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22 過去の後悔(結構真面目)

 私は、自分でも思う程の最低な人間だったと思う。


 恥の多い人間だった。


 後悔だらけだった。

 





 ――――――


 お父さんが死んだ。

 死因は交通事故らしい。

 

 高速道路で、スピードを出し過ぎた車がそのままハンドル操作を誤ってお父さんの乗っていた車に突っ込んだらしい。


 私はお父さんが好きだった。

 自慢じゃないが相当なお父さん子だった気がする。


 もう、何もかもがどうでも良くて、頭の中は空っぽだ。

 今まで笑ってやっていたはずのゲームが出来ない。

 ボタンすら動かせない。

 もう枯れるほど泣いたのに、なんでだろ?


 「なんで、なんでお父さんが……」


 お父さんを殺した運転手は、今も普通にピンピンしている。

 何なら、取り調べでは「高速でちんたら走ってる方がわりーだろ!?」なんてことまで言いやがったらしい。

 ブチ殺してやりたい。

 お父さんが味わったであろう恐怖を、苦痛を、何十倍何百倍何千倍何億倍にして返してやりたい。

 なのに、その筈なのに、泣きたくてももう涙が出てこなくて、


 引きこもってもう半年だ。

 毎日、何かをやろうとして、ゲームでもいいからと思って手を付けても結局は出来ない。

 本も文字が頭に入ってこない。

 いつもいつも何も出来ずに虚ろな目をして過ごす日々。


 「か、楓乃……」


 毎日の様にやって来る親友。

 でも、それでももう何もかもがどうでもいい。

 寧ろ彼女の事も凄く邪魔で、

 

 「ねえ、楓乃。少しで、少しで良いからさ、何かをしてみようよ」

 

 私の事を想ってくれてるのは知っている。

 

 「なんでもいいの。楓乃の好きな事なら」


 私を助けようとしてるのも分かってる。


 「だから、楓乃、私と一緒に……」

 

 でも、この時は凄く彼女が目障りに思えてしまって、

 結局また後悔を重ねてしまう。


 「私にもう構わないでよ!!うるさい!!怜奈が目障りなの!!私の前から、もう消えてよ!!」

 

 今思えば、なんて最低だったのだろう。

 そんな風に思う。

 私を心配した親友を、こんな風に突き放して、それで……





 「楓乃、怜奈ちゃんが……」


 母がそう私の部屋の前で、私にその話をしたのは私が怜奈を傷つけてから一週間後の事だった。


 「何?また来たの?もうしつこい……」


 でも、あの日の事は私でも最低だって分かってたから、謝ろうと思った。

 心の底から、土下座でもして、謝ろうと思った。

 もうけじめをつけて前を向こう。そう思った。

 

 そう思っていた。


 「亡くなった、て……怜奈ちゃんのお母さんから電話が……」

 

 思っていた。

 思っていた。

  

 なのに、また私には後悔ばかりが募っていく。

 

 「この前、楓乃のところに来た帰り道で、通り魔に刺されてつい先日亡くなったって……」


 私があの日、口汚く追い返さなければ死ななかった。

 また私は後悔する。

 また私の心が荒んでいく。


 あの日、もっと真剣に話していれば。 

 あの日に前を向こうと、そう思えていれば結果は違かったかもしれない。


 また、後悔ばかりが募っていく。

 

 あの時こうしてれば、あの時こうだったら。


 そんなものは考えてもどうにもならない。


 だからこそ、私はさらに後悔する。


 後悔ばかりの人生。

 ずっとあの日を背負って生きていく。

 自分があまりにも罪深く思えてしまう。


 とても汚く思えてしまう。

 どれだけ祈っても願っても、懺悔しようとももう彼女は二度と戻ってこない。

 

 それからも、後悔は続く。

 何をしようにも必ずあの頃の事がちらつく。

 それで結局後悔が増えていく。


 そんな恥だらけ、後悔だらけ、汚く灰を通り越したブルーな人生だった。

 私はこうして大切なものを失い続けた。




 ――――――

 

 こうして自分の人生の一部を振り返ってみるとなんとも汚いものだ。

 見なくていいなら見たくない。

 でも、そういう訳には行かないから、


 ずっと、後悔しながら生きてきた。 

 ずっと、何も考えず無気力なまま生きてきた。


 だから私は結婚も出来なかったんだと思う。

 なぜ?なんて不思議がりながら心のどこかで私の中の後悔がずっと私を引き留めていた。

 幸せに現を抜かすことなんて、私自身が許せなかったんだ。


 きっと誰にでも多かれ少なかれ後悔はある。

 でも、私の場合はそれがあまりにも後悔の域を超えているだけ。


 ここでその私の罪にも等しいぐらいのあの日の後悔がなくなるなんて考えてない。


 でも、せっかく転生したんだ。

 ようやく、やり直す機会が貰えたんだ。

 ここでリニィたちを見捨てて、わが身可愛さで何もしないで、そんな事をしたら私はまたこの世界でも変わらない。


 もう嫌だ。

 あんな思いは嫌だ。

 ここで変わらないで、ここで助けないで見捨てて、また後悔するのだけは嫌だ。


 この世界に来てから、まずは外を見る。なんて目標を立てた。

 いつかはこの森を出て、世界を見て回る。

 ただ、それだけの目標。


 なら、別にもう一つくらい目標というか、ポリシー足しても問題なくね?

 いいじゃん、もうあんな思いは一度で十分だし、今回くらいはまっとうに生きたい。


 だから、私はこれから先、絶対に後悔はしない!!


 まあ、些細な後悔はあるかもしれない。

 コンビニでどっちのプリンにしようか迷って、結局選ばなかった方にすればよかった。くらいの後悔はあるかもしれない。


 でも、一つの選択でこの先の生き方も何もかもが変わってしまうような、そんな選択を後悔することだけは絶対したくない。

 せっかくもらった二回目の命。

 だったら、今回は晴れやかな気持ちで人生終わりたいじゃん?


 最後、死ぬ瞬間にさ「わが生涯に一片の悔いなし」って拳を突き上げてみたいじゃん?

 いや、まぁ、そんな悪役になるつもりは無いけどさ。


 でも、そんくらい、清々しく悪役であろうと愛されるくらいの死に方してみたいじゃん?

 そのくらい自分の一生に悔いが無かったって、言い切ってみたいじゃん?

 

 だから、今回は何が何でも助けてやる。

 精霊たちは家族みたいなものだし、きっと進化すれば一緒に過ごすことになるだろう。

 だったら、ここで助けないと一緒に過ごせない。


 それに、テティの泣き顔なんて、もう見たくないから。


 《スキル『星の慈悲』を獲得しますか?》

 

 ああ、当ったり前だ!!

 

 さあ、来い!

 

 私のスキルも、魔力も全部根こそぎ持って行きやがれー!!





 あ、でも、最後にテティに説明だけはしないとだよね?

これ書かないと評価は要らないと思われるらしいので。

面白い、続きが気になる、などなど色々思われた方はページ下の☆☆☆☆☆を★★★★★にして貰えるとありがたいです。

皆さんのその評価が執筆意欲に繋がりますのでどうかよろしくお願いします!

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