プロローグ
もしもこの世のすべてに愛された人間がいるならば
プロローグ
もしもこの世界にこんな人がいたらどうだろう。
山に愛され、海に愛され、空に愛され、動物に愛され、時や運命すらその人を愛する。
こんな人間がいたら何と呼ぶだろう?
「この世のすべてに愛された人間」
こんな感じで皆はそんな人間を呼ぶのだろうか。
仮にそんな人間が存在していると仮定して。
本当に人生を幸せと感じることが果たしてその人間にはできるのだろうか?
彼はそうは思わなかったらしい。
昔は…思わなかった。
否、思えなかったのである。
そしてお気づきだろうが、そう。
この世界には実在するのだ。
この世界に一人、チートをしているとも思える人間が。
そして彼にはもう一つ、皆から呼ばれる名があった。
「神の子」と…
どんな危険な状況下でも、偶然と偶然。
必然と必然がかみ合わさり初めて生まれる奇跡を彼は何度も起こしているのだ。
もちろん、彼はその奇跡で周りに幸せを与える。
でも、そんな奇跡でも彼を幸せという感情にさせることはできなかった。
さて、ここで今更ではあるがその「人間」について軽く説明をしておこう。
彼はまず、「人間」である…はずだ。
少なくとも彼は人間から生まれた。
そして貧しくもお金持ちでもない家に生まれた。
別に不便なく暮らすことのできる家。
彼はそんな家に何の不満も抱いていなかった。
だが、彼は14歳の時。
ちょうど中学三年になったぐらいのころに彼は親と喧嘩をして家を飛び出したことがあった。
その時の彼はその喧嘩について自分に原因があるとも思えていた。
が、彼は親にもなにかあるだろうと言う思いもあった。
だが実際、真実から言わせてもらうと彼が原因である。
結果、彼はこの時「反抗期」であった。
ので、そんな彼はあまり家に戻りたくなかったのだ。
想像すればすぐにわかることだ。
反抗期でなくとも喧嘩したとき、県下の相手と顔を合わせるのは正直気まずいだろう。
そんな訳で彼は家には戻らず山の中へと入っていった。
彼は木に登り待ちを見渡しながら、ずっと喧嘩について深く悩んでいた。
どう仲直りするか、どの面さげて家へと戻ればいいかなど。
そこで不意に、彼の中の感情がこみあげ涙となって流れた。
涙が頬を流れて木の枝へと流れたとき、彼に風が吹いたのだ。
涼しいぐらいの、そんな風だった。
それが心地よくてそのまま木の上で寝てしまった。
彼は夢を見た。
どんな夢かというと、不思議な夢だ。
夢の中で、何かが彼に語り掛ける。
《今日、珍しく君は親とけんかしたね。でも、そこまで落ち込むことはないと思うよ?何せ君は、君の親に愛されているんだから。それに、君の親は今すごく君のことを探しているよ?迷うことはなと思うよ?さぁ、目を覚ましてまずは謝ってきなよ。ほら、早く目を覚まして。ね?》
と夢の中で言われてから…
目を覚ました。
彼は木の上で寝たが、今起きた時には枝の下。
つまり寝ている間に落ちたのだ。
だが彼は傷一つとまではいわないがほぼ無傷だった。
その理由はこのとき彼の下にあった葉がその理由だろう。
登った時にはまったく落ちていなかった葉はなぜか集中的に彼の下に落ちていたという「偶然」。
が、今そんなことに悩んでいる気は彼に無かった。
立ち上がると迷うことなく山を下り、自分の家へと向かう。
どんなに叱られようが、どんな面下げて会えばいいかもわからない。
けど、自分のせいで他人に迷惑をかけることだけはしたくない…
そう彼は思いを胸に、自分の親の元へと向かった。
しばらくして、彼は家に着く途中に親と遭遇した。
彼の親は寝る間も惜しんで彼を探していたという。
ただ、不思議なことに山だけは探さなかったという。
だが実際、探せなかったのだ。
山自身の意思で、探さないようにしたのだ。
そして、彼が夢で語り掛けたのも山である。
山の心が彼自身に語り掛けたのだ。
「皆が君を愛しているんだ」と彼に伝えてあげるために。
もちろん、「皆」にはこの山も含まれている。
その他にも、親や身内に友達に学校の先生やその他の人たち。
更に海や空、風などにも愛されているということを。
だが、そんな彼はその日以来学校などで急に男子からうらやましがられながらも憎まれるようになる。
この作品を読んでくださった方、ありがとうございます。
完成度は少し低いかもしれませんが、個人的に頑張ってもっと面白くしていく予定です!
今回はプロローグですが、次の投稿もプロローグに近いものになってしまっています。
その次からはきっと違うと思うのでまた見てくれると幸いです。
あまりあとがきを書かないので何を書くべきかわかりませんが、これから応援よろしくお願いします!