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帰還志望の受難生  作者: 白ム月比心
三章 珍獣街パラ=ティクウ
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10話 誰かのいつか-1-


 俺は()()()()に産まれた。


 寝る前に考え事をするのは習慣だ。


 表情が上手く作れないから普段は誤魔化していた。


 ある日、両親が借金の話をしていてうるさかった。


 かー様に貯金するのが良いって言われたからそうした。


 家族からよく食べかけを押し付けられた。


 家の近くのアリの巣を基地化しようと試みた。


 気に食わない奴を泣かせたら怒られた。


 誰もが友達のようでいて、とにかく区別が無かった。仲良くやろうなんて微塵も思ってはいなかったし、意識も無かったけど、そういう(サガ)というか。

 ただ楽しいだけの時代があったのを覚えている。

 ...あれから、全員どっか行っちゃったがね。


 いつの間にか、かー親が俺にお小遣いをくれなくなった。


 本当に感心した。年下のクソゴミが場当たりな言葉でアホな大人を騙した。


 (ばば)の肩でも揉んでお金を貯めることにした。


 兄が笑いながら殴ってきて鼻血がでた。


 俺は兄を殴り返すことにした。


 サイコパスな同年代の首を絞めたら何故か気に入れられた。


 ババアが俺の金を無断で借りる為に貯金箱を破壊した。


 気に食わない奴の頭に石を狙って投げたら予想外にも当たった。


 かー様によって家から修道院に通わないといけなくなった。

 家から修道院に行くまでのあらゆる視線が怖かった。

 自分でも今回は流石にやり過ぎたとは思う。親の手伝いをしなくて済むから皆は羨ましがるけど、俺は凄く嫌で、特別扱いが嫌で、それに一年は長いし、でも相応のことはしたから嫌でも我慢しなきゃならない。


 あー、そうだなぁ、あの当時の先生は等身大の人間でしかなかった。


 あと修道院には人間観察が趣味のミステリアスな女性がいた。


 家に帰ると俺の兄がそこにいた。


 それまでの友達は友達じゃなくなった。


 あれから一年が経った。ようやく自由になれると思った。

 それで、ウキウキで翌年の朝を迎えたらさ。かー様から二年目も行けって言われたんだけどさ。でも、きっと、俺が悪いんだろうけどさ。

 もう失うものは少ないけど、なんでだよ。


 俺より恵まれた奴の弱音を聞いた。


 かー様と兄姉妹は俺がボッチなのを馬鹿にした。


 兄と姉が共謀して俺の貯金箱を盗みやがった。


 それでも俺は頑張って生きていきたい。目を逸らさないで、昔を抱えて、正直に、誠実に、そういう理想の男を自分らしく突き抜けていきたかった。

 親が役に立たないからそう願っている訳じゃない。

 あぁ、なんでこうも面倒な事になったんだろうな。

 理想の男になりたいのは手段で、運命を乗り越えていこうとする過程で、つまりは不幸に勝ってから死にたいんだよ。


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