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異世界大陸英雄異譚 レベル3倍 紅蓮の竜騎士  作者: 汐加
第二章 エクストラエピソード
226/227

伯爵令嬢の友達 後編 その3

 ドラゴンは今日中に都市に到達する可能性がある。そのためシャルルたちは超高速移動用魔法道具、浮遊速車でグリュンバルトに向かう。


 連絡用魔法道具、送信具にてランジュルング子爵から連絡を受けたグリュンバルト伯爵ルドルフは、屋敷にてシャルルの到着を待った。


 防衛参加のために来てくれるとはいえ、この危機的状況下で領主自らが出迎えるというのはいささか過剰な感じがしなくもない。


 だが、子爵からの連絡に書いてあった一文が、彼にその決断をさせた。


 シャルルは自らの実力を『皇帝陛下のお墨付き』だと言ったというのだ。


 皇帝の私兵である特務騎士が皇帝の名を出して実力を誇示したという事実。それは並大抵の実力ではないという証左となりうる。


 ルドルフもさすがにゲームチェンジャー的な期待をしていたわけではない。


 だが、もしかしたらゴールドハンター並、最低でもシルバーハンターくらいの実力はありそうだと思い、大きな戦力として期待できると考えそうした。


 ここでルドルフが待っていなければ、彼のフォローを受けられなかったシャルルは特務騎士として実績を残してしまう事を避けるため、真の実力を見せなかったかもしれない。


 もしそうなれば、ドラゴンの被害を完全に防ぐのはかなり難しかったはずだ。


 このあとドラゴンは紅蓮の竜騎士ことシャルルに討伐され、それにより被害は避けられたのだから、ルドルフのこの行動は正解だったと言えるだろう。


 子爵から連絡を受けたルドルフは、シャルルたちを出迎えるためランジュルング方面の門に初老の執事ミルハルトを向かわせる。


 そして自らは屋敷の玄関前で待つが――出迎えの準備が整うとすぐに玄関前に行ったため、すでに結構な時間待ち続けていた。


「少し早すぎたか……」


「かも知れませんわね」


 伯爵のつぶやきに夫人も苦笑。その横でナスターシャはカロリーネに聞く。


「ステラも来るのよね?」


「はい。そう聞いてます」


 もう何度目かもわからない同じ質問に、カロリーネは微笑みつつ同じ答えを繰り返す。


 そして――ミルハルトが出るときに乗って行った伯爵家の馬車が戻ってくる。


「あ、あの馬車。あれよね?」


「ですね」


 降りてくるステラを見てナスターシャは駆け出し――


「ステラ!」


「たーしゃ!」


 二人は厚い抱擁で再会を喜んだ。


 まあ、別れはつい先日の事なのだが。


 ルドルフとシャルルが挨拶を交わす横でステラはナスターシャに言う。


「あのね、あのね。すてら、たーしゃとやくそくしたから、どらごんやっつけにきたの」


「えっ!?」


 ドラゴンをやっつける? ステラが? もしかして、私がステラを星の魔女みたいって言ったり、助けてって思ったから!?


「でもね、でもね。すてら、たーしゃとやくそくするよりもっともーっとまえに、しゃるーとやくそくしてたの。どらごんはしゃるーがやっつけるから、すてらはやらなくていーって。だからすてらはやっちゃだめなの。ごめんね」


 ドラゴンをやっつけに来たと言うステラにナスターシャは驚き心配する。


 だが、結局やらないようなので安心して胸をなでおろした。


「ううん。私、ドラゴンが出たって聞いてすごく怖かった。でもステラが来るって聞いたら、怖いのが少しなくなったわ。だから、来てくれただけでとっても嬉しいの。ありがとう」


「たーしゃ……」


 その後、ルドルフはシャルルと共に対ドラゴンの防衛に向かう。


 ナスターシャは二人の事を心配したが、一緒に留守番する事になったステラとシルフィは――


「しゃるーはすっごくつよいからだいじょーぶ」


「ドラゴンなんてごしゅじんさまの敵じゃないわ」


 と言って笑っていた。

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