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36 大事なお話

pvが10000を突破しました!本当にありがとうございます!

 「それにしても、ルアは凄いね。まさかスキルでこんなことが出来るなんて」

 

 私のスキル『感覚共有』についてセリアは感嘆の声を上げる。 

 結構みんな持ってそうなスキルだけど、案外持っていないらしい。もしかしてこれチートなんじゃ?

 私ってば無自覚チート?無自覚無双!?マジで?異世界主人公まっしぐらじゃん!イエーイ!!


 テティはそんなセリアの肩に乗っかって精霊たちの棲み処へと向かって行く。

 子狼はというと、今もセリアに体を預けてすやすやと眠っている。

 まだ子供の為かその体は前世の子犬や子猫と変わらないサイズだ。これが大きくなると、体長3メートルほどになるらしいので信じられない。


 私はいつも通りテティの感覚を共有してもらっている。

 毎回思うのは、この森があり得ないほど大きいという事。 

 ここ最近はよくテティにいろんな場所に連れて行ってもらっているが、まるで大きさの限界がしれない。

 

 「そういえばセリナはユフェリスと?」

 「ええ。以前、加護を授かった私が訪れた時に、良くしてもらったの」


 この森の精霊は基本的に平和的だし、温厚だ。助けを求める者には手を差し伸べる優しいものばかり。

 私としては悪い人間に騙されそうで怖いが、騙されたところで人間にどうにか出来るような存在ではないのは私が良く知っている。


 「それにしても、この森は本当に綺麗だね」

 「そりゃ、精霊の森だしねー。向こうの世界の森とか山も綺麗っちゃ綺麗だったけど、これはまず格が違うというか、次元が違うんだよねー」

 「へー?向こうの森ってどんなだったの?」


 どんな、と言われても……


 「なんかここよりももっと深い緑で」

 「緑で?」

 「光があまり入らなくて、それでもってじめっとしてて」


 自分で言うのもなんだが言葉だけだとまるで幽霊とかが出てきそうだ。

 

 「そんでもって、なんか不気味」

  

 うーん、この森とはまるで正反対みたいな感じだ。

 まあ、仕方が無い。確か日本の気候って温暖湿潤だから仕方が無いんだけどね。

 でも、この森を毎日見てると、もうなんだかなーって感じだ。 

 もちろん日本も良かった。紅葉シーズンなんかは結構綺麗だとも思っていた。

 この森が綺麗すぎるだけなのだ。そう。この森がね。

 

 異世界最高だな、おい!


 そんな事を話しながら進んでいると、どうやら目的地に到着したらしい。

 すると前から一人の女性が歩いて来る。

 

 その大人っぽい印象に優し気な表情。

 おっちょこちょいなリニィとは出で立ちからして違う堂々とした風格。


 「レリス?どうしたの?」

 

 テティがそう首をかしげる。

 そんなテティの前に跪いて、


 「ルア様、本日はどのようなご用向きで?」

 

 うん。ばれてるー。

 別にバレようがなんでも良いんだけど、それにしても私だと確信づいている。


 「ど、どうしてバレたんですかね?」

 「ルア様の気配は私たち精霊とは少し違いますので、しかも、その、霊気が大きすぎるので」


 霊気?霊気ってアレだよね?なんか強い人が出してる強い奴証明みたいな。某戦闘漫画の覇気とか、気みたいなものでしょ?

 それが私から?そんなまさか。んなばかなことがねえ?だって私木ですし?


 でも、あれ?言われてみれば、霊気って魔力と同じみたいな話をどこかで?

 私って毎日光合成してるわけじゃん?


 「ち、ちなみに、本当に出てるとして、どのくらいの霊気が?」

 「ざっと、森から霊気が漏れ出るくらいかと」


 ……はい、アウトー!!

 それはアカンでしょ?森から霊気が漏れ出るって、体から漏れ出たのが霊気でしょ?それがこの森から外に?いや、アカン!それはちょっと恥ずかしすぎる!なんか体からいろんなものが漏れ出てるって、凄い恥ずかしい!


 「ちなみに、霊気の抑え方、知ってたりします?」

 「その、えっと……気合、ですかね?」


 駄目だった―!?って、レリスさんこの森で結構まともな人だと思ってたけど、そうでもないの?

 仕方が無い。今は我慢することにしよう。そう、少し恥ずかしいが仕方が無いのだ。私からいろんなものが出っ放しらしいが、仕方が無いのだ。プライバシー的に危ない気もするが仕方が無いのだ。


 「ごほん!ええっと、それで私たちがここに来た目的だけど」

 「お久しぶりです、大精霊様」


 後ろからセリアが歩み出る。

 お久しぶり、ってことは以前にも会ったことがあるのだろう。

 まあ、ここに来たことがあるらしいし、別に不思議な事でもない。


 「お久ぶり、ああ!あの時の!随分と長い間見かけませんでしたが、お元気そうですね」

 「はい。おかげさまで」

 「それで、神樹様と一緒なのは?」

 「この間、ちょうど森に入った時に倒れてしまって、それで」

 「そうでしたか」


 二人はしばらく話し込む。

 私たちのけ者にされてんすけど?おーい?


 「ああ、そうそう。それでご用件は?」

 「そうでした。私は精霊王様にお話しがあるんです」

 「それは……分かったわ。察しはつきました。それではテティと神樹様もこちらへ」


 そう言って私たちはユフェリスの元へ向かう。

 私は別に行かなくても良いんだけど、というか半分くらいは部外者だけど、皆が神樹様として融通を聞かせてくれるのでずかずかとお話に入り込んでいこうと思う。


 そして、少し大きな部屋に連れてこられて、そこにはユフェリスが机についていた。

 私に気が付くと慌てて立ち上がり、やはりレリスと同じように私の前に跪く。

  

 「神樹様、ようこそお越しくださいました」


 うむ。くるうしゅうない。面を上げい!!くらい言った方が良いのかな?

 

 「そして、君が来たか、セリア。あの男は、また君を……」

 「ご無沙汰しています精霊王様。まあ、それはもう……良くはないですが、それでも今は良いんです。それよりも、今回は大切なお話をしに来たんです」


 そこでユフェリスはセリアに椅子に座るよう促す。 

 レリスはドアの前で立っているようだ。なんか秘書みたい。


 そしてテティ(私)は机にドカッと降り立つと、そこにある果物やらを食べ始める。

 もちろん私は味なんて感じないが。

 

 そして、椅子に座り、居住まいを整え、目の前のユフェリスにセリアは向き合うと、少し間をおいてから覚悟を決めたようにその口を開く。


 「精霊王様。私の、『勇者』の加護を、お返しに参りました」


これ書かないと評価は要らないと思われるらしいので。

面白い、続きが気になる、などなど色々思われた方はページ下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして貰えるとありがたいです。

皆さんのその評価が執筆意欲に繋がりますのでどうかよろしくお願いします!

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