表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/5

2.自由にさせてみました

「反省会、しよっか」


「はい」


何か、さっきから懸山ちゃんは「はい」しか言ってない気がする。ここは事前情報と違うなぁ。ダメ出しとか含めて、色々と意見を言う子だって聞いてたんだけど。

やっぱり、左遷されたのが相当応えたのかな?


「特に危ない場面はなかったと思うけど、懸山ちゃんは何か意見はある?」


「懸山ちゃん!?……ああ。いえ。何でもありません。…………そうですね。特に問題はなかったかと」


思ってもいないようなことを言う懸山ちゃん。最初「懸山ちゃん!?」驚いてたけど、ちゃん付けは嫌だったかな?パワハラに感じてたらごめんね。

と、それは良いとして、


「意見は自由に言って良いよ。前回の部署でそれやって左遷されちゃったのは知ってるけど、これ以上左遷されるようなことはないだろうから。それに、問題点に関しては僕もちゃんと知っておきたいしね」


「そうですか……では、言わせてもらいます。まず、隊長の潜入や死体処理の技術は素晴らしいと思います。ただ、計画に関しては」


そこで言葉を切る懸山ちゃん。後は察しろって事ね。


「なるほど。作戦に問題がある、と。一般的な作戦だったと思うけど、懸山ちゃんはもっと良い作戦が立てられるってことかな?」


「作戦に関してはなんとも言えません。が、私はもっと効率よく動くことが出来たかと」


自信溢れる表情で発言する懸山ちゃん。


「ふぅん。もっとリスクが取れたってこと?」


「はい。おそらくあそこなら最短ルートを責めても問題なく終わらせられたかと」


「へぇ~。凄いね」


僕が褒めると、懸山ちゃんの顔が歪む。皮肉みたいに思われちゃったかな?

でも、本当に凄いと思うよ。前年度の首席が効率厨で教師にも食ってかかってたって噂は聞いてたけど、効率厨がここまでだったとは。


「……OK。懸山ちゃんがもっとうまく出来るって言うのは分かった。それなら、次の依頼でそれを試してみようか」


「それ、ですか?」


何のことかよく分からないと首をかしげる懸山ちゃん。懸山ちゃん、かなり美少女だからこういう仕草も可愛いんだよね。優秀でしかも美少女って、才能積み過ぎじゃない?


「それ。簡単に言うと……懸山ちゃんは仕事の時、自由に行動していいよ、ってこと」


「自由に?それって、」


諦めたような顔をする懸山ちゃん。

依頼の時に懸山ちゃんは来なくて良いから、みたいな風に聞こえちゃったのかな?僕が言いたいのはそういうことじゃなくて、


「責任は僕が取るから、懸山ちゃんは自分がやりたいように仕事をしてみて」


「っ!?」


懸山ちゃんは驚いたように目を見開く。それから、期待のこもった表情で、


「い、良いんですか?」


なんて聞いてきた。

いやぁ~。美少女にそんな期待を込めて聞かれたら、頷く意外に選択しないよねぇ。まあ、ここまで喜ばなかったとしても自由にはさせてあげるつもりだったけど。


「良いんだよ。とりあえず次の仕事でそれを試してみて、ダメだったら別の手を考えるから。……今はまだ上手く連携が出来るわけでもないし、色々と試してみよう」


「はい!」


嬉しそうに頷く懸山ちゃん。感謝してくれたまえ~。ついでに、惚れてくれても良いんだよ?

なんてことを考えつつ、次の仕事へと向かう。お仕事は相変わらず暗殺。僕たち暗殺部隊だから、それ以外の仕事があるわけないよね。


「それではいって参ります」


「はい。行ってらっしゃい。僕は別のルートから行くから」


目的地に到着すると、懸山ちゃんは僕の言葉を最後まで聞かずに消えた。流石効率厨。ムダな会話だと判断したら仕事を優先する訳ね。

ちょっと寂しいけど、僕もお仕事しないと。僕が行く頃には、もう終わってるんだろうなぁ~。


「……おっ。終わってるみたいだね。お疲れ」


「はい。お疲れ様です。……死体処理は、隊長にお任せしても?」


「うん。もちろんだよ」


僕は適当に自殺へ偽装しておく。

懸山ちゃんは効率厨なんだから、ここまでやれば良いじゃないかと思う人もいるかもしれない。しかし、残念ながら僕の集めた情報によると、死体処理は上手くないみたいなんだよね。効率厨らしく、1番簡単で1番早くできる偽装しか出来ないみたい。簡単なのは何かって言うと、浴槽での自殺だね。

残念ながらそれだと確実に疑われちゃうようなことがあるから、他の偽装も必要なんだよねぇ。でも、効率厨な懸山ちゃんにはそれが出来ない、と。

潜入の仕方とか、天才的な能力は備わってるのにね。効率が悪いようなことは結構ダメダメかもしれない。


「よし。終わったよ。行こうか」


「はい」


僕は死体処理を終わらせて、懸山ちゃんと一緒に外へ出る。そのまま事務所に戻るんだけど、その途中で、


「……隊長。ありがとうございました」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ