34 異世界人ってそんなにタブーなの?
評価が少しずつですが増えてありがたいです。本当にありがとうございます!
目の前の少女はまるであり得ないものでもいるかのように私を見る。
そんなまじまじと見つめられると照れちゃうなー、
「ほ、ほんとに木が!?」
「ルアは少しおかしいから喋れる」
「いや、おかしいて。ま、確かにおかしいんだけどさ」
テティが急におかしいなんて言い出すから私少し今ショックを受けてます。はい。
「そんな話聞いたことも……まさか、本当に神樹様!?」
「いや、違いますって!大体、ただの社畜OLが神様って、もうそれ何かの罰ゲームじゃない?」
「しゃちく?おーえる?どこかで……」
何やら考え事をしているような少女。
でも、そろそろ話しに戻らないと話がどんどん脱線してしまう。
「まあ、今は私の事は置いておいて、あなたはどうしてここに?」
途切れていた話をまた再開する。
なぜ人間がここにいるのか、それになぜこの森の事について詳しいのか。
テティは何やら納得していたけど、私は何も分からない。
だから話してもらわないといけない。いや、まあ、別に知ったから何ってわけじゃないんだけど、それでもやっぱり私だけ仲間外れは嫌じゃん?
「そうだね。話さないと……私は、」
「それより、お腹空いてない?テティいっぱい美味しい果物知ってるから、一緒に食べよう?」
え?ちょっと、テティさん?お話しは?私まだ何も聞けてないんですけど?
これはあれか?自分は聞けてしまったから他の事は別にどうでもいいみたいな感じか?
うん。テティさん。前から思ってたけど結構マイペースだよね?
いや、別に血液型と性格の関係性なんて無いって言われてるけど、それでもやっぱり、テティさんてB型なんじゃ?いや、精霊に血液型があるのかは知らないけど。
「うん。食べようか精霊さん!」
うおーい!!ちょっと待てやい!私!私のこと忘れてない?
ここにまだ話してる人いるって!
それに私は食べれないのになに二人で食べようとしてんだえー!?
「あ、あのーお二人さん?」
「ルアは食べれないもんね。だからちょっとそこで見てて?」
見てて?ってそんな上目づかいで言われてもさあー。
うん。可愛いから許すけど。
でも、これなんて拷問?してる人いない?
空腹感なんて無いし、食欲もないはずなのになんでかお腹が空いてくるような感覚があるんだよね。
あの果物食べたい。甘いんだろうな。この森の木のみとか果物とか、多分凄く美味しいんだろうな。
だってここ魔素濃度高いし。だから精霊からしたら絶品なんだろうなー。いいなぁー!!
二人して私の目の前に座ってモグモグと果物を食べ始める。
いや、なに?そんな美味しそうな顔見せないで!?こっちまで食べたくなってくるじゃん?
くっそー、私だって、私だって!!
いいもんね!私だってご飯食べるもんね!
さあ、我が枝の葉よ!その身に光を吸収するのだー!!
光が葉にあたり、スキル『森林操作』の『光合成』で光を魔素へと変換していく。
これいいよね。光を原動力に魔素を生み出すんじゃなくて、光そのものを魔素に変換するんだもんね。
一応これが私にとっての食事だから、別に果物が食べられないくらい悔しくもなんともないんだからね!
「ほんと、ここの木の実や果物は美味しい」
「外よりも美味しい?」
「ええ。流石は精霊の森ね」
そんな風に美味しそうに頬張る二人。
私はそんな二人を……別に恨めしそうになんて見てないし!
私木だから食べれないし!だから別に食べたいなんて思ってないし!思ってないし!!
「な、なんだか後ろのルア様?から凄い視線のようなものを感じるんですが?」
「お気になさらずー」
「で、でも……」
「大丈夫だよー。別にそんなあなたを食べようとか、そういうことを考えてるわけじゃないからー」
自分でも今の言葉は物騒だな、なんて思ってしまう。
でもさー、だって食べたいもんは食べたいもん!
私だけ食べれないとか酷すぎない!?あー!食べたい!お酒飲みたい!焼き鳥食べたいよー!!
「う、ぐすっ。私、の事は……気に、しないで。あなた、達だけで、も」
「な、なんかすみません。私もうお腹いっぱいなので」
「うん、ごめん。今の演技だから。気にしないで食べて」
「ええー?」
やばい、演技力が凄すぎて相手に申し訳なさを与えることに成功してしまった。
声だけでそんなことできるなんて、声優の才能でもあったのかな?だとしたら勿体ない事したなー。
「ルアは少しイジメすぎ」
「すいやせん。でもさー、やっぱり私だって食べたいものは食べたいしさ。もう、ほんと、こうなってから100年近くは飲まず食わずで」
考えてみれば私は100年。場合によっては何も食べていないし飲んですらいない。
一応気候は前世と同じくしっかりあるし、雨が降ることもある。
でもさー、正直根っこから水分吸ったところで水呑んでる感とか全然ない訳じゃん?
無ですわ。知らないうちに水分が補給されてるんですわ!
こんな、何にも飲まず食わずだなんて、きっと私の体重はあの頃からとても減っているんだろうなー。
あ、木だから体重とかもうどうでもいいんだわ。というか何なら私多分tはいってるね。普通にトラック並みの重さはあるだろうね!
やだ!私の体重リアルトラックだわ(笑)
「ん?100年間飲まず食わず、ですか?」
「そうそう。それ以前も一体何百年経ってるかはわかないけどね」
「つまり、以前は食事をしたことが?」
「あるある。何なら毎日家に帰ってやけ酒の日々でしたわ!」
「お酒まで?え?でも、ルア様は神樹様で、え?」
何やら凄い混乱している様子だ。
そういえば私が転生者なの言ってなかったっけ?
ってことは彼女の脳内では今頃木のまま酒飲んでる私が想像されてるってことだ。なにそれシュール!
「あ、いや、この姿のままじゃなくて」
「ルア様は、異世界人というのは知っていますか?」
「え?」
突然彼女の雰囲気が変わる。
異世界人。テティからも聞いていた通り、この世界では異世界の人間はそう珍しくも無いらしい。
でも、なんか怖い雰囲気になってない?
なに?まさか異世界人は殺されちゃうの?異端者認定されて処刑台に?
いや、私木だから処刑台とかには乗っかれないんだけど。
もしかして、そんな不用意に前世の話とかしない方が良かったり?
あーあ、やっちまったぜ!てへっ!
また100年の惰眠を貪ることに……
これ書かないと評価は要らないと思われるらしいので。
面白い、続きが気になる、などなど色々思われた方はページ下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして貰えるとありがたいです。
皆さんのその評価が執筆意欲に繋がりますのでどうかよろしくお願いします!




