15 進化と激痛。いや、痛すぎるわ!?
真っ暗闇の中、それはこの世界に転生して初めて意識が覚醒した時に似ている。
あ、なんか不思議な感じ。
まるで海の中を漂っているようで、なんだか少し体がゆらゆらと揺れているようにも感じる。
光はない。
音もない。
前は見えない。
感覚も薄い。てかこれまた死んでない?大丈夫?
私は、さっきまで何をしてた?
というか、何かをしてた?
分からない。うーん……あ、そうだ!
こういう時は……目瞑って寝とけば何とかなるよね!
そうそう。ど忘れならすぐに思い出すだろうし。なんか真っ暗で何も出来ないしね。
んじゃ、てことで寝るとしますか!
《種族:聖木の進化を開始します》
種族?聖木?
さっきから頭の中に文字が浮かんで来る。
うっさいわー!!こっちは寝たいんじゃい!!
《進化規定を再度確認します》
って、うあああああああああ!?
凄い凄い、てか痛いんすけど?
なにこれ?待って、ほんとにやばいから!?死んじゃう死んじゃう!!
これ頭かち割れるって!!
痛すぎんよ、これ!!痛い痛い痛い痛い!!
まじで、これ頭凄い痛いんだけど!?
なんかいろんな情報がいっぱい入って来るし!?
あー、もう思い出した、思い出しました!!
分かってる、私木になったの分かったから!!
やばいって、まじで痛すぎるって!!
ほんと、『感覚共有』と『植物操作』を併用してもこんな激痛感じなかったけど!?
本気でやばい、これ、マジでやばい。もうやばい以外言えない。
なんだろう?まるで目の奥を抉られるような、え?なに?お前目無いだろって?
うるせー!!私だって、前世は人間だったんじゃボケ!!
とか言ってる場合じゃない程痛いんだけど?
進化するのってそんなに大変なの?そこまで情報必要?なんの情報だよ!?
そんな事を考えながら私は痛みに耐えていく。
まるで視界は焼けるように熱く、頭は何かに押さえつけられるように圧迫されるような感覚がある。
この地獄の苦しみはいつまで続くのか。それだけを考えながら痛みに耐え続ける。
いつか終わるだろう。そう考えながら。
《スキル『苦痛耐性』を獲得しました》
またも文字と共に情報が入って来る。
でも、そんなのに構っていられるほど私は余裕はない。
《スキル『苦痛耐性』を常時発動に切り替えます》
その瞬間、先ほどまでのあり得ないほどの痛みが嘘の様に和らぐ。
未だ多少の痛み、それこそ普通の頭痛並みの痛みはあるものの、さっきまでの異常な痛みは無くなっている。
そんな中、まだ進化は続いているようで、未だ情報は更新され続ける。
《スキル『植物操作』が進化条件を満たしました》
《スキル『植物操作』を進化します》
《スキル『植物操作』がスキル『森林操作』へ進化します》
《進化規定を再度確認》
……
《スキル『植物操作』はスキル『森林操作』へ進化しました》
《情報の整理を開始》
《周辺の探索を開始》
《取得情報の照合を開始》
《各個体の情報を照合》
《各個体との常時『感覚共有』を開始》
なんかさっきから色々と事が進んでくんですけど、どうなってんの、これ?
なんか今恐ろしい物がみえたよね?
常時『感覚共有』って言ってなかった?
ばっかじゃねーの!?アホか!?
ただでさえ情報量が多すぎて無い脳すら焼き切れそうになってるっつーのに、馬鹿やん!!
思わず出来もしない関西弁が飛び出すくらいには馬鹿やん!!
ねえ、知ってる?
情報量が多いと、脳が焼き切れそうになるんだって(実体験)。
この森にいったいどれほどの木々があるかは分からないが、それでも広範囲にスキルの効果が及ぶようになったのだけは分かる。
スペックが高くなったスキルは、取得できる情報量も多くなった。でも、私の頭はそれに比例してハイスペックにはならないため、恐らく情報が流れ込んできた瞬間、私の頭はパーだろう。
そんな私の嘆きなど知らんとばかりに、どんどんと進化は進んでいく。
とはいえまだまだウッドフォームは続きそうだし、動けそうにもない。
起きたらまたあの激痛を味わうのだろうか?
まあ、起きればきっとテティが待っている。別に悪いことばかりでもないだろう。
そう思いながら私の意識は真っ白な光に呑まれ、そして……。
ステータス
種族‐聖樹
名前‐ルア
称号‐無慈悲な樹
能力‐『森林操作』『魔力感知』『感覚共有』『苦痛耐性』『念話』
遅くなりました。
まだまだルアのウッドフォームは続いていきます!
これ書かないと評価は要らないと思われるらしいので。
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