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プロローグ おやじは死んじまっただ
連日の残業で集中力が続かない。
頭がぼーっとする。
俺は今日も倉庫の中でフォークリフトを運転して、入出庫作業をしていた。
狭い倉庫の中では、小型で小回りの利くリーチフォークリフトを使う。
重量物を満載したパレットを、4段積みのスチール棚に収納していく。
頭上高くパレットを持ち上げてから、スチール棚の4段目、一番上の棚に載せようとする。
ただ、荷物を高く上げれば上げるほど、小型のリーチフォークでは不安定になる。
パレットの重さに振られて、リーチフォークリフトが右に傾く。
慌てて逆にハンドルを逆に回す。しかし、慌てたため必用以上にハンドルを戻してしまい、パレットがスチール棚に引っかかる。
「バキバキ」と樹脂のパレットが砕ける破滅的な音が、頭上から聞こえる。
(ああ、やっちまった……)
ガラガラいう金属音とともに、何かが崩れるような音も聞こえてきて、一瞬の後悔ののち、俺の意識はどこかに消滅した。




