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異世界大陸英雄異譚 レベル3倍 紅蓮の竜騎士  作者: 汐加
第二章 エピソード7 伝説と生きた男
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魔導師と大陸北部の歴史 その1

 シャルルの目の前に座る老人、帝国貴族ヴォルフ・ロットン。竜狩りの魔導師の弟子でもある彼は、ティーカップを持つと茶を少し飲み喉を潤す。


 そしてゆっくりと語り始めた。伝説と共に生きた彼が知る大陸と英雄の歴史を。





 遥か昔、大陸の覇者はドラゴンだった。


 人類はその脅威に対抗するすべを持たずただ逃げ隠れるのみ。


 そんな中、ドラゴンの脅威から世界を救うべく一人の魔術師が立ち上がった。


 その魔術師の名はデクレシス。


 彼はドラゴンに対抗するため、かつて大陸からドラゴンを一掃したと言われる古代魔族が遺した遺跡を調査、研究していた。


 そしてデクレシスは大陸北部中央に位置する地、ロットにある遺跡の調査中にそこで眠る幼子を発見する。


 幼子を保護した彼は、発見した地にちなみロットベルンと名づけその子を育てる事にした。


 ロットベルンに類まれな魔術の才能がある事が判明すると、デクレシスは彼を魔法の導き手、魔導師になれと教育する。


 そして時は経ち――超一流の魔術師となったロットベルンは、デクレシスの教えに従い魔導師となるため修行の旅に出た。


 ロットベルンは方々で才能のある者を探し、弟子として鍛え導いて行く。


 そして弟子たちと共に大陸中のドラゴンを倒して回った。


 そんな彼を人々は竜狩りの魔導師と呼んだ。


 魔導師と呼ばれるようになったロットベルンは、弟子たちを連れ故郷であるロットに帰還する。


 だが、そこで彼を待っていたのは最強のドラゴン黒竜王に滅ぼされた故郷。そして黒竜王に挑み敗れた育ての親であるデクレシスの死という現実だった。


 旅の中で弟子たちと共に数々のドラゴンを葬ってきたロットベルンは、故郷と師父の仇である黒竜王の討伐を決める。


 そして弟子たちと共に挑んだが――返り討ちにあい、多くの弟子を失うと共に自身も大怪我を負った。


 こうして竜狩りの魔導師は、しばらく歴史の表舞台から姿を消す事となる。


 竜狩りの魔導師さえも退けた黒竜王を止めるすべは無く、大陸は黒竜王の天下となった。


 だが、それも長くは続かない。なぜなら黒竜王に匹敵する強さの白いドラゴンが出現したからだ。


 白いドラゴンはその強さから黒竜王にちなみ白竜王と呼ばれるようになる。


 この二匹の竜王は、他のドラゴンを捕食しながら大陸中で暴れ回り大きな被害を出していった。


 そして他のドラゴンを食い尽くした竜王たちは、雌雄を決するべく戦い始める。


 二匹の竜王の戦いは激しく凄まじく、その戦いには人類を含む多くの生物が巻き込まれて行く。


 そして大きな被害を出したその戦いも終わり白竜王が残った。




 黒竜王が敗れたという知らせは、長年の療養を終え打倒黒竜王のために弟子たちと共に修行にいそしんでいたロットベルンの元にも届く。


 彼は自らの手で師父デクレシスや弟子たちの仇を討てなかった事を悔しがった。


 だが、最後のドラゴンである白竜王さえ討伐すれば大陸に平和が訪れる。それは師父や弟子たちへの手向けにもなるだろう。


 そう考え、打倒黒竜王のために蓄えてきた力を白竜王に向ける事に決める。


 しかし、黒竜王さえも葬った白竜王の力は凄まじく、ロットベルンは返り討ちにあってしまう。


 こうして彼は再び多くの弟子を失う事となった。


 このとき大陸に残るドラゴンは白竜王だけ。したがって白竜王を倒せばドラゴンの脅威は完全に無くなる。


 だが、竜狩りの魔導師さえも退けた白竜王を倒すのは不可能に近い。


 とはいえ逆に考えれば一匹しか居ないドラゴンの被害を受けるのは運が悪い者だけだ。諦めから人々はそう考えるようになり、ドラゴンの被害など他人事だと考えるようになった。


 しかし人々がそう考えようが白竜王は我が物顔で暴れ回り、森も人里も関係なく破壊して行く。そのため他人事ではない人もやはり存在する。


 そんなあるとき運悪く白竜王に襲われていた町を一人の騎士が救った。


 騎士の名はミルフィーユ。彼はその後も何度となく白竜王と戦い、人々の逃げる時間を稼いだり退けたりして人々を守るべく奮闘する。


 そしていつからか、白銀に輝く装備を身に着け高度な秘術を操る彼を聖職者たちは神の遣いであると崇め、人々は白銀の聖騎士と呼ぶようになった。

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