王国兵失《おうこくへいしっ》!!〜ちょっ、え!?ロミオ?そっちじゃないんですけど!!〜
王国兵失!!第三弾にして最終話ですね。
もう!嫌になってしまいますわ!
「また貴方に会いに来よう!その時は一輪の花として会いに来よう!!」
とか言っておいてロミオったら!
……おっと失礼。
私の名はリネ・ジュリエット・カプレーティ
まぁ、長いのでリネ・J・カプレーティって書くの。
それでさっきの話の続きですけど、私とロミオは文字通り運命の相手なの!
文字通りって言うのも、私たちは前世で会っているのよ!
な、何よ。その悲しい子を見る目は!本当なんだからね!?
そんな前世で会った私たちだけど、お互いの家が仲が悪かったらしくて結ばれなかったのよ..
でも、神様のおかげで私達はまた次の生でも会う事が出来たの!
それも、親同士も仲が良くって!私の方が地位は上なのだけれど、私は女なので家を継ぐ事もないし、恋に関しては自由!
地位の高い家柄の娘と仲良くするロミオの事は例え親同士が仲が良くなくても止めはしないでしょうし、本当に神様からの褒美だと思うの!
でも、当のロミオが他の女に惚れているらしいと言う噂を聞いたわ。
確かに、婚約者が決まったって言われてロミオに会った時、逃げてしまったけれど....
でもそれだけで運命の相手を諦められるものなの?
え?私が悪いの?違うわよね!?
あれから何度かデートに誘って貰えるよう手を回したのだけれどまだ誘ってこないのよねぇ
まぁ、かと言って自ら誘うのは淑女として控えたいし
なんて考えていられたのもつかの間、私は見てしまったわ!
ロミオ!貴方が噂の女と歩いている所をね!
それもデートよね!あれデートよね!!
本当に、信じられない!
私なんか他の殿方なんて木耳か良くてもブナシメジくらいにしか見えてませんのに!!
さて、ここからは真面目な話になります。
ロミオが惚れていると言われる娘の名はジュリエット・グレモアリーと、そう言うそうです。
きっとロミオは私ともう1人のジュリエットのどちらが本物の私か.....いえ、その言い方は失礼ですね。どちらが元、ジュリエット・カプレーティなのか悩んでいるのでしょう。
そして、悩んだ末にロミオはあちらの私と同じ名の者を選んだのでしょう。
それならば私は諦めましょう。神様には悪いですがこの褒美は受け取れませんとお返ししましょう。
そもそも、本当に私がジュリエット・カプレーティなのかも怪しいのです。
もしかしたら上手い具合に記憶が混雑してるだけのロミオのお姉様なのかもしれません。
最悪乳母かもしれませんね.....
では、今日もデートしているあのジュリエットをロミオにふさわしいかどうか、私が見極めてあげましょう!
「ジュリエット・グレモアリーさんですね?」
「いえ?人違いですわ?」
「おい待てこら」
可笑しな人ね。と素通りする女の肩をがっしりと掴む。
私達は先程までロミオとこのもう1人のジュリエットがデートに来ていた場のベンチに座る。
「ジュリエット・グレモアリーさん。貴方はロミオの事を好きなのかしら?」
「ええ。勿論です」
迷いのない答え。整った顔をキリリと立てるその姿は同性でも心を惹かれるものがある。
「そうですか....なら、それだけで良いです。引き止めてごめんなさいね?もう良いですよ。ロミオの事、よろしくお願いします」
急に引き止めやがって何だこいつ?とか思ってないと良いのだけ───
「だが断る!」
ま、迷いのない答え。そしてとんでもない形相。
顔の半分が影でよく見えない確実に世界を間違った画風。
「な、何故!?」
「私より、ふさわしい人がいるもの。私の役目はもう終わりなの。だから、頼むのは私の方よ?リネ・ジュリエット・カプレーティさん?」
「……え」
え、何?何なの?
ロミオに愛されて自分も愛して私が引こうと言ってるのに役目は終わり?
意味がわかりません!!
って言うか名前知ってたんですか!
公爵家の者だと知ってて伯爵家令嬢の身分で無視しようとしてたの!?
何て図太い精神....
あれは絶対おばさんね。30歳くらいは精神年齢いってるわね。
ってそうじゃなくて!
あんな人にロミオは渡せません!!
……いや、譲る気だったみたいだけど。
でもあの子怪しい!
愛人あたりは狙ってるわあれ
こうなったら....
……本格的に落としに行くしかないみたいね!
私はとある屋敷のドアを思いっきり開く。
もう殴るくらいの勢いで開いた。
「ロミオ・オスカーはいますか!」
「いません!」
ドアが閉まる。
「ちょ!ロミオ!今のロミオでしょ!」
ロミオは王城の騎士様だから中々休みも出ないし、ここで引くわけにはいかないのよ!
「はて何のことかのぅ。最近物覚えが悪くてのぅ。すまんが帰ってくれんか?」
「あ、そうでしたか。夜分遅くに申し訳ございませんでした」
何だ...ただのお婆ちゃんか。
ってそんなわけ無いでしょう!?
「いや、今のやっぱりロミオでしょ!」
「ボケナス!てめこら。調子こいてんじゃねぇぞこら!あ?こら!ぶっこ、ぶっころ...カー、ぺっ!」
「うわっ汚ッ!!色々汚ッ!し、失礼しました!」
いきなり唾吐くなんてあの爺さん何考えてんの?
ってぇ!だからそんなわけ無いでしょって!
「ローミーオーくぅ〜ん?」
「いつやるの?今でしょ」
「え、あ、はい」
誰でしょう..今のひょっとこみたいな口した頭良さそうな人は....
その後、何回か繰り返されて泣いてしまった私は少し気まずそうなロミオに入れてもらう
「だって。ロミオが、私のこと、避けてるから」
「誰だっけ?」
「うわーん」
何となく陰が薄いのは気づいてたけど面と向かって言われると耐えられないよぉ..
「冗談冗談!ごめんごめんごめん!!」
「冗談?」
「うん」
「本当?」
「本当さ」
「覚えてる?」
「勿論だとも」
「じゃあ、誰?」
「え、いや、それはだね....」
「やっぱり覚えてないんだー!」
「いや、嘘嘘冗談!ジャストキディング!」
今世のロミオは意地悪みたい...
ロミオは慌てて周りを見て、何かを見つけてからこちらを見直す。
「り、リネちゃんだろ?」
「覚えててくれたの?」
「うん」
「そっかぁ。良かった」
きっと私の持ってきたストラップの刺繍を見て気づいたわけでは無いはずだわ。きっと。
「……ねぇ。今思い出した!って顔してるよ?」
「いや、してない。断固として否定する」
本当かなぁ?
「どうして今日はまた、こちらへ?」
いつまでもうじうじなんてしてられないわね!シャキッとしないと!
「そ、そんなの決まってるじゃない!ロミオが帰っていると聞いたからよ!」
「そうですね。明日には帰りますけど」
「なぜ!?」
「何故って言われましても....」
「ダメなの?」
「ダメですね」
「公爵家権限でもダメ?」
「あまり爵位権限の乱用はやめて下さい」
「そっか。なら仕方ないわね」
うーん。何かいい方法は無いものかしら....あ!
「じゃあ!今日泊まるわ!」
「名案じゃないよ?」
「何でよ」
「明日には。って事は0時00分からは第二王子殿下の直属騎士部隊に戻りますので」
「じゃあ、それまでは?」
「用事がありますので」
「どんな用事よ!」
「……少々お待ち下さい」
そう言ったロミオは足早に部屋を抜けて電話をする。
少しだけ声が聞こえたけど何を言ってるかは話からないわね。
・
・
・
長い!
ロミオ長すぎ!!
少しだけ聞こえた感じだと王城の爺やさんみたいね。
爺やさんもこんな長話するなんてもう歳かしら?
それから少ししてロミオが戻ってきたんだけど....どこか怯えているように見えるわ。
これじゃあ怒れないじゃない?
「ね、ねぇ。リネさん?リネさんのフルネームって確か....」
さんって何よ!他人行儀ね!
「うん?リネ・J・カプレーティよ?カプレーティ公爵家の」
「じぇ、Jって.....」
「ジュリエットの詰め字ね。何?急にどうしたの?」
絶句するロミオを見て私は一つの仮説を立てる。
あれ?ロミオもしかして私の名前ジュリエットって知らなかったの?
「ねぇロミオ。私の名前本当にわかってた?何だと思ってた?」
「え?あ、いや」
「ねぇ、ロミオ?」
「あ、アハハハ。あ、もうこんな時間だ!帰らないと」
「ロミオ?ここ貴方の屋敷よ!?ロミオ!?」
走り去るロミオを見て、私の中でメラメラと燃える何かは更に燃え上がるのであった。
ps.ロミオも2人目とかいないわよね!?
王国兵失!!第三弾にして最終話ですね。
あ、言い忘れてましたが詰め字、と言うのは作者が適当に作った言葉で実際にあるのかはわかりません。まぁ、何となく伝わったでしょう?(笑)
次回からは本編シリーズの続きになります。
ここまでしかためてませんので、ここからは普通に投稿になります。
ですが、すぐやめるであろう連載、暫く続けるであろう連載、これから書きたい連載、の合間で書いてくので、たまにチラッと見てあったら見る。
面白ければブクマか評価かでポイント、面白くなければ感想等、スルー等、して頂ければ嬉しいです。
まぁ、面白く無い作品なんてそもそも続き見ませんけどね(笑)