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異世界大陸英雄異譚 レベル3倍 紅蓮の竜騎士  作者: 汐加
第二章 エピソード3 辺境の町
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辺境の町と街灯 その3

 シャルルたちは街灯を灯しながら住宅街を抜け人通りの多い商店街に出る。


 そこでは久しぶりに灯される街灯に人々からの拍手や歓声が起きたり、ヘルマンやネリーが町人たちに声をかけられたりした。


「こんにちは。この人が新しい魔術師さん?」


「町長、これで夜も安心ですね」


「ようやく暗い夜から解放されるよ。ありがとう」


 それに対しヘルマンは挨拶を返しつつ、シャルルは臨時で新しい魔術師ではない事などを説明する。


「臨時の方でしたか。でもしばらくはいるのでしょう?」


「ええ、まあ。一応、新しい人が来るまでの予定ですよ」


 シャルルの返事になら安心だと町の人々は胸をなでおろす。


 そしてシャルルたちが街灯を灯しながら商店街を進むと今度は子供たちが寄って来た。


「すげー、魔法使いだ!」


「あ、プリムちゃんが二人いる!」


「そっちの子は誰?」


 子供たちは次々に思った事を口にしつつシャルルたちについてくる。


 そして日が沈みかけると、もう暗くなるから早く家に帰りなさいとヘルマンに言われ子供たちはしぶしぶ帰って行った。




 初日という事や町の人々に話しかけられた事もあり、早めに出たにもかかわらず日が落ちても街灯を灯す作業は終わらない。


 ようやく商店街を灯し終わり戻ってきた住宅街もあとわずかというとき、ステラはシャルルのローブを引っ張って言った。


「ねーねー、しゃるー。すてらもそれやりたい」


「ん? じゃあ、やってみるか?」


「うんっ!」


 シャルルたちの会話にヘルマンたちは驚く。


「え!? ステラちゃんは魔法が使えるんですか?」


「ん? ええ、まあ。少しですがね」


「ステラってまほうつかいなの?」


「えへへ」


「ごしゅじんさまの家族だもん。それくらいとうぜんよ」


「おおー」


 ネリーに驚かれステラが照れたり、なぜか誇らしげなシルフィにプリムが感嘆の声を上げたりする。


 そんな様子を見て少し笑うとシャルルはローブを開き、肩からかけていた赤いバインダーホルダーを外した。


 これはステラのスペルバインダーが入ったバインダーホルダーで、ステラが魔術でいたずらしないようにシャルルが預かっているものだ。


 シャルルはそれについている紐の長さを調節してステラにかけてやる。


 そしてしゃがむと言った。


「ほら、肩車してやる。しっかりつかまれよ」


「やったー」


 ステラは嬉しそうに笑うとシャルルの肩に足を乗せ、彼の頭にしがみつく。


「ほら、これを使え。左手はちゃんと私の頭をつかんでろよ」


 シャルルはそう言うと、ライトの付与に使っていた棒をステラに渡す。


「はーい」


「ほら、左手」


「あっ」


 元気良く返事をしつつ早速左手を離すステラにシャルルは注意した。


 そしてステラは街灯にライトを付与する。


 ライトは初級の魔術であり、使える者であれば誰がかけても効果はほとんど変わらない。したがって当然なのだが、街灯はシャルルのやったそれと同等の光を発し始めた。


「おお」


「ステラすごい!」


「わー、明るい」


 ヘルマン、ネリー、プリムが感嘆の声を上げほめると、得意になったステラは誇らしげに腰に手をあて胸を張る。


 だが、まだ彼女はシャルルの肩の上。そんな場所でそんな事をしたものだから当然バランスを崩してしまう。


「あ、こらっ」


「わっ、わっ」


 あわてるステラとシャルルだったが、シルフィがステラを支え事なきを得た。


「もう、わたしがいないとダメなんだから」


 シルフィの言葉に一同から笑いが起きる。


「ああ、助かった」


 そう言ってシャルルがなでるとシルフィは嬉しそうに笑った。

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