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帰還志望の受難生  作者: シロクマスキー
二章 後日談&番外編
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エルモの日記-1-


◇光典暦1242年 正朝の月

   ▽第一週

 〇1日 晴れ


 お父様と精霊について勉強しました。自然発生し、精霊語を喋り、無邪気である。特に、魂が無いので呪殺が効かないという話が興味深かったです。

 その他にもオオド神話の英雄や神々の逸話にも触れました。

 将来の夢の為、アーマレントに来ても勉強は怠れません。

 だけど、私は途中で抜け出してララさんと遊んでしまいました。ごめんなさい。なかなか楽しかったです。またやろう。




 〇2日





 〇3日 晴れ


 今日、革命が起きました。私に出来たことはあまり多くはありません。今思い返しても、大人の指示に従っていたばかりのような気がします。

 聖国軍が過密状態の避難地に押し入ろうとした時もそうです。

 あの時、聖国軍を止めてくれたのは間違いなく聖国の騎士達でした。彼らは軍を止めた後に無礼をしてしまった皆に謝り、軍の目的を伝えました。色々と言いたいことはありますが、とにかく事態が穏便に済んで良かったです。

 その後は騎士達とお父様が勇者お披露目会の件で話し合いました。話を聞く限りでは、明日飛空艇に乗せてもらえるようです。これで道中の安全は大丈夫。

 ですが、お父様はアーマレントがこうなっては誰が自分達の立場を守ってくれるのだろうかと嘆いていました。

 確かに、聖ユーマ教にとって私たちは異教徒です。


 私は怖いです。




 〇4日 雨


 飛空艇に産まれて初めて乗りましたが正直複雑な気分です。

 馬車程ではありませんが、狭くて揺れます。それも独特な揺れ方でして。同行してくれた女性の騎士シャーリーさんもこれには慣れていない様子でした。

 ただ、大空から見渡す世界は本当に素晴らしかったです。


 シャーリー・オルガンさんは好い人。

 嵐の騎士ナハギさんは面白い人。


 空の旅の途中、物資の補給の為にモルトヘイトという町に来ました。そこでは巨大な温室を中心に家が立ち並び、そこら中で水蒸気が吹き上がっていました。

 飛空艇に食料を積み込むところを町の人たちは嫌そうに見ていました。

 お父様が言うには聖国では農作物が育ち難く、魔法で急成長させた植物を原料にした肥料を使って、なんとか農業を行っているらしいです。

 その時はただ大変な環境だと思って聞いていました。

 けど、この町から離れる時、飛空艇から温室の内部が見えました。鎖に繋がれた人々が煙草のような物を育てていました。

 私はこの国が嫌いになりそうです。


 追記:魔法で大きくした植物はすぐ腐る。種も出来ない。味も悪し。




 〇5日 曇り


 当初予定していた到着日よりも七日速い段階でミッドランド・ルール地方にある聖国の首都ロルンバハムに着くことが出来ました。

 飛空艇は巨大な木造建築物に接岸というべきか横付け、入港して、久しぶりに地面に立ちました。なのに浮遊感が取れません。日記書いてる時もまだします。

 ここでシャーリーさんとナハギさんとは別行動になりました。別れ際に、シャーリーさんが防寒服をくれたので着てみると凄く暖かったです。

 ナハギさんはなんと本をくれました。本当に良かったのでしょうか。

 勇者お披露目会の日まではポルタ騎士団の兵舎に泊まります。少し背徳的な気分。私は今、高級な机の上で日記を書いています。


 因みに、貰った本は国際魔術連盟発行の‶無固形機械の夢〟という本でした。試しに読んでみたのですが私には難しすぎる内容です。

 これをお父様に渡してみたら珍しく熱中して読んでました。


 追記:ロルンバハムは精霊語で‶輪廻の城〟の意。




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