表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/8

王国兵失《おうこくへいしっ》!!〜天邪鬼ジュリエットと愛の唄と〜

今作は3000文字行かない程度でササっと読めるようになりましたので、気楽に読んでください。


※今シリーズは本編シリーズの派生作品となります。

※本編シリーズは名前が定められておりません。ですが、1話は『息子の名前知りたかったから転生したら夫がうざいので新しい恋を目指そうかな?(仮』です。

※今シリーズの1話は『王国兵失おうこくへいしっ!!〜優柔不断な悲恋ロミオとどエスジュリエット〜』です。


追記:題名が次話の題名になるという現象が起きてしまったので直しておきました(笑)

申し訳ない!!


時もこの頃早く進むようで


新春の頃に近づきました。


そんな爽やかな日頃ですが


今日も今日とて


私は弟に恋しています。






最初に弟に会ったのは今から体感21で年前、実質的には100年と少し前のこと。


生まれたて子供の名はロミオと言った。

可愛くて

格好良くて

冷静で

情熱的で

何を考えているかよくわからなくて

分かりやすい子。

私はその子のことが大好きだった。


……もちろん、家族としてね?


それで、私はその子が17歳の成人になるまでは自分のものだと思っていた。

でも、あの日。

あるパーティーに弟と共に出席したあの日から、その願望は無力と化した。


父親は弟にあの家の娘は良いが、あの家の娘はダメだ。この子は美しいが、性格が悪いと聞く。

そう言って少しでも爵位の高い家の令嬢と会わせようとする。

私はふとした瞬間、弟から目を離してしまった。


多分それが罪。

私のものだと言っておいて、他の殿方からの誘いを断るために弟から目を離す。

それだけの事に感じるし、理不尽の様にも思えるが、その行為が私達の運命を変えたのだと思う。



「ロミオー。どこですか〜?」

ロミオを探して庭まで来てしまった。こんなとこにいるかしら?

その時、茂みの方から声が聞こえた。


「貴方は?」

「僕はロミオ。ロミオ・モンテッキさ」

「ロミオ様....ですか」

「君の名前は?」

「私の名は....」

何となく声をかけ損ねてしまったわ。


「私の名前はジュリエットです」

その名を聞いた瞬間、私の背中に何かが走る。全身から鳥肌が立つ。


ジュリエット?聞いたことがあるけれど....

今はそんな事より、私のロミオは返してもらいましょう。

あの子からは何か危険な匂いがするわ。


「ロミオ、そろそろ帰るわよ?」

「ね、姉さん!?」

私はロミオの腕を掴み、押し進む。



ロミオが少し前に進んで、人の多いところにつくという頃に後ろから声がした


「あ、あの」

「……何かしら?」

私は笑顔で答える。


「私はここで待ちますので、また会いましょうとお伝えください」

「…………わかったわ」

もちろん教えない。



えぇ。教えなかったわ。

教えたくなんてなかった。


けど


だけど、また会ってしまった。


俗に言う運命だったのかもしれないわね。まぁ、認めませんけど。



「姉さん姉さん。今日ジュリエットがね〜」

「姉さ〜んジュリエットが〜」

「え〜。ジュリエットなら〜」

「ジュリエットったらさ〜」


「やかましいわ!」

ジュリエットジュリエットうるさいっての!私は貴方の惚気を聞くためにいるわけじゃないの!

「ね、姉さん?どうしたの?急に」

「もう、父様にジュリエットの事を話します!」

「え!?」



「姉さん。やめようよぉ」

「あのねぇ。そんなニヤニヤしながら言われても説得力ないわよ?」

なんだかんだ言って父様に紹介するタイミングを見計らっていたのよね。この子


「父様?少しお時間をよろしいでしょうか?」

私がノックをしてから返事を確認し、部屋に入ると椅子がゆっくりと回転し、こちらを向く。


「む、お前か。ロミオもいるのか?」

「はい」

ロミオが一歩前に出る。

「そうか、まぁ良いぞ。どうした?」

「実は...」



「そうかそうか!ロミオが女子(おなご)にほの字とな!」

人より厳しい父様ですが、よく言って威厳があります。ですが私たち子供の事は人より興味のある良い父親です、悪く言って親バカです。

「えぇ。その者の名はジュリエットと言います」

一瞬父様の眉がピクリと動く。

「ロミオ、確かその者は我らと爵位が同位レベル貴族だと言ったな?」

「は、はい!」


父様は深く座った面持ちになる。

「となると、ここらではカプレーティ家しか居ないのだが...」

「はい。その通りです!」

「「なっ!?」」

私も父様も共に絶句してしまう。

カプレーティ家はうちのモンテッキ家と仲が悪く、いかに父様が努力してもその家の娘とロミオを結婚させると言うのは当然無理なこと。


ロミオとジュリエットの結婚から俄然仲良くなる。なんと言うこともありえない。


「ロミオ。ジュリエットという娘の事は忘れろ」

「何で!?」

「お前にはもっとふさわしい人がいる」

少しきつい言い方をしてしまった父様でしたが、あれもロミオの為を思ってのことでしょう。

本当にジュリエットがカプレーティ家だからモンテッキ家にふさわしくない。と思っているわけではないのです。多分



その夜、ロミオはジュリエットに会いに行ってしまった。

どうせ会えるのは今日が最後の一度でしょうし、父様には黙っていてあげましょう。


なんて、そんな事言わずに止めればよかったのに

私が止めなかったから。カプレーティ家の庭園でロミオ・モンテッキは死んだのよね。





私は強く後悔し、自殺しようかとも思いました。いえ、結論から言えばしました。

ロミオがいない世界にいても意味がないから。

しかし、このまま勢いに押されて自殺しても、また2人に会った時に顔向け出来ないと思い

『ロミオとジュリエット』

2人の祝福の唄を作りました。


出来るだけ2人のことを多くの人に知って欲しいので、話は少し盛りましたけどね。

だって、突発的に愛を叫んでその声を聞きつけた兵隊に不法侵入の罪人として殺された。なんて、ロミオの死を笑い話にしたくはないもの。


引き離された2人が再び会うために作戦を立てる。ジュリエットは仮死の薬を飲み、死んだことにし、ロミオと会う。つもりだったが、作戦が上手く伝わらずに死んだと思い込んだロミオが毒薬を飲み、そのタイミングで仮死から覚めたジュリエットはロミオの短剣で自殺。

2人がその後どこか違うところで結ばれたかは分からない。


その方がロマンチックじゃないですか。ジュリエットもなんだかんだ少しロンチストなところがあったし納得してくれるでしょう。


そして、その歌を広める為に私が自害する。

死に人の作品とあらば有名にもなるというもの。

これで良かった。これできっと空の国での結婚式にも間に合うと




それが私の人生の前編。

それが所詮『ロミオの姉』の薄っぺらい全て。

16歳のロミオ姉の全て



そしてここからが私の人生の後編

そしてここからがもう1人のジュリエットの話

15歳のジュリエットのお話



良い?ロミオ。間違ってはダメよ?今のあなたはあの子のもの。私が惑わすけれど真実を掴み取って。


ps.生まれ変わってから貴方の事を好きになりました


……もちろん、殿方としてね

どっちのジュリエットかわかりましたか?

少しわかりやすすぎた気もしますが(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ