「仏苦魔(ブクマ)先生のおふだ」~なろう中学校の名物先生 仏苦魔剥我爺(ブクマはがし”い)が1年1組に現われた!~
なろうラジオ大賞4参加作品
キーワード「おふだ」
なろう初心者が書くショートショート。
現実世界と異世界の狭間に立つ、なろう中学校に入学し早ひと月。
1年1組のクラスは、何やらとても怖い名物先生がいるという話題でもちきりだった。その先生は滅多に姿を見せず、突如として現れるらしい。
担任の荘セツ先生は、妖精族なので若く見えるが大ベテランだ。
「はーいみんな静かに! 今からテストを返しまーす。初めてなのによく頑張ったね」
先生がテストを配り終えて教室を出て行くと、皆は周囲に知られないように、コソコソと自分の点数と向き合った。勿論、私もだ。とはいえ大体その結果は互いにわかっていて、そのうえ明後日には詳しい結果がばっちり公表されちゃうのだ。それでも、今は一人でそっと見たい。
そのときだった。
ドアが乱暴に開き、何者かが教室に猛然と乱入してきた。
黒く大きな翼、頭には反返る二本角、西洋風悪魔の風体だが中東風の顔立ちで、瞼は重そうで半眼開き、そのくせ付箋柄の和服姿。見れば見るほど怪しい老爺が、生徒たちの頭上を颯爽と飛び回った。
「わっはっはー、貴様ら覚悟しろ! 名物教師、仏苦魔剥我爺の登場じゃい!!」
「ぎゃ~っ、助けて~っ!」
突然のことに何が起きたかわからない私達は教室内を逃げ惑う。
私は本能的にテストを胸に庇って逃げた。皆も同じく必死に走る。
先生がその黒い翼を大きく震わすと、皆のテストが一枚また一枚と宙を舞い、先生に吸い寄せられていく。そして新たな点数に塗替えられて、各々の手元にひらひらと戻ってきた。
減った点数を見て、誰もが愕然と立尽くす。
静まり返った教室で、先生は全員を見下ろした。
「貴様らよ~く聞け! ブクマは点数にあって点数にあらず! 附くも剥ぐも読者の自由! よって漢字はこう書くのじゃ!」
先生はチョークを走らせた。
『仏 苦 魔』
「有難き仏の如く、だが悪魔の如く、貴様ら俗世の人間を翻弄して苦しめるのじゃ!」
蒼白の私達に向かって、更に言い放つ。
「ワシがいつ再び来ても狼狽んように、それまでしっかりと修行を積んでおけ! ……だが修行は厳しく、長い棘の道となるじゃろう……」
先生は腕組をして深い息を吐き、徐に懐から一枚の小さな真っ白い紙を取り出した。
「そこでこの『おふだ』じゃ! これを湯に溶き飲めば、点数の増減など気にならぬ心が手に入るのじゃ」
それを聞いて、暗雲立ち込めていた皆の心に、希望の光が射した。
「1年1組の貴様らだけに、今なら特別価格で分けてやるぞ。……なんだその目は? 貴様ら、まさかワシの名前を忘れてはおるまいの?」
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おふだは飲んでいませんので、お手柔らかにお願いします!