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異世界大陸英雄異譚 レベル3倍 紅蓮の竜騎士  作者: 汐加
第二章 エピソード6 雪の降る町
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年末年始 その3

 年明けの朝。昨晩ステラと一緒に寝たシャルルは、いつも通り彼女の蹴りで目を覚ます。そしていつも通りくすぐって彼女を起こすと新年の挨拶をした。


「明けまして、おめでとうございます」


 すると――やはりと言うか、ステラは新年の挨拶を知らないらしく、目をぱちくりさせると首をかしげる。


 だが、シルフィはちゃんと知っているらしく、丁寧にお辞儀をすると普通に新年の挨拶を返してきた。


「あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします」


 それを聞き再び首をかしげるステラ。


 シャルルは彼女に新年の挨拶を教える。


「いいかステラ。明けましてというのは――」


 そして顔を洗い歯を磨くと食堂に行く。


 食堂では、シャルルもなんとなくそうなっているんじゃないかという気はしていたのだが、やはりみんな雑煮を食べていた。


 一応おせちもあるらしく、雑煮に加え単品できんとんや黒豆、昆布巻きや伊達巻といったものを注文している人もいる。だが、全部頼むのは高いからか、完全なおせちを食べている人は居なかった。


「明けましておめでとうございます」


「あけまして、おめでとーございますっ」


 ウェイトレスの挨拶に、ステラは覚えたての新年の挨拶を嬉しそうに返す。


 シャルルも挨拶を返しつつ、やはり新年の挨拶は同じなんだな……と思う。


 それからシャルルは雑煮を二人分頼み、たぶんステラも食べたいだろうと単品できんとんと伊達巻を頼んだ。


 そして――


「しゃるー、うにょーん」


「ああ、うにょーんだな。良く噛んで食べろよ」


「うん」


 伸びる餅に大興奮のステラをあやしつつ食事を取った。


 デザート的なものとしてきんとんや伊達巻も食べ、食事が終わるとシャルルは懐から紐の長い小さい巾着を二つ取り出す。


 これは昨日雑貨屋で買ったもので、ぽち袋が売ってなかったから代わりに買ったものだ。シャルルはそれにきれいな銀貨を1枚ずつ入れるとステラとシルフィの首に一つずつかけた。


「お年玉だ。無駄遣いするなよ」


「わぁ。ごしゅじんさま、ありがとう」


「しゃるー、ありがとー」


 二人は首から提げられた巾着を手に満面の笑みで礼を言う。


 それからシャルルは二人を連れ、新年の町に繰り出す事にした。




 大陸に神社や寺は無い。したがって初詣もないようだが、似たようなもの――というかほぼ同じものとして、新年に教会で祈りを捧げる風習がある。なのでシャルルは二人を連れて教会に行く事にした。


 ちなみにこの町にある教会はもちろん聖王教の教会ではない。大陸全土に広がる宗教、神聖教の教会だ。


 神聖教は世界の創造主を崇める宗教で元々は人間の宗教。しかし今では宗教を持っていなかった魔族はもちろんの事、独自の宗教を持つエルフやドワーフにも信者が居る。


 この宗教、太古には教皇を頂点とするピラミッド型の組織で構成されていたと言われているが、現在は基本的に各教会ごとの独自運営。そのため創造主を崇めるという基本は同じだが、国や地方によって教義がちょっと違ったりする。


 ちなみに聖王教は神聖教の派生で、聖王を創造主の分身と位置づけ同一視して崇める宗教だ。


 教会に到着したシャルルたちは集まった人々で混雑する中、無病息災やら旅の無事やらを祈願する。


 そして初詣気分を味わったあと商店街に行った。


 商店街には出店のようなものがあり、いつも以上の賑わいを見せている。


 そこに甘酒を売っている店があったので、シャルルは一杯買ってみる事にした。

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『小さな村の勇者(完結済)』

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