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24 やっぱり、私は木になりたい!!

 おー、死んだと思ったら、今度はなんだか変な真っ白な場所に……?

 

 ん?これって、スーツ?

 あれ? 

 あ、眼鏡も付いてる。

 

 「私、死んだはずじゃ……?」

 

 あ、まさかここで天使とか女神が出てきたり?

 だったら私を木に転生させたこと文句言ってやろうかな?

 木に転生したからこそテティに会えた、とはいえやっぱりそこは結構色々おかしいじゃん?


 「一発顔面に神の右ストレートを……って、誰もいない?」

 

 これって普通、目の前に女神様とか天使がいるべきじゃない?

 え?

 まさかあのスキル使うと完全に死ぬことすら出来ない。みたいな詰み展開が待ってたの?

 

 いや、ないわー。

 そりゃあ最終確認までするわけだわ。


 あるよね、こういうの。 

 ゲームとか、アニメでも。自分の力の全てを使うことで輪廻の輪から外れては虚無に落ちる、的なさ。

 いや、虚無にしては結構明るいなここ。


 「おーい。誰かいないのー?」


 声を出してもあんまり響かない。

 防音室にいるような感じだ。


 まさかこんなところでこれからずっと過ごしてくの?

 凄い嫌なんですけど?

 せめて私をスーツ姿に変えるならパソコンの一つや二つ、くれても良くない?

 

 「森どうなったかな?」

 

 そればっかりが気になってどうしようもない。

 果たしてリニィたちは無事だろうか?

 森は無事に再生しているだろうか?


 心配はある。

 でも、もう私にどうこう出来ることでもない。


 それよりも、これから何をしていけばいいか、だ。

 しかも今私スーツだし。

 なに?死んでも仕事しろって?どんな社畜精神論だよ!?

 

 「仕事なら尚更パソコンくれない!?私肉体労働できないんだわ!!」

 

 その場でごね始める。

 私本当に運動とか無理なんです!

 高校最後の体力テストは、全て平均を大きく下回っていた。

 握力なんて17だった。

 もうね、ほんと体力が無いとかそんなレベルじゃないんだわ。

 ペットボトルのキャップも固いやつだと開けるのに一苦労だったつーの。

 

 そんな私に対して肉体労働をさせようとしてるのならそれはあまりお勧めできない。

 だって、絶対仕事を増やすだけだもんね!


 「って、ほんと誰かいねーの!?」

 

 いい加減誰か出てきても良くない?

 この際女神じゃなくてもなんでもいいから、誰かー!!


 大体さ、こんな空間にほっぽり出されて一体何をしろと?

 何を求められてるん?

 え?もしかしてガチ目な方で永久にこのままなの?

 誰かがここに呼び出したんじゃなくて?


 嫌だ!やめて!流石にこの空間に永久に一人は無理だよ?

 私の心が壊れちゃう!!

 なんで、森救って精霊たちを治したのに、こんな仕打ち?酷くない?

 せめて違う世界に記憶を消して転生させるとか、

 永遠に虚無に落ちるとかでも意識は消すとかしないわけ?


 不親切にもほどがあるでしょ!

 スキルも魔力も命まで投げ打って得た対価がこのスーツと眼鏡。

 そして前世の体。

 

 いらんわ!

 ここじゃなくてあの森に転生した時に欲しかったわ!!


 ………………


 ………………………………


 ………………………………………………


 うん。

 何も起こらない。


 そうだよね。

 そうですよね。

 知ってました。

 分かってました。

  

 そんなご都合展開がこんな立て続けに起こるはずないですよね。

 いや、ほんと調子乗ってました。 

 すんません。

 ご都合展開だよりになってましたよね。


 でもさ、このくらいの期待はしても良くない?

 だって、一応森を再生して、皆の命を救ったんだよ?

 言っちゃえば私、救世主ですわ。

 森を救った大英雄ですわ!

 後世まで語り継がれちゃいますわー!!


 だってのに、こんな仕打ちはあんまりじゃない?

 転生だってあったんだから「死ななかったです、てへっ!」くらいの事があっても良くない?


 まじでないわー。

 もっと前世で読んでたラノベの主人公みたいにキラキラした異世界生活を想像してたのに、蓋を開けてみれば木!!

 しかも一歩も動けないし、進化して動けるようになるまで1世紀以上かかる計算って、もう軽い嫌がらせでしょ?

 もっと美少女転生とか、勇者とか、魔王とか、賢者と……


 《次の選択欄から希望を一つ選んでください》

 

 うわ!

 なんか出た!?

 

 って、あんたは呼んでないわ!

 てか喋ってほしい。 

 最近のこういう転生物のスキルとかって全部音声付きだよね?

 なんで喋んないの?

 

 《1、転生――他の世界に記憶を全て消去して初めからやり直す》


 え?

 何ですかこれ?

 まさか転生させてくれんの?

 ここから選べって……


 あ、す、すみませーん!さっきまでのは、ちょっと混乱してたからで、別に深い意味はないんですー。

 あ、なので出来るなら転生したいなー、みたいな?

 

 パチパチと目を瞬きさせてつぶらな瞳で訴えかける。

 どうだ、私の上目遣いは!

 え?気持ち悪い?ぶっ○すぞ!?


 《2、今の世界でまたスキル無しの状態からやり直す(種族は聖樹のまま)》


 ……や、やり直す?

 これってつまり、またあの場所でもう一度やり直せるって事だよね?

 スキルとかはまた新しく取らないといけないだろうけど、

 でも、もう一度、


 「テティに、もう一度、会える?」


 テティには別れを告げずに死んでしまった。 

 後悔をしたくなかったから。

 今度こそ、選択を間違えたくは無かったから。

 自分の決心が鈍らないうちに、そう考えていた。

 

 「やっぱり、もう一回会いたい」


 一緒に居たい。

 あんなに一緒に居て楽しかったのは、久しぶりだったから。

 多分、前世の親友に、彼女に重ねていたんだろうと思う。

 だから大切にしたかった。

 本当に自分勝手だと思う。

 テティを彼女に当てはめて、それで罪滅ぼしをしてる気になっていた。

 

 それでもやっぱり会いたいものは会いたい。

 私にとって、もうテティはかけがえのない存在なのは間違いないから。


 スキルはもう無くなっている。

 何なら元に戻っても意識があるかどうかも分からない。

 それはそれで目覚めた時は進化してる状態だろうからありではあるけど。


 もう呪いは無い。

 だから100年だろうが1000年だろうが、私の進化を邪魔するものは無い訳だ。

 これからはきっと呪いが無いおかげでどんどん精霊が増えていくだろう。

 逆に増えすぎてしまうかもしれない。

 もしかしたらエインさんはそこんところを考えて呪いなんてものを置いていったのかもしれない。

 

 「ま、賑やかなのはそれはそれで楽しいし、いっか」


 今度は、テティだけじゃなくてリニィとも話したい。

 レリスさんも一度見ただけだったし、

 なにより、ユフェリスさんには謝らないといけない。


 転生したばかりの頃は、木に転生なんて最悪だとも思っていた。

 動けないし、話せないし、何なら動物でもないしで結構愚痴ってた。


 「木になりたいとは言ったけど……まさか、また木になることにねー」


 でも、もう嫌ではない。

 もちろん文句は言うだろう。

 ごねることもあるかもしれない。


 とはいえやっぱり私はあの森が好きだから。

 あの綺麗な森が、

 家族のいる森が、

 テティが、

 

 だから、答えはとっくに決まっている。

 転生した時とは違う。


 スキル?チート?

 そんなものは今からでも手に入れられるのだから。

 

 後悔しないで済んだのだ。

 なら、あとはこのままのんびりスローライフを満喫したいから、

 

 だから私は……


 「私は、木になりたい!!」

ここでこの物語はおしまい……みたいな感じになってますが、まだまだ全然これっぽっちも終わっていません。

というか、何ならここからようやく始まり、みたいな感じです。

強くなるどころかスキルも魔力もすっからかん主人公。

これから色々と問題が起こっていくわけですが、まだしばらくはこの木の姿のまま続きそうです。

まだ動けるようにならないの?と思う方もいらっしゃると思いますが、もう少しお待ちいただけると幸いです。


これ書かないと評価は要らないと思われるらしいので。

面白い、続きが気になる、などなど色々思われた方はページ下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして貰えるとありがたいです。

皆さんのその評価が執筆意欲に繋がりますのでどうかよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 結構なご都合主義なところあるけどきっとまだまだ始まったばかりだから何かしらの設定があると信じてる。 続が気になります
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