9 2人は幼馴染
「ねぇ、それで2人は孝ちゃんに何を言ったの?」
「あ、アタシらはさ、アイツらが勝手なことしてたから、仁科君に香澄との時間も作って欲しいって話してた。」
「そう…、でもそれは私が言う事だよ。2人が孝ちゃんに言う事じゃない。」
「そうだね。勝手なことしたのはアタシらも一緒だね。ごめんね、香澄。」
「……うん、わかった。孝ちゃんと揉めたわけじゃないんだよね?」
「あっ!ごめん、私もただの幼馴染って聞いて怒っちゃった。」
「じゃあ孝ちゃんに謝って。」
「ごめん、仁科君。私が悪かったです。」
「うん、もういい。」
そうして女友達2人組も帰っていった。
「本当にごめんなさい!孝ちゃんに迷惑かけて!」
「もういいよ。でもさ、ちょっと香澄ちゃんに聞きたいんだけど。」
「うん、何?」
「俺の事ずっと想っていてくれたのは嬉しいよ?けど、もし俺がデブで不細工で性格悪くなってても好きって言えた?」
今の俺は太ってはいないし、そこまで不細工でもないと思う。性格はどうだろうか?
「え?……それは…。それでも友達になったと思う!」
「好きって言えないって事でいい?」
「……そうだね、見た目はいいとしても、性格が悪くなってたら、好きとは言えないかもしれないね。」
「うん、それが当たり前だと思うよ。小学校3年生から高校1年生の変化って、別人レベルも全然あり得るよ?」
「……そうだね。ずっと好きでいたつもりだったけど、あの頃の孝ちゃんを好きだって気持ちが続いてただけだったんだね。」
「そうだよ。今の俺の事知らないでしょ?」
「うん、そうだね。」
「それが今の俺と香澄ちゃんの関係だよ。」
「……私、これからどうすればいいかな?わかんなくなっちゃった。」
「それはこれから考えればいいんじゃない?俺の事は多分懐かしいって思いが強いだけだと思う。昔話がしたいとかだったら、付き合うよ。」
「そうだね。昔話、したいな。」
「うん、幼馴染だからね。」
「ふふっ、そうだね、幼馴染だから。」
2人で笑った。6年ぶりに。
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