2 香澄ちゃんとその友達
翌日。
「おはよう!孝ちゃん!」
元気な挨拶にクラスの皆がこちらに目を向ける。
「あ、あぁ、香澄ちゃん、おはよう。」
「ねぇ、孝ちゃん、授業までお話ししようよ!はい!ここ座って!」
「え?こ、ここ?」
香澄ちゃんの塾友達のど真ん中なんですけど…。
「なぁ、仁科だっけ?香澄の小さい頃の事とか教えてくれよ!」
「ダメだよ!孝ちゃんも変な事言っちゃだめだよ?」
「え?あぁ…。」
「で?仁科は香澄とどんな感じだったの?」
「え?どんな感じって?」
「孝ちゃんと私は私が引っ越すまでずっと仲良しだったよ!」
「へぇ?いつからの付き合いなの?」
「幼稚園の頃から一緒だったよ!」
「結構長いな。仲良かったんだな!」
「いつも孝ちゃんの家でゲームしたり、勉強したり、漫画読んだり。」
「へぇ!ザ!幼馴染!って感じだな!」
「そんな相手いなかったなぁ~!」
「えへへ…。いいでしょ?!あ!チャイム鳴っちゃった!またね!孝ちゃん!」
それからは休憩時間の度に連れていかれ、真ん中に座らされ質問責めにあった。
昼になると、
「孝ちゃん、お昼一緒に食べよう?」
「俺達学食だからみんなで行こうぜ!」
「さんせ~い!」
「あ~、腹減った!飯だ飯!」
え、また一緒なの?
「孝ちゃんって今どこに住んでるの?」
「中1の頃、親が離婚してさ、今は親父の実家に住んでる。」
「あっ、そうだったんだ。ウチの両親も連絡つかなくなったって言って心配してたんだよ?」
「親父もお袋も番号変えちまったからかな。」
「中学の頃、孝ちゃんに会いに行こうとしたんだけど、連絡つかなくて困ったよ。」
「そうだよ!香澄結構探してたんだよ!」
「あー、ごめんな?」
「そういう事情があったんならしょうがないよ!ここで会えたんだし!」
「良かったねー、香澄?」
「本当だよ、偶然だったんだもんね!」
そして放課後。
「孝ちゃん、放課後予定ある?」
え~と、今日もアイツとゲームする約束してるな。
「ごめん、今日も友達と予定があるから。」
「うーん、そっか。しょうがないよね。じゃあまた明日!」
はぁ~…。疲れた…。いきなり6人の陽キャの中に入るのって陰キャにはキツすぎるって…。
これずっと続くんかな…?