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異世界大陸英雄異譚 レベル3倍 紅蓮の竜騎士  作者: 汐加
第二章 エピソード5 宿場町の灯火(ともしび)
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灯火(ともしび)の幼女 その1

 宿場町エンデルテで『灯火の魔女』ことスージーと出会ったシャルルたちは、腰を痛めた彼女の代わりにしばらく街灯を灯す事になった。


 そして、その対価として宿と食事の提供を受け、更に魔術の講義をしてもらう事になる。


 それから彼らは午前はスージーに魔術の講義を受け、午後は次の目的地に向かう馬車の情報を集め、夕方は街灯を灯すという日々を過ごした。


 今日も朝食のあと、片付けが終わりしばらくするとスージーの講義が始まる。


 そして生徒であるステラと共に、特にやる事の無いシャルルやシルフィも席に着いて向かいに座るスージーの話を聞いていた。


「魔術で何か現象を発現させるっていうのは、料理を作るのに似てるわ」


「料理?」


「もうごはん?」


「さっき食べたばかりでしょ」


「うん。すてらまだおなかすいてない」


「うふふ」


 シルフィの突っ込みにステラが答えるのを見てスージーは笑いつつ続ける。


「発現した現象ができ上がった料理だとすると、スクロールはレシピでマギアは料理の腕といったところかしら。マナは食材ね」


「ふむふむ」


「もちろんでき上がった形を知らないとちゃんとしたものにならないからイメージも大事。でもイメージは盛り付けみたいなものだから少しならアレンジできるわ」


 魔術を使うにはスクロール(呪文書)とマギア(魔力)、そしてマナ(魔素)が必要だ。もちろんそんな事を意識しなくても使えるのだが、理解していた方がより使いやすい。


 子供にそのまま説明してもわかりづらいだろうという事で、スージーは料理に例えて説明したのだが――ステラはしきりに首をかしげているのでどうやら伝わらなかったようだ。


 だが、それでもシャルルはそういう教え方もあるのかと感心する。


 スージーの教える事はソフィのそれとかなり似ているが、さすが学校で学んでいただけの事はあって知識が豊富。なのでステラと共に彼女の講義を聞いたシャルルも、この世界の魔法について一層理解を深める事ができた。


 スージーの知識を見てシャルルは考える。


 やはりステラも学校に通わせるべきだろうか?


 魔導帝国の国民は、魔法の才能があれば大陸有数の学府であるデクレシス魔導学院に入学し無償で勉強ができる。当然ステラは帝国民ではないが、辺境の村の出身と言えばごまかせそうな気がしないでもない。


 だが、帝国にステラの潜在能力がばれれば平穏な生活は難しくなるだろう。


 それを考えると通わせるならなるべくしがらみがなく、場合によってはすぐに逃げ出せるようなところが望ましい。


 そこでシャルルは講義のあとスージーに聞いてみる事にした。


「魔法を学べる学校はデクレシス魔導学院以外にもあるのか?」


 不意に出された質問にスージーは少し考える。


「大都市にある学校なら魔法も学べるとは思うけど……専門的な学科があるのは帝国だと帝都の学院だけじゃないかしら」


「他の国だと?」


「詳しくは知らないけど、リベランドの黒曜魔法学院や、聖王連合の聖王神学校あたりは有名ね。まあ、聖王神学校は秘術専門だけど」


「なるほど」


 さすが大国と呼ばれる大陸北部の三国には相応の学校があるのだなとシャルルは感心する。


 だが、今更リベランドには戻れないし、聖王連合の方は秘術専門なので関係ない。


「大陸南部には無いのか?」


「南部ねえ……そういえば南部の離島にある魔法都市ウルティマギアの魔法学院は、魔術ではデクレシス魔導学院、秘術でも聖王神学校に比肩すると言われていたわ」


「ほほう」


 詳しく聞くと魔法都市ウルティマギアは国に所属しない独立した都市らしい事がわかる。


 そこの学校ならしがらみもなく理想に近いとシャルルは思ったのだが――その場所は大陸の最南端の更に先。大陸から離れた島という事で、ここからだとあまりに遠い。


 まあ、一応そういうところもあるという事だけシャルルは頭の片隅に置いておく事にした。

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