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捜査3日目~毒

 マイヤーとクラクスは医務室のベッドに副市長の遺体を寝かせた。

 軍医のザービンコワは、マイヤーとクラクスに死ぬ前の副市長の様子を聞いた。死ぬ前の症状は、大量の発汗、手の震え。ザービンコワの見解では死因は薬物による急性中毒死。

「先ほどの水差しの水を調べたいので、持って来てもらえますか?」

 ザービンコワは言う。

「私が取って来ます」。

 クラクスはそう言うと、走って医務室を出て行った。

「では、私はこのことを警察に伝えてきます」。

 マイヤーも医務室を去った。


 しばらくして、クラクスが水差しを持って戻ってきた。ザービンコワはそれを受け取った。

「どうやって毒を調べるのですか?」

 クラクスは質問した。

「この水を、ネズミに飲ませて反応を見ます」。

「ネズミを飼っているのですか?」

「こういう時のためにね。ネズミは城を探せばいくらでもいるから、罠を仕掛けておくのよ」。

 ザービンコワは医療室の奥に行く。クラクスもついて来る。奥の倉庫にネズミが入った小さな檻があった。ザービンコワは水差しの水を檻の中にある小指先程度の器のような物に数的落とす。

 しばらくしてネズミが水を飲む。しかし、ネズミの様子が変わることがなかった。

「どうやら毒はないわね」。

「でも、死因は毒なんですよね」。

「そうかもしれないけど、ひょっとしたら別のところで毒を盛られたのかもしれないし、ただの病死なのかもしれない」。

 ザービンコワはうつむいて考えこんだ。

 マイヤーとクラクスによると、副市長のエストゥスは執務室に入ってくる前から汗をかいているのを見たという。それは毒によるものか、病気によるものか、それとも、ただの緊張によるものか。

「詳しい死因は警察に調べてもらいましょう」。

 ザービンコワそう言うとネズミの檻が置いてある倉庫を出た。クラクスもその後に続く。


 ちょうど、マイヤーがアーレンス警部と数人の警察官を引き連れて医務室へ戻ってきた。

 彼らは副市長の遺体を運び出し、警察本部の地下にある遺体安置室に置くという。

「遺体を移動します。このことは家族の方に、我々でお伝えしておきます」。

 ザービンコワがアーレンスに水差しの水から毒は出なかったと伝えた。念のため警察でも調べるそうだ。アーレンスは例の水差しを持って出た。警察でも恐らく水さしの水から毒は見つけられないだろう。またこの件で、警察はヴェールテ家も捜査するという。もし、副市長が毒殺であれば、どこで毒を盛られたかは今のところ不明であった。

 警部は部下数名に言って、遺体を運び出し馬車に遺体を乗せて出発した。マイヤー、クラクス、ザービンコワはそれを見送った。

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