悪役令嬢はチート調教師様
勢いだけで書き上げましたので少々おかしい点が多々ありますが、お暇つぶし程度にどうぞ。
「はぁ???」
私の全力の「はぁ」がこの空間に響く。
嗚呼、皆様、どうも、ごきげんよう。
私の名前はエマ・ミューゼットといいます。
ミューゼット伯爵家の娘でございます。
そんな私は現在、よく言いますね、悪役令嬢の立場にいるようです。
はい、皆様がよく知っています、あの悪役令嬢です。
この世界でも恋愛小説の中でよく悪役令嬢ってのは出ておりますね。
はい。
っと言いましても、私はそんな悪役令嬢の立場で居るようですが・・・。
そんなヒロインをいじめたりしてませんけどね!!!
えぇ、してませんよ。
そんな暇私にはありませんからね!!!えぇ!!
なのに何を勘違いしたのか、目の前のお馬鹿、ごほんごほん、殿下達はそう思っているそうです。
阿呆じゃないかな。
あ、ちなみに私は殿下の婚約者じゃないですよ1!
えぇ、まだ殿下の婚約者は決まってないんですよねー。
学園を卒業したらって正式に決まるそうですが、あ、一応候補の方達は居るそうですが発表もされていませんから。
まぁ、無駄な争いで優秀な方達がいなくなるのは望ましい展開ではないですからね!
えぇ、ちなみに私は候補じゃないですよ!!
私は全く無関係なんですが・・・何故、私が悪役令嬢の立場にいるかというと・・・。
殿下の反対隣にいる男性。
あれ、あれのせいなんですよ。
あれ・・・マルクス・ドーナン。
あれ、私の幼なじみであり、公爵家のご子息様です。
はい、何故、私が階級の違う彼と幼なじみというかは、私の母親がドーナン家と従兄弟であったからなんですけどねー。
で、その幼なじみがどうやらヒロインに恋をしたようでしてねー・・・。
いや、それだけだったら関係ないじゃんって思うでしょう?
私もそう思います。
でも、なんでか・・・私は関係があるようで・・・。
「はぁじゃない!!もう一度言うぞ、俺はマリを虐めたお前との婚約を破棄する!!」
「だから、はぁ?」
「いや、はぁじゃないっといってるだろうが!!」
・・・何言ってんだこいつ・・・。
まじ、何言ってるんだ。
「いや、だって何を言ってるか理解ができませんもの。」
「なんだと!!?だから!!俺等が愛するマリをお前は虐めたと知っているんだ!そんな非道なお前と婚約などできない!!だから、婚約を破棄すると言ってるんだ!!」
「いや、私、その人を虐めてなんていませんけど?」
「とぼける気か!?マリ本人がお前に悪口を言われたり、足を引っかけられたりと他にもいろいろと非道なことをされ他と言ってるんだ!!」
・・・なんだそれ・・・。
まったくもって身に覚えがないんですが・・・ってか証拠ってまさかそれだけじゃないでしょうね?
え、本人の証言だけで悪者と決めつけてるの?
阿呆なの???
ねぇねぇ、あほなの???
「あの、それだけが証拠とか言いませんよね?」
「本人がそう言ってるんだ!!証拠もなにもないだろう!!」
あーこれ以上に証拠もないんですね。
ホント、馬鹿ぁ?
あー頭痛い。
こんな奴らが次世代のトップになるなんて・・・頭痛い・・・。
「いや証言と証拠は違いますけど・・・ってか、なんで、私がその方を虐めないといけないんですか?理由ありませんけど?」
えぇ、理由がないんですけど!
寧ろ関係も一切ないんですけど?
クラスも全く違いますし!
「理由なんて、俺とマリが仲がいいのを嫉妬してだろう!!」
「・・・はぁ?」
「何をとぼけている!!」
「いや、とぼけている訳じゃなくて・・・それ理由になんてならないんですけど。」
「何を言ってる!立派な理由になってるだろう。」
「いや、なんで私がマルクス様とマリさんが仲が良ければ嫉妬するんですかね?」
「何でって、俺たちは婚約者だから「いや、だからなんで私、あなたと婚約者ってことになってるんですかね!?」・・・え?」
いや、なんでぽかーんってしてるんですか。
皆さん。
特に幼なじみ様。
いや、私、婚約者なんて誰一人していませんけど?
「いや、何を言ってる?俺とお前は婚約者・・・」
「だーかーら、私には婚約者なんて一人もいませんけど!?」
「何を!!俺たちは確かに婚約者で。」
「何言ってるんですか?私たちは幼なじみではありますが、婚約者ではありませんよ?」
「そんなはずは!母様がそう言って・・・。」
「いや、それ母親達だけの口約束ですよ?父親達は認めてませんし、正式なものは一切してませんよ?」
「え、あ、え???」
母親同士は仲がいいから、自分たちに娘息子が生まれたら結婚させようねーっとか言ってたらしいですけどね。
でもそれってただの口約束だし、正式なものではないから私に婚約者はいませんよ。
幼なじみ様はどうかは知りませんですけどー。
興味ないですし。
ってか、この幼なじみ様、婚約者だと勘違いしてたんですか??
え、嘘・・・。
そんなはずないですよねー。
だって・・・この人・・・。
「なんで、そんな勘違いしてるんですかね?昔っからお前はブスだブスだと言い続け、愛想がないやらかわいげがないやら言い続けてきたあげく、結婚するものなど絶対に居ないだろうって言い続けた最悪の女である私が婚約者だと。」
「嘘だ・・・。」
「いや、嘘じゃないですから。あなただって私と婚約するなんて死んでも嫌だって言ってたじゃないですかー。」
いやーなんでこんな勘違いしてるんですかねー?
ホント、昔っから私を嫌いだ嫌いだって言い続けている人がね。
はぁ、まぁいいですけどー。
「なんで、私はマリさんを虐める必要も理由もありませんけど?」
「おっお前は俺が好きで!」
「いや、好きじゃないですけど?全く。」
「え!?」
何、唖然としてるんですか?
意味分かんない。
「いやだって、お前、ずっと俺の側に居て。」
「それは、あなたの母親に頼まれたからですよ。見張ってって。」
「え?」
「まぁ、それもこの学園を卒業するまでなんで、今日までですけどね!」
いやー、この方のお母様、叔母様にはお世話になってますからね。
そんな頼みなら快く受けますよ。
本人のことはどうしよもない救えない男だとしても。
興味もないですけど、一応見張ってって言われてますから可笑しなことをしてたら注意はしますけど。
まぁ、マリさん?が来たぐらいから鬱陶しがられてたし、私もすんごく忙しくなってきたから見張りもなくなってたんですけどねー。
うんうん。
「今日まで・・・だと?」
「えぇ。」
実は今日は卒業式だったんですよねー。
ちなみに今は卒業パーティーの真っ最中。
そんなかでこんな騒動を起こすなって言いたいよねー。
めちゃくちゃ注目浴びてるわー。
やだー。
まぁ、いいですけど。
この国にいるのも今日までですし。
しばらくこの国にも帰ってきませんから、帰ってくる頃には騒動も忘れさられているでしょうし。
「そんな、そんな!!許さないぞ!!俺の側から離れるなんて!!」
「いや、そんなこと言われても・・・。」
いや、なんですか。
急に豹変しないでくださいよー。
ちょ、肩痛!!
つかまないでよ!!
ってか顔近い!!離れてよ!!
「許さない!!許さないぞ!!」
「いや、あなたに許されなくても、私は明日にはリブル国に行かなくちゃいけませんし。」
「はっ?なんて、言った?」
え、なんで固まるの。
こっわ。
ってか離してよ。
超恐いー・・・。
そんな風に思っていると私の腰のあたりにどーんっと何かが体当たりしました。
痛い。
で、目の前の男もどっか行きました。
てか、何々?
下を見れば金色の毛。
あー・・・もしかして、これは・・・。
「何してんですか、馬鹿王子。」
「何ってエマに会いに来たんだぞ!!」
「いや、会いにってそんな簡単なことじゃないでしょう??」
「あ!王子様だけじゃないですからね!僕らもいますよ!!」
「うわー・・・。」
後ろからの声に振り返れば、わらわらと美形なお子様達が。
いやいやいやいや、なんで君たちがここにいるのかなー??
君たちはみーんなリブル国にいるはずなんですけどー・・・。
あー・・・これはお仕置きが必要ですかな?
沸々と沸き上がる怒り。
「な、ん、で、貴方たちがこ、こにいるんですかねー???殿下様達????」
にーっこり笑って見れば、美形なお子様達は顔面蒼白である。
いや、そんな顔をしても許しませんよ。
「あらら、だから言ったじゃないのー。」
私が真っ黒なオーラを後ろに漂わせていると明るく楽しげな声が聞こえました。
この声は・・・。
「陛下!!!何故ここに!!!」
なんで、陛下までここに!
美しい金の長い髪を靡かせてやってきた美しすぎる女性。
この方は、ここに居るはずがない方。
リブル国、王女、エミリー・リブル陛下。
女だてらに王として立派に努めてらっしゃる最強の王女様です。
そして先ほどの美形な子達はリブル国の王子、エミリー様のご子息様と高位の貴族のご子息様、ご令嬢様達達なんです。
えぇ、なんで、この人達がここに???
いや。本当に。
「いやはや、すまない。エマ嬢。びっくりさせたな。」
「へっ陛下!!」
「父上!?」
うわー・・・この国の陛下までやってきたよ・・・。
いや陛下は来てもおかしくないか?
一応息子が卒業生だし・・・。
いやでも、やっぱり普通じゃない?
「なぜ。父上がここに!」
「愚息は黙っておれ。」
慌てる殿下に対して冷たい目線を浴びせる陛下。
流石は陛下。
怖い。
でもすぐにその表情を消し、私に対して優しい笑顔で見てくれる。
「すまないな。愚息達がエマ嬢に非道な行いをして。」
「いえ、陛下に謝って頂くようなことはなにも。」
「優しいなー、エマ嬢は。」
「そりゃそうよ!だって私の自慢の弟子だものー!!」
えっへんと偉そうにしないでくださいエミリー様。
他の方達は何が何だかって混乱してますから。
まぁ、隣国の王の顔はしってますよね。
皆さん。
でも、聞けませんよねー。
陛下が黙れって言ってますし。
まぁ、でも馬鹿はいるんですよねー。
「なんで、エマ様が陛下と!?ましてや隣国の王女と!?」
うわー・・・普通ここで聞いてくる?
マリーさんについては平民上がりの男爵家のお嬢様ってことしか知らないけど・・・。
こんなに馬鹿な子なの?
陛下の眉がぴくりと動いたよ。
殿下が気づいて急いでマリーさんの口を押さえたけど。
「なんだ。この馬鹿な娘は。私が黙ってろって言ったのが聞こえなかったのか?」
殿下に黙っておれって言ったてことはもちろん他の人なんて話せないはずなんだけどね。
それを理解してないとか・・・。
頭足りなさすぎ。
「まぁ、いいじゃない!他の人たちも気になってるみたいだし!どうせ、すぐにわかるんだからー。」
ふふふっと楽しそうに笑うエミリー様。
本当に美しいですね。
この姿からはこんなに大きな息子がいるとは思えませんよねー。
「エ、マ。今失礼なこと考えなかった?」
「いいえ、そんなことをするはずがありませんよ。美しき我が陛下。」
そう言えばエミリー様は嬉しそうに笑う。
うん、チョロい。
感は鋭いけど、すぐに丸めこまれるんだよなー。
まぁ、それができるのは私ぐらいですけど。
他の人がしようとしたら即刻バレて、死刑じゃないかな?
「っで、なんで、我が愛しき陛下はここにいらっしゃるのですか?」
「うっふー、愛しきだって!!聞いた聞いた!?」
「知らん。いっとくが、エマ嬢はうちの国の者だからな!」
「えー、でももうすぐ私の国の者になるわよー!」
「させん!貸し出すことは許可したが、お前の国の者にするつもりは一切ない!!」
「でもー、エマが望めば、私の国の者にできるわよーだ!!」
・・・低レベルな喧嘩をするな、陛下達。
あー頭痛いー。
なんで、この人達会うたび会うたび喧嘩するかなー。
仲裁する身にもなってください。
「はぁー、もう話が続かないので喧嘩は後にしてください。じゃないと、私、どっかの森に雲隠れしますからね!!」
「「それは困る!!」」
「エマ嬢が隠れたら確実に見つからなくなる!!」
「そうよ!師匠の私でさえ見つけられないわ!」
「なら喧嘩しないでください。っでエミリー様は何故ここにいるのかお答えください。」
「あらー、それなら簡単よ!エマが今日卒業だからってお祝いに来たのよー!!」
「・・・業務は?」
「フリーリに任せてきたわ!」
あー・・・フリーリ様・・・。
優秀すぎるこの方の部下・・・。
また無茶振りをされたんですね・・・。
またあの方の白髪が増えてないか心配です。
「はぁ・・・また帰ったらフリーリ様に謝ってくださいね!」
「えー・・・。」
「絶対に!謝ってくださいね!!!」
「ふぁーい。」
はぁ、頭痛い。
これ、明日から私生きていけるのだろうか・・・。
「あ、そうそう。とりあえず、ここに居る人たちに説明しておかないとね!」
「えっ?説明するんですか?」
「えぇ。だって、明日には分かるんだし!いいじゃない!!」
「まぁ、エミリー様がいいならいいですけど。」
私は別にどうでもいいですし。
「じゃぁ説明するね。一応、エマの同級生でもあるんだし!このエマ・ミューゼットは明日から我が国の特別家庭教師として我が国にくるのでーすっ!」
「特別家庭教師・・・?」
「えぇ、特殊に作った役職でね!ここにいるお馬鹿な私の息子からなにからを教育してもらうハイパー先生になってもらうの!」
「そんな役をエマが?」
「あら、貴方たち知らないの?エマはね、千年に一度の天才といわれるほどの頭脳を持っている子で、また魔力もとびっきり。まぁとびっきり過ぎて扱いが出来ず、私の元に弟子入りさせられたんだけどねー。」
そうこの方のところに2歳で弟子入りさせられたんだよね。
じゃないと魔力が暴走しちゃって大変なことになるからって。
ちなみに幼なじみ様に会う前だから幼なじみ様は知らないよ。
幼なじみ様と会ったのはエミリー様の教えを全て終えて帰ってきたときだから。
まぁ、その後も何度もエミリー様のところに行ってはいろいろ仕事をしてましたけどね。
「っで、私の弟子にする代わりに、契約として、この国の学校を卒業した後は私の国で働くことになってるのよー。」
「その仕事がその特別家庭教師だ。エマ嬢は最高の知能と最高の魔術師だからな。また礼儀作法も素晴らしい。」
「そうなのよー。ちょくちょくこっちに来てるときにもう、あの馬鹿だった息子達を調教出来るぐらいの凄腕だし!もう!最高の先生(調教師)よね!」
・・・何か、変なルビがふられてような気がしますけど・・・。
私一応教師ですからね!
でも、最高地位まで頂いてるんですけどね・・・。
私普通の先生でいいんですが・・・。
いや、本当に。
でも、まぁ最高地位を与えて、仕事を手伝わせる気なんでしょうね・・・。
国民。よく納得したな。
「まぁ、エマの武勇伝は国民達にも伝わってるからー、国民達もエマを欲してるしー。この国よりもエマを大事に出来るわよー。」
「だーかーら!エマ嬢はうちの子だ!」
「いいから!!もういいですから!!」
また喧嘩が始まりそうなので、間に入りますよ。
話が進まない!!
ってか、周りの視線が痛い。
いや、私普通ですよー・・・。
ちゃんと普通に見えるように、成績だって普通にしてたし・・・。
計算して普通になるようにしてたからー・・・。
あー・・・うん。
視線が痛いー・・・。
「そんな、嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!」
今まで静かにしていた幼なじみ様が叫びだしたんですけどー。
うわー、超恐いー!!!
「エマが天才?他の国に行く?俺の側を離れて???」
「ちょ、怖い・・・。」
「そんな訳、そんなことがあるはずない!!お前は、俺の側でずっと居るのが運命だろう!??」
え、そんな運命ないですけど!?
「何言ってるんだ!?エマは、私の妻となるんだぞ!」
今まで、賢く黙ってた小さな殿下がなんていう阿呆なお話をしだすんですが。
ってか、先生と呼びなさいと何度もいってるでしょう!!
「殿下、お言葉ですが、エマ先生は私と結婚するんですが?」
「いやいや、僕ですよー?エマ先生、僕のこと一番かわいがってくれてますしー。」
「はぁ?何寝ぼけてやがる?俺だろ?」
「えー、皆様、エマお姉様は私の家に養子としてきて私と幸せに暮らすんですわ!」
・・・おいおい、何を言ってるんだ、子ども達。
私にはそんな予定一切ありませんよ!!
「・・・お馬鹿さん達???」
「「「「ねぇ!先生!私(僕、俺)だよね!!」」」」
「・・・。」
あー、もう頭が痛すぎます。
さっきまでもずきずき痛かったのに!!
いつの間にやら私の手には鞭が。
嗚呼、無意識に魔法を使ったみたいですね。
まぁいいでしょう。
お馬鹿さん達にはこれが一番ですわ。
鞭を握りしめ、にっこり笑う。
思いっきり振り上げ、ぱちーんっといい音を立てる。
「お馬鹿さん達???再度、常識のお勉強をしましょうね???」
ホント、このお馬鹿さん達には何度常識をお勉強しなくちゃいけないんでしょうね???
「ふふふ、やっぱり調教師よねー。エマって。」
にっこり微笑むエミリー様の声は聞こえなかった。
もう私は教師モードですから。
もちろん、喚く幼なじみ様の声も、ヒロインの声も。
そして周りがどん引きされていることも目の前の駄目な教え子達に対しての怒りで見えていませんでした。
この後、私は隣国に行くのですが・・・何故か幼なじみに付きまとわれたり、教え子がまた増えて阿呆なことを言われたり。
ドラゴンを調教したり、魔族を調教したりして、さらに武勇伝が紡がれるなんて、このときの私は知らなかったのです。
「我が国の最強調教師様は一体誰が嫁とするのかなー?」
「いや、あの人は我が国のだぞ!」
「いやいや!」
っと、まぁ、二つの国の国民達が話し合うのも遠い未来ではありません。
ありがとうございました。