空の桎梏
僕の住んでいる街は、なんだか偽りのようだった
僕に振りかかる不運も、幸運も、どこか用意されていたような気がした
何もかもが、そうあるべき
現実の下に集まってくるみたいだ
自由になりたいと願えば
きっと用意された
自由がそこにある
僕は
アプリを消した
誰かと繋がるためのものは
すべて削除した
家族には何も残さなかった
ただ一人
恋人の家に留守番電話を残した
僕は
自分が存在している
ことが不思議だった
これは何か
それはどこか
僕は
なぜか
この街を抜けだそう
どこか遠く
逃げよう
午前四時半だ
日はまもなく昇る
逃げよう
遠くまで
逃げよう
何もかも




