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57 急に戦うことになったんだけど!?

少し投稿遅くなりました!すみません!

 話を始めようとする。

 そしてそこで考える。まず話を始める前にすべきことがあるのではないか、と。

 そう、まず何をするにも簡単な自己紹介くらいはしないと始まらない。

 名前が分からないと少し不便だ。


 「えっと、話を始めようと思ったんだけど、まず自己紹介から入ろうか」

 「そうでした。何から何まで気が回らず、」

 「レリスは気が使える良い人だから大丈夫!」


 さっきから私に対して頭を下げ過ぎなのだ。

 気を遣うな、とは言っても無駄だろうから言わないけど、それでもそこまで大げさにしてもらう必要もないんだけどね。


 「じゃあ、私から。

 私の名前はルア。一応神樹やってます。でも、皆が思うようなものじゃないからあんまり過度な期待とはしないでもらえると助かるよ」


 私がそう言うとレリスが立ち上がる。

 あー、またこれ何か言い出すやつだ。


 「何をおっしゃいますか!ルア様は呪いからこの森を身を挺して救ってくれたお方です!であればその存在は何よりも尊いものなのです!」

 

 そうそう。こういうところが駄目なんだ。恥ずかしいったらありゃしない。

 私が尊い存在なわけあるか!


 「それは言いすぎだよレリス。別に私もみんなと何も変わらない。それどころかまだ木だし」

 「そこなのです!木の状態でありながら自我がある。そんなお方が私たちと同等の存在などと、恐れ多すぎます!」

 

 もうここまで来るといっそ嬉しくもなって来る。

 いや、言われてて悪い気はしないんだけど。でも、やっぱり間違っている事は間違っていると言わないと後々面倒になるものだ。それで間違い続けて面倒な人生を送った私が言うのだからこれは本当だ。


 「そっか。うん分かった。ありがとレリス。じゃあ次の子に自己紹介を」

 「それでは私が!」

 

 さっきの話の勢いそのままに、今度はレリスが話始める。

 名前、種族、好きな物、嫌いな物、好きな者、嫌いな者。そしてこれからの意気込み。

 

 「よし。分かったありがとう」

 「いえ、ですが……」


 あまりの退屈さにさっきまで起きていた筈のハティが部屋の隅で寝ている始末。

 これ以上続けていると長くなりそうだったし……物だけじゃなく者も言い出した時はネタなのかと思ったものだ。

 ちなみに、彼女の好きな者、いわば好きな人は私とテティだった。嫌いな人ははっきりとユフェリスだと言い放った。まあ、そうだろうね。

 

 まあ、まだまだ人数はいるので次の人に名乗ってもらう。

 次はレリスの横に座るもう一人の大精霊だ。


 「お初にお目にかかります。私はこの森の大精霊が一柱、ユリスと申します。お話は精霊王様から伺っておりましたが、挨拶が遅れた事、お詫び申し上げます」

 

 レリスもああだし、ユフェリスもああだから、てっきりこの人もそうなのか?と思ったがどうやら杞憂だったらしい。

 

 「うんうん。簡潔でよく分かったよ。ありがとうユリス!」

 「ハッ!ありがとうございます」

 

 レリスと違って普通に簡単な挨拶だった。まあ、普通の会社員の私からすればこれこそが普通の自己紹介なんだけどね。あ、もちろん言葉遣いとかは違う。単なる話の簡潔さの話だ。


 「じゃあ、次は……」


 そこでリニィと目が合った。

 ま、一応名前は知っているがみんなやっているし、ここは一緒にやってもらおう。

 

 「わ、私ですか?どどどうしよう!?あ、アルマー!!」

 「えっと、すみません。リニィはこの通りなので、私からご挨拶を。私はアルマ、そしてこちらはリニィです」

 

 落ち着いた口調で話すアルマとは違い、リニィは今も焦っているからか「あわわわわ」とか言っている。うん、可愛い。

 

 「ありがとうアルマ。リニィももう少し普通に喋れると良いんだけどねー」

 「すすすみません!!」


 そこまで挙動不審にならなくても、と思うもののまあ緊張してしまうものは仕方が無いのだろう。

 ま、この二人は知っているし特に聞くことも無いのでここで終わっても大丈夫だろう。


 後は残り二人。一人はさっき遅れてきた少し調子の良い子で、もう一人はさっきから私を恐らく睨んでいる。

 なぜ恐らくかというと、ほとんど表情が動かないからだ。喜怒哀楽もなければただ目にだけ力を込めて私をにらんでいる。

 私、何かしたのかな?


 「んじゃあ、次は僕かな?いやー、さっきは遅れてすみません。いつもの事なので気にしないでもらえると助かるんですが」

 

 先に話を始めたのは遅れてきた子だ。

 

 「まあ、私は気にしてないし大丈夫。あ、でもあんまり待たせるとレリスに迷惑だからこれからは少し気を付けた方が良いよ」

 「へー、神樹様って意外と優しいんだね。てっきりもっと怖いのかと思ってたよ。あ、僕の名前はレインだよ」

 

 少し驚いたような顔をしてから名前を名乗るレイン。

 そうそう、こんな感じでみんな接してくれればいいんだけどね。

 だが、それはどうやら難しいようだ。

 

 「やだなー、みんなしてなんで僕を睨むんだよ?」

 「あなたの態度があまりにルア様に対して馴れ馴れしいものだからだわ」

 「レリス様だってそうすれば良いんだよ。ほら、神樹様だって多分この方が良いんじゃない?」

 

 今ここで返答に困るような事言うなよ!

 確かにもう少し気さくにしてくれていいし、何ならレインくらい砕けてくれても構わない。 

 でもさ、今ここでそれを言うのは少し、というかかなり怖いじゃん?

 レインを見るレリスの目がとてもじゃないけど怖すぎる。


 「いや、まあ、礼儀は大事だよねー、ハハッ……」

 「え!?さっきはあまり気を使わないで欲しいって」

 「時と場所を考えて、ね?」


 TPOこれはとても大事な事だ。

 時と、場所と、場合。これを弁える事こそが社会で生きていく上で大切な事だと思う。

 どれだけ仕事が出来ようが、どれだけ上司に媚びを売ろうが、これが出来ていなければ相手にもしてもらえない。

 

 「そ、そんな。僕は言われた通りに……」


 膝からその場に崩れ落ちるレイン。

 いや、お前アレが素だろ?そんな私に合わせてたのに、見たいな感じで言われても困るっての!


 と言う訳でレインはそこに置いておいて、次は彼だ。


 「あの、名前を聞いても?」

 「……」

 「あのー」

 

 なんで無視するんでしょうか?

 何こいつ!?第一印象最悪だわ!これが面接で私が面接官だったら確実に落としてるね!

 でも、それ以上に怒っている人がいるから私の怒りなんてすぐに吹き飛ぶ。

 レリスが彼に物凄い威圧をしながら睨んでいる。

 

 オーラを放っての威圧。多分人間とかだったらこれだけで倒れてるんだろうな。

 そのレリスの威圧に気圧されたのか渋々ながらもようやく口を開く。


 「て、ティルシェ」

 「はい?」 

 「だからティルシェ。俺の名前だ」


 凄い高圧的な態度でそう名乗るティルシェ。

 いや、私何かしました!?

 本当に心配になってきた。するとどうやらそんなティルシェの態度についに限界が来たのかレリスが立ち上がる。


 「ティルシェ!あなた、ルア様に何か言いたいことが?」


 その凍えるような声音と共に濃密なオーラを放つレリス。

 驚いたことにレリスから何やら冷気のような者まで立ち込めている。


 「くっ……!」

 「何かあるなら言ってみなさい?」

 

 気圧されて未だに身動きすらとれないティルシェ。

 だが、意を決したように自分もオーラで対抗する。

 レリスからしてみればそれは無いにも等しい程度の霊気ではあるが、それでもティルシェはそのオーラで必死にレリスに対抗する。


 「ぁ、り……えだ」

 「なに?」

 「あたり前だ!!」


 声を張り上げるとオーラが膨れ……上りはせず、そのままレリスのオーラで後方へと飛ばされて壁にぶつかる。


 「へぇー?当たり前?ルア様に言いたいことが?不満があるのが当たり前?いつからあなたはそこまで偉くなったのかしら?」 

 「偉い偉くないじゃない!俺はそいつが、神樹様を語る偽物が許せ、」

 「許せない?あなたが何を許せないの?」


 レリスの周囲の気温が零度を下回ってマイナスになる。

 部屋の中は霜が降りたように白く染まっていく。


 「神樹様はいない!いるはずない!神樹様を語る偽物め、絶対に俺がお前の化けの皮を」

 「そう、それが答えなのね。いいわ、なら仕方が無いからあなたはここで、」


 消してあげる、とか言いそうな勢いでレリスが手に魔力を集め始める。

 いやいやいやいや、それはアカン!駄目や!死んでまうって!


 「スト――ーップ!!落ち着こうレリス!!」

  

 私はテティの手を一旦止めさせて二人の間に割って入る。

 

 「そんなことしたらティルシェが死んじゃうから!」

 「いえ、殺さない程度のお仕置きです。もっともこの程度で死ぬのなら生きている価値なんてございませんから」

 

 まるで恐ろしい悪魔みたいな事を言い出すレリス。

 

 「まあ、でもさティルシェの言いたいことも私はなんとなくだけど分かるんだよね」

 「分かる、ですか?ティルシェはルア様を侮辱したのですよ?」

 「侮辱って、まあ、それはそうなんだけど。でも、急にノコノコと現れて急にこの森の神様である神樹を騙った。たぶんティルシェはそう思ってるんだよ」

 「騙る?なぜルア様がエイン様を騙るのでしょうか?確かにルア様とエイン様は違うかもしれません。それでも同じくこの森の為に尽力してくれることに変わりはありません。それは騙りではなくルア様が当然の様に高尚なだけです」

 「高尚って、私木だから高尚も何も……ま、でも私も少し腹が立ったのは事実かも」


 さっきからレリスに諭そうとしていたのだが、私もどこかでティルシェに腹が立っていた。

 それに、たぶんこの子はこれからも私には色々と反発してくる気がする。別に反発して関わらないでくれたりするのであれば良いのだが、やっぱりそうは行かないだろう。

 だって、あの目が、鋭い眼光が私をいつ殺してやろうか?なんて風に怪しく光っているからだ。

 きっとこのまま何も対策を取らなければ私に対しての謎の悪意を向けたまま寝首をかかれるかもしれない。

 木から進化するまでは殺されるわけにはいかない。いや進化しても殺されるわけにはいかない。そんな何度も何度も都合よく転生がある筈が無いのだ。

 だったら、ここで一度黙らせておくのもありだろう。

 精霊は昔から契約事には忠実なのだとテティから聞いたことがある。だからこそわざとらしく唐突に大声で言い放つ。

 

 「そっかぁー、私がきにいらないかぁー!」

 「――!!」

 「そうだよねそうだよね。ぽっと出の木に神樹様を馬鹿にされるのは気に入らないよねぇー?」

 「そ、そうだ!俺は、お前みたいな奴は断じて認めない!!」

 「でも、それだと私も困るんだよ。だから、勝負をしない?」

 「勝負、だと?」

 「そう。単純な戦いの勝負。私はまだ木だからテティのこの身体を使わせてもらう。でも、別に同じ精霊だし、神樹様を騙るような奴には何をされても負けないよね?」

 「当たり前だ!俺が勝ったら、その時はお前の本性を暴かせてもらおう!」

 「わかった。その代わり私が勝ったらこれ以上私の邪魔をしないで?」

 「いいだろう!」


 そう自信に満ちた表情で返事をするティルシェ。

 一見公平そうなこの戦い、実はティルシェが馬鹿なおかげで私には実質的な被害は何もない。

 というのも、ティルシェが提示した条件は私の本性を現せ、という物なので私は本性を現すことになる。つまり、なんてことないビッグ・ウッド・ボディ!!を見せるだけ。

 隠してもいないし、何なら虚栄も虚勢も張っていない。

 隠す者が無い。なんせ私木ですから。

 この~木何の木木になる木ぃ~、って心の中で歌ってしまうくらいには余裕がある。

 ちなみに私は種別不明。ちなみにあの木の種別はモンキーポッドの大樹って言うらしい。

 あの番組を見ては、まだ明日も休みなのだと謎の無敵感を得ていた学生時代が懐かしい。


 まあ、今の私は年中休日なんだけどね!

 


これ書かないと評価は要らないと思われるらしいので。

面白い、続きが気になる、などなど色々思われた方はページ下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして貰えるとありがたいです。

皆さんのその評価が執筆意欲に繋がりますのでどうかよろしくお願いします!

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