっ、そういえば、わたしの行っていた騎士団予備校の教官が『ハルマ』という苗字でした。あれは鈴木春馬氏と関係があるのですか?」


「ああ、平民が貴族になるときに過去の偉人にあやかってその名の一部を使うことがよくあるのじゃ。それにしてもよくあんな名前を付けた物じゃ。スズキ馬鹿はあれでも魔法の実力は当時王都一だったし、あいつの力で東の帝国の軍事侵攻を未然に防ぐ事が出来たので、この国の歴史書には偉人として記されておる。死後は神に列せられて、神殿に行けば奴の彫像もあるぞ。それで台座には『俺最強―!チート最高―!ハーレムがしたかった!』とへんてこな辞世の言葉が残されておる。歴史の研究者に『ハーレム』ってなんだと尋ねられたが、説明したくなかったので知らんと答えておいた」


「鈴木春馬氏はそんなに凄い人物だったのですか?」


「奴はほとんどの属性魔法を自由自在に使いこなせた。身体強化だけは出来なかったが火・水・地・風・光、と5属性が使えたな。他にも多くの属性魔法はあるが一人で5属性を使えるのは規格外じゃ。もし、あ奴がそれに驕って悪事をなすようなら早々に始末しようと思っていたが、奴は馬鹿でスケベなこと以外は大した害が無かったので、びんたするだけで放っておいたのじゃ」


「春馬氏の子孫は居るのですか?」


「いや、奴は早死にしたからな。好きな女は居たようだが、その女は奴に気が無かったらしい。それがどんな相手かスズキハルマは隠していたので、わしはその相手を知らないが、あのスケベが一人の女に操を立てて他に女を作らなかったのは、意外な事じゃった。あ奴は、好きな女が居るといつも言っていたが、その割に、暇があればいつもわしのところにばかり入り浸っておったな」


「鈴木氏はなんで亡くなったのですか?」


「病死という事になっておる」


と言うエルフの学者さんの表情が曇る。その辺の歯切れが悪い。何か事情があるらしい。深く訊くのは止めよう。


ただ、エルフさんは鈴木春馬氏の意中の人を知らないと言ったが、今の話で俺にはそれが誰だかすぐに分かった。状況から見て、お相手はこのエルフのお姉さんしか居ないだろう。そりゃあ、本人に意中の相手が誰かは言えないに決まっている。


エルフさんと言うのは、やはり浮世離れしていて、他人の感情に鈍感らしい。過去の同胞の心痛に思いを馳せて胸が痛んだ。


(鈴木氏ファイト!)


と、もう届かないエールを心の中で送る。


「それで、話を戻すが、オートマタに意識を移せた件じゃ。あれはどうやった?」


と、エルフさんが真剣な様子で身を乗り出してくる。


そうするとテーブルの上で胸の谷間が強調されて、つい覗き込みたい誘惑に駆られてしまう。


スケベの鈴木春馬氏がこれをやられたとしたら、健全な男としては惚れてしまうだろう。罪なエルフさんだ。もし俺が『陽キャ』だったら、俺も危ないところだった。


「どうやるも何も、手で触るだけです。私が霊体の時は死体に霊体で触れることでその死体に憑依することができます。ただ、同じ死体に憑依できるのは一回限りです。他で触った時に霊体の引っかかりのようなものを掴める感触があるのです。それが失われた後ではもう何もできません。そして、一度憑依した体で他の霊魂を触るとその霊のエネルギーを吸収して自分の力にすることができます」


「ふーむ、と言うことはお主は霊が見えるのか?」


「はい、見えます。あと今は見なくてもどこに霊が居るかをある程度の距離まで感じることができます」


「そうか、それならさきほどの鳥のオートマタにはもう乗り移れないという事か…」


「もう一度やってみないと分かりませんが、恐らくは…」


「うむ、また後程試してみるとしよう。それでお主がまた気絶する危険もあるので、やり方は慎重にした方が良いな。それで死なれでもしたらその後の実験に支障が出てしまう」


ん?


死ぬと可哀そうとかじゃ無くて、その後実験が出来ないのが困ると…。


学者さんらしい物言いだな。


「あと、もう一つお話しておかないといけないことが有ります。じつは私の中に正体不明の呪いの様な人格が同居しているのです。それは黒衣で白髪の老人の姿をしていて…」


と黒衣の老人の呪いか加護かの詳細な話を彼女に話す。


河原で、不思議な霧の存在に忠告を受け、その直後に黒衣の老人のに憑依されかけ、戦いの後に吸収したことなど、順を追って駆け足で説明をした。


俺の話を黙って聞いていたエルフさんは腕組をして考え込んでいた。


「そうか、そういうことが…。それについてはわしの方で思い当たることがある。確定では無いがな。ただ、わしの考えているものとその黒衣の老人が同じ物ならなかなか厄介な話になるぞ。早く分離しておかないと、そのまま成長してお主の人格と癒合してしまうかもしれん」


「それで何か差支えが」


「あるに決まっている。さっきお主が話していた河原の霧の中の『存在』も、お主に警告をしていたのであろう?」


「はい、あの警告をしてくれた『存在』が何だったのか、未だに分かりません」


「それは恐らく『ジン』じゃな」


「『ジン』とは?」


「この世界の精霊の様なものじゃ。どこにでもあり同時にどこにもない存在じゃ。通常『ジン』が人間界に干渉することは無いのじゃが、まれに人に言葉を伝えることがある。それは世界の根幹にかかわることだと言うが、あまりはっきりとしたことは言わないので、後にならないと解釈の定まらないことが多い」


「それじゃ、役に立ちませんよ」


「じゃから、『ジン』の言葉を解釈する専門の預言者がかつてはいたのじゃ。いまや、『ジン』信仰はすたれているので、そのような預言者の存在はあまり聞かなくなったがな」


「あまり、と言うことはまだ居ることは居るのですか?」


「どこかには居るじゃろう。ただ、『本物』はめったに人前に出ては来ん。その辺で簡単に会えるのはたいてい金稼ぎの偽物じゃ」


「偽物に会っても仕方ないですね」


「じつは、わしももう何百年も『ジン』の研究を続けているのじゃ。ある目的のためにな」


「その目的とは?」


「今あったばかりの者には言えん。しかし、これはわしがどうしても成し遂げなければならない仕事なのじゃ。ここ何十年かは研究が進まなくなって、煮詰まっていたが、ひょっとして、お主のことが何らかの突破口になるやもしれん。これから、お主にはわしの研究に協力してもらうぞ。それがお主自身を救う事にもつながる可能性もある」


「よろしくお願いします。ところで私はこのまじない坂小路に戦闘に使えそうな魔道具を探しに来たのです。何かいい物はありませんか?」


「戦闘用の魔道具など知らん。そんなものはわしには必要ないからな」


「そうですか、やはりその手の魔道具は東の帝国に行かないと入手できないのでしょうか?」


「東の帝国は遠いぞ。もし必要なら自分で作ればよかろう」


とエルフさんは簡単な事のように言う。


「それなら、あなたが作ってくれませんか?」


「何でわしがそんな下らんことに労力を割かねばならんのだ。自分の魔道具は自分で作れ。お主の戦闘方法も知らん他人が作れるわけはないであろう。少しは頭を使って考えよ」


「しかし、私には魔術の知識が有りません」


「そのくらいなら研究の片手間に教えてやる。決まりきった魔術式をいくつか組み合わせるだけで基礎的な魔術具の大抵のものは作れてしまう。魔術師の試験を受けるのでもない限りそれで充分じゃろう」


「本当ですか⁉それではこれからよろしくお願いいたします。私はあなたを師匠と呼んだ方がいいでしょうか?」


「やめよ!師匠になる気は無い」


「それではなんとお呼びすれば?そういえば、まだお名前を伺っていませんでした。改めて自己紹介すると、私の名はガルゼイ・リース・ヘーデンと申します」


「わしの名はそうじゃな、いくつもあるが、今は王立魔導研究所、客員教授のヒューリンと覚えておけ。ただのヒューリンじゃ。俗世の貴族の様な長たらしい名は好かんのでな」


「それではヒューリン様、これから不肖ガルゼイは粉骨砕身勤め上げたと存じますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」


と言い、深々と頭を下げた。


うん、挨拶は社会人の基本だからね。


「大げさじゃ。嫌になったらいつでも見捨てるから、余計なことは気にせんで良いぞ」


と白けた顔でヒューリンさんは身も蓋もない言い方をする。


このエルフさんなら多分その言葉通りにするのだろう。


何とかして見捨てられないようにしないと。


取りあえず、胸の谷間に視線を向けることは、出来るだけしないようにしよう。完全に見ないのは、健全な少年として無理だが、こうして努力目標として高い頂を設定してチャレンジするのはいい事だ。


「それでは、さっそく、わしの研究室に行くぞ。お主が触れた鳥はわしが持っていく。ついてまいれ」


と言い、エルフのヒューリンさんは二階への階段を登り始める。


「研究室は2階ですか?」


とエルフさんの後ろをついて階段を登る。


しかし、俺はここで大変なことに気が付いた。


そのまま後をついていくと、ヒューリンさんのふくよかで形のいい尻が、下から見上げた目と鼻の先でくっきりと丸見えになるのだ。


ピッタリとしたドレスの薄い生地の下で、豊かな尻の肉がムチムチと交互に左右に揺れて階段を登っていく。


(こっ、これは辛い!)


俺は瞬時に頭の中で、うちの庭師の爺さんが「ごあっ!」と痰を吐くときの顔を思い出して、下半身に込み上がる劣情を抑え込んだ。


そして、


(かんじーざいぼーさー、ぎょーじん、はんにゃーはーらーみーたー…)


と、写経体験カルチャー講座に3回通って覚えた『般若心経』のさわりの部分を心で唱える。


二階の踊り場でヒューリンさんが木のドアを開けて、中に入る。


「さあ、入れ。ここにわし以外の人間が入るのは初めてじゃ」


と言って、こちらを振り向く。


「ん?なんじゃそのぺたりとした無表情の顔は?」


この時、俺は心頭滅却することに集中しすぎて、仏像の様な顔になっていた。


「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」


「正気に戻らんか、この馬鹿ちんが!」


と右の頬にヒューリンさんの平手が飛んできた。


バチンといい音がした。


俺は左の頬を差し出した。


バチンとそちらも叩かれた。


「あざす」


と俺は小さな声で言って、軽く礼をした。


「しっかりせんか!何を考えておる!」


「何も考えないようにしておりました」


「やはり転生者はおかしなやつばかりじゃの」


と部屋の中に入っていく。


俺も続いて入る。


二階の部屋は壁際にいくつかの棚が有るだけで、がらんとしていた。


(ここが研究室?何もないじゃないか…)


「こっちじゃ」


とヒューリンさんは二階の窓に向かう。ただの普通の窓だ。


窓の外に、湿地の湿った景色が広がる。


そして、無造作に窓を大きく開く。


窓を開いた先に見えたのは外の風景では無かった。


そこには暗い洞窟の入り口があった。


(えっ、どういう事?)


窓を開ける前と開けた後で、窓の向こうの風景が違う。


「はよ、ついてまいれ」


とヒューリンさんが窓枠の手前にある椅子を踏み台にして、窓の向こうの洞窟を歩き始める。


俺も慌ててそれに続く。


幻などでなく、確かに足が洞窟の地面を踏みしめていた。


後ろを振り返ると、窓はもうどこにも無かった。


ただの突き当りの岩壁がそこにあるだけだ。


その洞窟を10メルス(15メートル)ほど歩くと、光のあふれる広い空間に出た。


辺りを見回す。


そこは広大な鍾乳洞の様な空間だった。


壁一面が輝くクリスタルの様なもので覆われている。


照明が無いのにその空間全体に光が満ちていて、なにもかもがきれいにはっきりと見えた。


その空間のあちこちに実験装置の様な機材がランダムに設置されている。


透明なチューブが機材の中や外を走っている。巨大な試験管のような物が壁に並んでいる。


何に使われているのかは分からないが、どれもこれも、かなり高価で本格的な実験装置であるという事は少し見ただけで理解できた。


「ここは一体…?」


「ああ、ここがわしの秘密の実験室じゃ。ここはわししか知らないし、わしとわしの認めた者しか入れん」


「あの窓の外にこんな広い空間があるなんて…」


「ああ、あそこでは無いぞ。あの窓から別の空間につないでおるのだ」


「それでは、ここはどこなんですか」


「本当は秘密なのだが、まあ、言ったところで、お主に何ができるわけでもないし、まあ話してもいいかの。うむ、ここは旧王城で、その深部の最奥に穿たれた太古の実験施設じゃ。この場所は『旧王城』と呼ばれているが、その歴史はこの国よりはるかに古い。元々、この国がこの場にできたのは、この岩城があったが故なのじゃ。城の存在が先で、この城の力を求めて多くの人が集まってきてそれが国になったというのが実の話じゃ」


「旧王城…」


現在の王城は旧市街の奥に巨大な要塞のように広大な面積で建てられている。


王城のすぐ背後には岩山の山脈が連なっていて、背後から攻撃の不可能な鉄壁の守りを誇っている。


この旧市街の王城が建てられるよりはるか昔にはもう一つ別の王城が有り、それは今もそのまま残っているという話は聞いたことがある。現王城の背後の岩山の山脈部の壁面の岩肌を掘り抜いて作られたこの旧王城は、王家や城の人間以外の立ち入りを禁止された場所で、庶民がそこに訪れることは出来ない。


この城はくりぬいた岩をそのまま建材に加工して岩肌に建てられていて、堅固な岩城としてのその威容を誇る。


その内部は、蟻の巣穴の様な通路が縦横に走り、迷路のようになっているという話だ。


内部が狭く、高所への上り下りが不便という欠点から、王都が発展するにつれ次第に使われなくなってきた。そして、現代ではその城としての役目を終え、王家の墓所や、宝物庫、食料の備蓄庫、や氷室として、利用されているという。


「今や、この城の建てられた真の目的や利用法を知るものは、わし以外誰もおらん。王家の伝承もお家騒動のどさくさで焼失し、それを知る王家の人間も、他に伝える前に殺されてしもうた。あの愚か者共にまたこの英知を授ける理由は無いのでな。今はわしだけの独占じゃ」


とエルフのヒューリンさんは悲しそうにつぶやいた。

お話のストックが尽きたので、しばし更新を休止いたします。

また一章分くらい書いたら、再開させていただきます。

その時にまた読んでいただけると、嬉しいです。

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