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51 スキル確認と周辺状況

 私の森の代表者としての台頭日?からおよそひと月が経った。

 今日も今日とて私は一本の木として特に何もせずただただ一心に太陽の光を浴びている。


 あれからエルフたちとも協力し合って少しずつだがこの周りについての情報を得ることが出来た。

 まずこの森、精霊の森の場所についてなのだが、どうやらここは大陸の真ん中あたりに位置しているらしい。エルフたちにこの世界の大まかな地図を見せてもらったのだが、真ん中も真ん中、ど真ん中にかなり広く広がっているらしい。

 だが、不思議なことに今まで人間たちがこの森に侵攻してくるなんてことは無かったのだとか。

 それどころか数十年から数百年に一度くらいの感覚で極たまに人間が迷い込んでくるだけで、他にはほとんど何も無いらしい。

 もっともそれはここ1万年程度の事らしく、それよりも前、それこそエインさんとやらが世界樹に姿を変えた頃とかには頻繁に人間たちが訪れていたりもしたのだとか。


 そんな話をしつつもう幾つか気になったのだが、まずはなぜ人間たちがこの森に侵攻してこなかったのかだ。最初は精霊の逆鱗に触れないようにとか、そう言う事かとも考えたのだが、それにしてはこの前のフェルナンドの国王たちは精霊たちを完全に舐めなめきっていた。

 それを不思議に思っているとエルフたちが推測だが語ってくれた。

 エルフたちが言うには、恐らく人間たちがこの森の存在を忘れているのではないかとのことだった。

 この森は地図で見るように周りを山脈に囲まれている。つまり、ここに到達するまでに少なくとも数週間は掛かることになるのだ。それに、どうやら山には竜なんかも住み着いているらしく、人間がここにたどり着くのは相当な時間と労力が必要なのだとか。


 そこでまたしても疑問が浮かぶ。

 ではなぜ人間たちはこの森の事を忘れているのかだ。こんな資源の宝庫は人間たちからすればどんな危険を冒してでも抑えたい場所だろう。それなのにそんな場所を忘れるだろうか?普通なら報告書にでもまとめて大事に保管していくはずだ。

 だが、それに対しても今度はユフェリスが答えてくれるのだった。

 最近私(テティと共有中)にずっとくっついているからか私が疑問に思っているとすぐに答えてくれる。まるで秘書だね。それとも使用人?

 そんなユフェリスの言葉によると、まずこの森には外部からの認識阻害の魔法がかけられているのだとか。そんな感じの話は以前にも聞いていた。だが、その次が重要で、その魔法は人間の脳に直接作用するらしく、この森に関する情報に作用するらしい。

 かなり、というかこの魔法自体かのエインさんとやらが使ったものらしく、世界中にまで忘却作用が広がっていたらしい。これを聞いてると本当に同じ神樹として考えられているのがとても恥ずかしい。恐れ多いとすら感じてきた。

 だが、その忘却作用もエインさんが消滅してからは段々とその効力が弱まってきていたらしい。

 今までは少なかった迷い人も年々増えてきているのだとか。

 そして何よりもその影響を受けたのが、山脈の麓らしい。

 どんな影響か聞いたところ、どうやら魔物が増えてきているのだとか。


 この世界には魔素というものが存在するのだが、一応それにも属性と呼ばれるものがあるらしい。

 火であれば火属性、水であれば水属性と言った感じに魔素も属性を持つのだとか。これは余談だが、空気中に存在している物は基本的に無属性、つまり属性無しだ。


 では、この森やその周辺もかというとそうではないようで、どうやらこの森の魔素は聖の属性を帯びているらしいのだ。

 ゲームで言うと聖には対するように魔があるが、それも同じらしく、どうやらこの森は精霊がいて尚且つ神のお膝元というのもあって相当聖の力が働いているらしい。

 つまり、端的に言うと魔物が生まれないのだ。

 魔物は魔素によって生み出されるが聖なる魔素からは生まれない。そこから生まれるのは基本的に精霊などに近いもの。

 つまり、魔物はどうあっても出現しないわけだ。


 そう、しなかったのだ。

 それが最近山脈の麓で魔物の存在が確認されたらしい。

 というのも、森と外界にはそれらを分けるように例の魔法、いわば結界が張られているわけだ。

 それが今まではエインさんとやらの力が強すぎた余り結界を張っていてもそれが結界に収まりきらず外に漏れだしてしまっていた。それが原因で、というかそのおかげで外にも――主に山脈のこちら側一帯は濃密な聖なる魔素によって満たされていた。

 だが、ここでもエインさんの消失と共にその漏れ出ていた魔素も消失。

 森自体は以前とほとんど変わらぬ魔素を保っているが、外には漏れ出ないため必然的に外の聖なる魔素は激減。

 そして、これも厄介なことに、外はほとんど人もいないので普通の魔素はその場にずっと溢れているわけだ。通常の魔素であれば魔物は普通に生まれるし、魔素の量が量なので結構な強個体が生まれているのだとか。


 とまあ、こんな感じで色々と問題が起きているわけだ。

 それにしてもこの森がちょうど大陸のど真ん中にあるとは思ってもみなかったが、これに今まで気が付かない人間たちも人間たちだろう。 

 まあ、エルフたちが言うには厳しい条件がすべてそろって初めて山脈越えが出来るそうなので今まで人間たちがここに来なかったのもある意味では当然らしい。


 とまあ、そんな話をこの一か月くらいで聞いて、他にもエルフの村に行ってみたりもした。もちろんテティの視覚を貸してもらっているのだが。


 さて、そんな感じで私はこの一か月色々とあったわけだ。

 そして、重大な事を忘れていた。

 

 考えてみると、スキルの確認も何もしていなかったのだ。

 最近は本当に木に染まっているからか時間の感覚がおかしくなっている。

 いや、この森では正常なのだろう。今までの私が異常だったのだ。


 さて、それじゃあ今までできなかったスキルの確認をやっていこうと思う。

 いや、ほんとこれぞチート!みたいなスキルを貰ったっていうのに、今まで全然確認していなかった自分が不思議でしょうがない。


 それじゃあ、どうやってスキルを確認するんだっけ?

 と思っていると、私の頭の中に文字が浮かんで来る。

 この気配は!?


 《聖大樹:ルアのスキル確認を行います》

 能力‐『森林支配』『万能者』『物理耐性』『魔法耐性』『炎熱耐性』『苦痛耐性』『洗脳』


 ほえー、こうしてみると圧巻だね。

 スキルが結構増えてるのにも驚きだけど、それよりなにより目を引くのが最初の二つだ。

 『森林支配』これは『森林操作』の上位互換スキルだろうと思う。またより多く、広い範囲の植物を操作できるようになったわけだ。

 そして、少し気になる一文を見つけたのだった。それが『森林支配者権限』という物だ。

 見るからに結構凄そうなものだが、果たしてどんなんものなのか、少し調べてみたが効果については何も記載が無い。

 謎多きスキル。ただそれだけで私の心が刺激される。

 でもなー、支配者権限っていかにもな感じだしなー。なんか面倒ごとに巻き込まれそうな匂いがプンプンするんだよね、このスキル。


 まあ、一先ずそれは置いといて、次は『万能者』についてだが、これは私が望んだとおりの物だった。

 まず『鑑定』が使える。これ使うの夢だったんだよねー!

 次に『検索』が使える、なんでもこれは分からないことなどを検索できるらしい。

 そして、次が凄かった。

 『対応』なんて能力だが、これが飛んだぶっ壊れ能力なわけだ。その場その場で最適なスキルやら魔法やらを獲得したり作り出すことが出来るのだとか。

 もちろん出来ないものもある。が、それにしても壊れているのは変わらない。

 多分だが簡単な耐性系のスキルなんかは作れたりするんだろうと思う。


 《スキル『万能者』によって『精霊魔法』を獲得しました》


 なんと精霊魔法なんてものを獲得してしまったらしい。

 これは精霊の固有能力らしいが、そんな物まで獲得してしまうとは、やっぱりとんだ壊れスキルであるのは間違いないだろう。


 他にも耐性系スキルに『洗脳』なんてものまで獲得していた。

 洗脳、洗脳ねー。

 いや別に良いんだけどさ、でもやっぱり洗脳なんて聞くと悪役っぽいイメージがあるから少し複雑なんだよね。

 ま、木に対して良いも悪いも無いだろうから良いんだけどさ。


 いろんなスキルを獲得して、ついに私も本格的な異世界デビューをしてしまったわけだ。 

 イエーイ!今日から私は異世界最強系主人公だウェーイ!!


 ま、スキルが強くなろうとも、私は未だに動けないんだけどね!

これ書かないと評価は要らないと思われるらしいので。

面白い、続きが気になる、などなど色々思われた方はページ下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして貰えるとありがたいです。

皆さんのその評価が執筆意欲に繋がりますのでどうかよろしくお願いします!

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