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異世界大陸英雄異譚 レベル3倍 紅蓮の竜騎士  作者: 汐加
第二章 エピソード11 環状街道の行商人
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勘かフラグか その1

 食事をし、ケーキも食べ、プレゼントの授与も終了。テーブルの上には空いた皿しかなく、プレゼントを渡す流れで全員が席を立っている。


 これはパーティもこのまま終了だな、と思ったシャルルはステラに言う。


「ほら、お祝いしてくれたみんなにお礼を言わないと」


 シャルルの言葉にステラは頷きそして――


「しゃるー、しるふぃ、けいと、せしる、すてらのたんじょーびおいわいしてくれてありがと」


 そう言うとぺこりとお辞儀する。


 それに対しみんなは拍手とそれぞれ『どういたしまして』に類する言葉をステラに返しパーティは閉会となった。


 さて、あとは風呂に入って寝るだけだ。そう考えシャルルはステラたちに言う。


「よし、部屋に荷物を置いたら風呂に行くぞ」


「はーい」


「はーい」


 そしてシャルルは「それじゃ」と軽くセシルたちに挨拶し、とりあえず部屋に向かおうとする。だがそのとき、セシルはシャルルを呼び止め言った。


「シャルル。明日からの予定について少し話があるんだが、あとでもう一度ここに来てくれないか?」


「わかった」


 そう返事すると、シャルルはステラたちと共に部屋に荷物を置いてから風呂に行く。そしてそのあと部屋に戻ってステラを寝かしつけ、彼女が眠ったのを確認すると食堂に向かった。


 軽く酒を呑みながら待っていたセシルは、シャルルが階段を下りてくるのを確認すると手を挙げる。


「こっちだ」


 それを見てシャルルはセシルの席に行き言った。


「待たせたな」


「なに、問題ない」


 挨拶を交わすと席に着き、手を挙げウェイトレスを呼ぶ。


「すみません、ジョッキとおつまみセット」


「はーい」


 程なくしてウェイトレスが注文の品を持ってくると、シャルルはそれを受け取り支払いを済ませる。そしてセシルとジョッキを軽く合わせ、勢い良く半分程度流し込んだ。


「で、話とは?」


 シャルルが促すとセシルは話し始める。


「ああ、さっきも言った通り明日からの予定なんだが……」


 セシルは今日、商売の交渉に行ったとき運送の仕事を請け負った。内容はジュグベール森林の端にあるエーバ村に荷物を届け、向こうで受け取った荷物を持ち帰るというもの。


 片道は2日程度だが向こうに1日滞在する可能性もあり、だいたい5日は見ておく必要がある。


「つまりその分ザルツァーフェンへの到着が遅くなるんだが……了承してもらえるか?」


「ああ、かまわない」


 元々、途中の町や村に寄るというのは馬車に乗せてもらうための条件に含まれていた。なのでシャルルに異存は無い。


 それに嫌だと言えば降ろされるだけだ。


 セシルには誕生日パーティの準備をしてもらったりと色々と良くしてもらってるし、ケイトはステラの面倒を良く見てくれている。


 新しい馬車を探す手間を考えても、5日程度の寄り道で手放すという手は無い。


「それに依頼主がつけた手伝いが一人同行する事と――元ハンターのあんたに言うのもなんだが、村は端とはいえ森の中。道中は街道に比べ危険だという事も了承してもらいたい」


 シャルルとしては知らない人の同行はなるべく避けたいところだが、状況から考えて手伝いは荷物の見張りも兼ねていると考えられる。したがって嫌だと言っても無しで良いとはならないだろう。


 ならば、ここは付き合いやすい奴である事を祈るのみ。


 森の中の危険については何が出てきても自分とステラを守りきる自信くらいはある。セシルとて自分とケイトを守れる自信があるから依頼を受けたのであろうし、それについてシャルルが言う事は特に無い。


「わかった。了承しよう」


 シャルルの返事を聞き、セシルはほっとした表情を見せる。


「悪いな」


「なに、元からそういう条件だっただろ?」


 そう言ってシャルルが笑うとセシルも笑う。


 そして翌日。セシルの馬車は同行者である若い男を乗せ、ジュグベール森林に向かった。




 同行者はホルガという20代前半くらいの人間の男。茶髪の短髪で、体格はセシルに負けてないがフォースや魔法の力は無い。ダヴィン生まれのダヴィン育ちで、普段は倉庫街で働いているのだと言う。


 明るい性格でステラともすぐ仲良くなり、一緒に歌を歌ったりしてくれた。


 村までは街道のような整備された道ではないが、道らしきものがあり特に問題なく進む。


 そして二日目の昼前。森の入り口に差し掛かったところでセシルは言った。


「気をつけた方が良さそうだ……何かが出そうな気がする」

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