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デュアル

 目が覚めると、見慣れない天井に少し動揺したがすぐに、自分の理解が追いつく。昨日から、この学園に入学したのだ。


 ずっと実家暮らしで自分の部屋もなかった俺からすると初めての城みたいなものだ。嬉しさがこみ上げる。

 と、いっても俺はあまり部屋に物を置くことを好まないので必要最低限しか私物は持ち込まなかったわけだが……少し寂しすぎる気もする。

 まぁ、これからの長い学園生活でそれなりに俺の個性が出る部屋になればいいかという考えに落ち着いた。


 そんな些細な考え事をしながら、1階の食堂へと向かう。てっきり1番乗りだと思っていたのだがそこには、先客がいた。


「あら、おはようございます。見ない顔ですね、新入生の方かしら?」


 先に来て、朝食をとっていた女性が俺に気づいて話しかけてくる。口調からして、先輩のようだ。


「おはようございます。はい、昨日入学しました。上村深月です。」


「深月くんって言うのね。私は柚莉葉、2年生よ。分からないことがあったらなんでも聞いてちょうだいね。同じ風系統同士頑張りましょうね。」


 すごく落ち着いた雰囲気の彼女の見た目とは裏腹に目の前に広がる大量のご飯が何ともミスマッチだ。


「これ、全部一人で食べるんですか」


「いや、これはその、えと…たくさん食べる女の子ってやっぱり男の子は嫌なのかな?…」


 さっきまでの落ち着いた雰囲気が、嘘のようにあたふたしだし身長の低さからもあって小動物みたいでとても愛くるしい。

「あ〜、今馬鹿にしたでしょ!!」

 ほっぺを膨らませる先輩。あざとい!あざとすぎる。

「す、すいませんあたふたしてる姿が可愛らしくてそれですみません」


「か、かわいい!!いや、そんな、かわいいだなんて……ボソボソ……はっ!!そんなことより早く食べないとみんな来ちゃう!誰にも見られないように早く起きたのに!早く食べちゃいましょ!」


 何かボソボソ言っていたかと思うと急いでご飯食べ出す先輩と一緒になって俺も朝食をすませた。もちろんだが俺は、1人前の量を。



 戦闘服に着替え、第2運動場へと向かう。

「よ!昨日はよく眠れたか」


「おはよう、もうヘトヘトでぐったりだったよ。仁は確か火の宿舎サラマンダーだったよな」


「そうなんだよ…暑苦しい先輩が多くてな…この先が思いやられるぜ…」

 火系統はその特徴からどうしても肉体派になりがちだから仕方ないだろうが、あの元気な仁がぐったりしてるのだ…ほんとに風系統で良かった…




「それでは早速授業を始める。君達からしたらこれが初めてのデュアルの使用になる訳だが、誰もが最初からその力を100%使いこなせる訳では無い。日々の積み重ねが大事になる。だから、ここでうまく行かないからと言って落ち込むことは無いからな!!じゃあ、お前から早速やってみろ」


 世間的にデュアルの使用は法律で禁止されている。デュアルはとても強力な力であるが故に日常での使用は許されていない。

 この国の子供たちは14歳の誕生日の月にデュアルの適性を検査するそこで適性を得たものはデュアリストとしての教育を受けるかどうかの選択を得るというわけだ。

 しかしながら、もちろんその強力な力を悪事に働こうとするものも少なからずいるわけで、そんな彼らローグを取り締まるのもデュアリストになる訳だがそれにもライセンスをもった者だけがデュアルの使用が許される為この学園に入学した俺らはまるでデュアルの使い方が分からないわけで…

 

 やはり、いきなりやれと言われてもそう易々と上手くいくものではない。躍起になってる生徒をニヤニヤしながらさぞ嬉しそうな表情で見つめる先生。鬼だな。


「いやぁ、すまない。まぁいきなり出来るわけないからな!!」

 やはり鬼だな

「この魔水晶を使う。これは、ダンジョンの産物の1つだがこれは我々のデュアルに反応しやすい。この魔水晶に意識を流し込むイメージでやってみろ」


 先程の生徒が魔水晶に触れると水晶の中に炎が発生する。


「お前は基本の炎属性だな、今自分で発生させている炎のイメージを忘れずに魔水晶を使わなくても炎を出す練習をすると良い」


 その後、魔水晶がいくつか配られそれぞれが自分の属性を認識し力の制御の練習を開始する。

 いよいよ、俺の番だ。魔水晶に意識を集中指せると中に黒い稲妻が発生する。

「ふむふむ、黒色ねぇ〜」


「うわっ、いきなり背後から話しかけないでくださいよ」


「アハハ、すまんすまん。雷属性の黒…黒雷と言ったところだな」とキメ顔でこちらを見つめる先生


「色がついてると何か関係があるのですか?」

 先生はやれやれと言った様子で色付きについて説明してくださった。


 色付き、またはColorsとも呼ばれたりする。デュアルに目覚める人間は1万人に1人の割合なのだが色付きはその中でもまた1000人に1人と言った割合だそうだ。

 それに、自分の属性に付加価値といった力がその色に応じてつくらしいがそれは、組み合わせによって変わったりとして個人によって大きく違うらしい。

 つまり俺は、レアなデュアルを持っているという事だ。


「色付きは他のデュアルよりも強力だがその分負担が大きかったり制御が難しかったりといいことだけじゃない。まぁ、努力あるのみだな」


「いやでも、ずげぇじゃないか!黒雷ってかっこよすぎだろ!」

 横で話を聞いていたんだろう。仁がガシガシと頭を撫でてくる。仁はどうやら土属性だったようだ。本人はなんか地味だと不満を言いつつも練習にはしっかり励んでいる。


 俺も何とか、指先に静電気レベルだが自力で力を出せるようになったところで終業の鐘が鳴る。どうやらここまでのようだ。


 昼食に仁を誘おうと思い声をかけようとするが仁は右手が岩になったまま解除が出来なくなってるようで、しばらくして、魔力の使いすぎで気絶してしまった……

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