表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界大陸英雄異譚 レベル3倍 紅蓮の竜騎士  作者: 汐加
第二章 エピソード9 国の行く末を憂う老人
168/227

魔導帝国の皇帝 その2

 区画もそうだが、この部屋は城壁の中という事もありあまり広くはないものの、貴族の屋敷を思わせるような豪華な作り。品の良い装飾品なども飾られていて小規模な応接室といった感じだ。


 恐らくさっきの部屋は一般人を待たせたり取調べをしたりするような部屋で、こっちは貴族などの重要人物を待たせる部屋なのだろう。


 シャルルが勧められるままにソファに腰掛けそんな事を考えていると、ノックのあとにメイドが紅茶とお菓子の載ったワゴンを押して入ってきた。


 コンラートはメイドを見て軽く頷くと言う。


「準備を致しますのでこちらでおくつろぎになってお待ち下さい。何かありましたら彼女にお申し付けいただければ、可能な限り対応させていただきます」


 そしてメイドがお辞儀をするのを見届けると、扉の前で礼をしてから部屋を出て行った。


 コンラートが去るとメイドはお茶の準備を始めるが、それを見てステラは言う。


「すてら、おちゃよりじゅーすがいーなぁ」


「では、ご用意致します」


 そう言うとメイドはお辞儀をして部屋を出ようとする。そこにステラは追加で言った。


「あ、しるふぃにまゆ? ってゆーのも」


「まゆとはなんでございましょう?」


 振り返ったメイドは首をかしげ聞く。


 するとステラはなんとか説明しようとするが――


「えっとね、えっと……しるふぃがおいしいって、ゆってたの」


「はぁ……」


 うまく説明できず、メイドは困惑の表情を浮かべる。


 ステラは助けを求めるようにシルフィを見るが、彼女もどう説明したものかと戸惑っている感じだ。


 それを見てシャルルはくすりと笑うと代わりに説明する。


「魔法燃料の魔油だ。エレメンタルは魔法燃料を摂取するのでな」


「ああ、それでしたか」


 メイドは納得して頷くが、次に頭を下げつつ言う。


「申し訳ございません。あいにく魔油はすぐにはご用意できませんので少々お時間をいただく事になるかと思います。よろしいでしょうか?」


 それを聞きシャルルは考える。


 そういえば、魔油を見たのはヴォルフの屋敷だけで売っているのを見た事が無いな。


 という事は、貴族などでないと簡単に手に入れられないものという可能性がある。だとしたら、それを用意しろと言うのも無理難題を押し付けるようで良くないのではないだろうか?


 そもそも魔法燃料であれば良いのだから魔油である必要も無い。


「魔石でも良いのだが……」


「それでしたらすぐにご用意できます」


 そしてしばらくの間、シャルルたちがメイドの用意した紅茶や菓子、ジュースや魔石などを楽しんでいると、コンラートが戻ってきた。


「準備が整いました。こちらへどうぞ」


 先行するコンラートに、シャルルはシルフィが魔石を持ったままなのを見たステラが菓子を持って行こうとするのを注意したり、いつまでもメイドに手を振るステラの手を引っ張ったりしながらついて行く。


 するとそこには馬こそユニコーンではなく単なる白馬の二頭立てだが、マギナベルクでラーサーに召喚されたときに匹敵するような豪華な箱馬車が停まっていた。


「おおー、しゃるー。おうまさんしろいね」


「そうだな」


「なかなかすてきな馬車じゃない」


 三人の感想を聞きコンラートは満足そうな表情を浮かべると、箱馬車の扉を開け乗車を促す。


「では、どうぞ」


「どうも」


 シャルルはステラを抱き上げると、シルフィを伴い勧められるままに乗車する。


 それを確認したコンラートは、御者に出発の指示をしてから自身も馬車に乗り込んだ。


 馬車は外見に劣らず中も豪華で、ヴィアントシティで乗ったヴォルフの馬車を広くしたような感じになっている。


 そして、道が舗装されているおかげもあるだろうが振動も少なかった。


 透明度の高いガラス張りの窓からは町の景色が見え、様々な店がある商店街を抜けて行く。


 窓から見える街並みに興奮するステラたちを見ながら、たぶんこのまま貴族居住区にあるヴォルフの屋敷に行くんだろうな……とシャルルは思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この話と同一世界で別主人公の話

『小さな村の勇者(完結済)』

も読んでみてください

よろしければ『いいね』や『ポイント』で本作の応援もお願いします

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ