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運命の形
どこかで私を呼ぶ声がする。
この声の主は女の子だろうか。
か細くて、小さくて、綺麗で、まるで小学生のような可愛げのある聞きなれた声。
私の心を照らしてくれそうな声。
その子はずっと走り回っている。
きっと、誰かを探しているのだろう。
そして、その子は今私のいる音楽堂にくるはずだ。
何故って?
それは彼女の探しているものがこの音楽堂にあるから。
彼女が今欲しいものが音楽堂にあるから。
────予想通り。
外の通路をコツコツと歩く音がする。
その足音はどんどん私のいる音楽堂に近づいてきているようだ。
……そして、丁度音楽堂の前で止まる。
音楽堂のドアに鍵は掛けていない。
だから、その足音の主は軽々とドアを開ける。
ドアが開くと暗い音楽堂に眩い光が差し込んでくる。
だけどそれよりも、太陽のように明るい静かな光が私だけを照らしてくれている。
────やっと、見つけてくれたんだね。