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息子の名前知りたかったから転生したら夫がうざいので新しい恋を目指そうかな?

ブリタニアと言う国で、年若くして死んだ王妃様。死ぬ間際、最後の力を振り絞って産んだ最愛の子。その子の名前を知りたくて、わざわざ転生までしたのに自由奔放な夫に嫌気をさして、新しい恋を心に誓う!

本来の目的を忘れて、どうなる18歳のリリアーネ!


※本作品はこの1話目を基準とした別キャラクター視点による短編集になります。

※今作品が、作者の初めての作品です。至らぬ点もございますが、温かい目で見てください。

「え?タマノコシ?」

驚きのあまり、頬杖を突いた手から顔をこぼれ落としてしまう私に、母さんは至極真面目な顔で答える。

「うん。ごめんね?私のせいで酷い目にあってるのに貴方の運命の相手まで私の都合で選択肢を狭めてしまって.....でも、このままじゃ私は兎も角、リリアーネ。貴方まで生活するのが困難なの」

そう。うちは貧乏だ。もう、今まで玉の輿狙いのお見合いなどの話が見えなかったことが不思議過ぎたくらいに。

って言うか母さん。私はフィアンセが決められてしまう事がショックなのではなく。母さんがそういった話を、今更言ってきたことに驚いてるのよ。だって。ほら。今、高学3年ですよ?もうみんな恋人も出来てて、それで玉の輿?いやいやいや。今相手のいない殿方なんて、余り物のブスですやん。無理ですやん。そんなブサイクの相手、無理ですやん。あまりの拒絶に言葉使いがおかしくなってまいますやん。


「あの〜。か、母さん。なんでぇ〜....今?」

「いやぁねぇ。隠さなくていいのよ?学校で第二王子様に気にかけられているらしいじゃなぁい?」


う、うざい。なんか急に真面目テンション崩壊した。いや、本来の母さんはこんな性格だ。

「そんなんじゃないですよ母さん。そもそも、王族の方と側室、ましてや正室でもないものがうっかり身籠ってしまえば、どう言う扱いになるか」

「......」

「まぁ、少し言い過ぎました。しかし、冗談でもそのような話はやめてください」

私が余りにも冷徹な顔をして、他人行儀な言葉使いをしたのに嫌悪にも近い感情を察した母さんは、再び真面目...と、言うより深刻そうな面持ちに切り替わる。

「いえ、リリアーネ。その事では私のことをいくらでも責めていいのよ?だけどね、よく聞いて?あ、ほら。ハム次郎の檻叩かないの。聞いて。良いから。ほら真面目に」


母さんは私の頬を軽く抓ってから、優しく包みこむ。

「いい?私は本当に、それでもいいと思う......あぁ!悪い方じゃなく。良い方の今の話の方で...ってぇ!もう何言ってるかわかんなぁい!」

はい。うちの母さんは本当に真剣な話無理です。説明下手です。


「ま、まぁあれよ。つまり、じゃあもう側室か正室ななっちゃえば?ってことよ」

「いや無理だよ!?」


こんなくだらない話をしているが、私達親子には、硬く。高く。果てしなく広い壁がある。それは、決して取っておいた高級プリンを母さんが勝手に食べてしまった。とか、家の鍵穴を母さんが勝手に変えて、一日中入れなかったのに「あれ?なんで入んないの?」とか言ってきたから出来たわけではない。...あ、なんか思い出したらイラっと来た。

そしてそれは母さんが私を忌子として産んだころに出来たものであり。忌子として産んだためできたものではない。

もっと根本。もっと大事な事。母さんも知らない事。

少し、遡ろう。18年と少し前に。私がブリタニア王国の王妃であったあの頃に...






────あ。産まれて.......死んだ。

私は死んだ。子供は生まれた。子供が産まれて良かった。私が死んだのは良かった?嫌だった?


わからない。でも、あなた。あなたが泣いているのは子供のせい?それとも私のせい?いやきっと子供のせいね。あなたは常に言っていたもの「男たるもの、泣いて良いのは母親が死んだ時と子供が生まれた時だけだ!」って。

私は死んでしまったけれど。あの子は生きられて良かった。祝福する人がいて、良かった。


ふーんだ!所詮私みたいな平民生まれの王妃なんて嫌われ者なんですよーだ。たしかに「お前を私の妻にしたい。私の正妻に──」とか甘い言葉でそそのかされた乙女だよ。でもさ、私1人のために騒動起こしすぎじゃない!?反対運動起こすのはひどくない?いや、精神面で辛いだけで、政治的にはしょうがないのかもしれないけどさ.....


いや百歩譲ってそれはいいとして流石に戦争仕掛けてくるのはどうかと思うよ?そりゃ、一国の王と、姫。結婚できないでしょうよ。王にフラれたからって私に怒るなよ〜。その国に産んだ親を怒れよ〜。ってか、親も親だよ。第四王女くらいに国家を揺るがす大騒動に兵を貸すな!大国の王妃暗殺させようとすな!


──あ、あー、カミです神です。はい、不幸にも、幸薄そうな顔して死んだ君。愚痴りまくって、キャラぶれぶれの君。心残りはないかい?


いや、ひっでぇ神だな。なんつうこと言うてんの。もうメタァ過ぎるし。口悪過ぎるし。私、余りの驚愕に言葉使いがおかしくなってるよ。


──いや良いから。もう良いから、いちいち反応しなくて良いから。心残りはない?ある?どっち。あぁ。あるならどんな心残りかも教えてね。


いや..もう良いです。........ありますよ。心残り。出来ることなら、2人目の子供の名前を聴きたかった。それくらいでしょうかね。ハイ


──いや何開き直ってんの。まぁ?どぉーしてもって言うなら教えてあげなくもなくもなくもなくもないかな?


ややこしいな!って言うかそれ結局教えないんじゃん!むしろ開き直ってるの貴方でしょうが!


──うん。教えないよ?だから........聞いてくるの。





「え?」

その声は私じゃなかった。目の前にいるのは助産師さん。それも私の息子、ブリタニア王国第二王子であり、私が名前を知りたい相手。君の名は。

その子を産んだ時の助産師さん。

いや〜なんか、目下な場所なら失礼します。

「え?あ、えぇ...あ、あう。う?」

いや、ブリタニア語でおk。って言うか、さっきの声は助産師さんでしたか。それよりこれはどう言う状況───おう....

私は鏡を見て、全てに気づいた。その一瞬で。『あっ転生したんだなぁ〜』と。

そして、お腹から出たばかりの子が泣かず、じーっと見つめてきたら怖いよね。うん。怖いわ。とも気づいた。






はぁ。憂鬱だ。母さんには「あ、もう仕事だ!じゃあ。まぁ、そんな感じで。頑張って!」って逃げられるし。このあと学校だし...何より!実の息子と恋人!ましてや夫婦!?ふざけんな!ふざけんなぁぁぁ……



……しかし、あの時よくとっさに神ですって言われて信じられたなぁ

意外と大物なリリアーネであった。



とまぁ、そんな感じで学校に着いた私を待ち構えていたのは、第二王子殿のファンクラブの御方々でござりまするか。へぇへぇ。わかりますわかります。わかっておりますわよ。どぉーせ、あれでしょ?あれくるんでしょう?

「ちょっと、リリアーネさん?後で少し、お時間くださる?」

知ってた。

ほら来たよっし来た。そして答えはこれね。

「もちろんですわ。私如き名誉貴族出のものが貴方様のような伯爵家ご令嬢様のお誘いをお断りするなどという事はありえませんわ」

そう言い終わるや否や周りからはどよめきが起きる。

「え、あの方が例の?」

「えぇ。そうよ。魔女の子リリアーネ。本当、迷惑なことよね」

「そうそう。事件の後も、国王様に謝礼金として援助を受けているらしいわよ」

「うそ!謝礼金!?謝るのは王様ではなくて魔女の方でしょう!?」

「ちょっと、声が大きいわよ」


いや、全員大きいよ。みんな聞こえてるよ。

それにしても魔女ってのは言い過ぎじゃないかな?あの人のどこが魔性の女なのかわからないけど。


因みに、他の生徒たちの言っていたのは私が死んだ日。元うちの旦那、つまりブリタニア王国の国王様はショックのあまり気絶し、病んで、生まれたての子供ほっぽり出して部屋に籠り、廃人のような生活をして約2ヶ月。その後、ようやく立ち直ったのは、従者であった母さんと関係を持ったことによる。と言う凄く不純な動機であったのだとか。そこに生まれたのが私。リリアーネ当時0歳。

なんでも、王の子と言え、正室でも、ましてや側室ですらない者との子は王族ではない。とか。

んで、申し訳ない。と謝礼金を今尚送られ続けてます。っていう訳。

因みに、国王は私の事を娘だと知りません。よくも顔も知らない子のためにお金を払い続けるよね。

大方、爺やあたりが情を持たれたら困ると止めてる。とか、そんなとこでしょう。


私が死んだのに随分早く立ち直ったと思ったら理由はやはりそんなもんだったんですよ。ええ。そうですよ。だから私も、新しい恋を目指そうと今世心に決めたるは男爵家次男、学園教授のエドワード様ですわ!

えぇ。エドワード様は男爵家とは言え貴族。お金もあるし、教授という職もある。なにより、忌子の私を、他の生徒と同じく扱ってくれた......し、イケメンだし。

……まぁ、片思いだけどね。所詮18歳。相手にされません。

「おう、リリアーネ嬢ではないか!」

「これはこれは、国王様。こんな所に護衛も連れず、如何なるご用でしょうか?」

いや、私だって落ち込んでたのが私のせいな訳だし、少しは悪い事したな〜許してやろうかな〜とは思ったけどさ...

「もちろん!お前に会いに、だ!」


ほら。これだよ?嫁が死んでから時間が経ってるとは言え、17歳も年下ですよ?そんな少女に迫って。ユルセマス?本人、娘だと気づいてなからほっておくけどね。これで娘と知っていたらぶん殴ってたところだ。

「そうですか。その件ですか。沢山の方々の御前で申し訳ないとは思いますが、以前にもおっしゃった通り。私は側室にはなるつもりはございません」

そして、話は終わりだとでも言わんばかりに立ち去る私を後ろで見送る国王の影は少しだけ、寂しく見えた。

するとまた、どよめきが起き、批判的な言葉や野次などが飛んでくる。




時は進みます。その後、休み時間になりまして、例の伯爵家のお嬢様のお呼び出しですよ。

お嬢様のクラスまで行くと、お嬢様は私の肩に少し触れてそのまま教室を出て行った。

まぁ、ついてこいって事なんだけど。

「あの〜何処に向かうのでしょうか?」

「ふふっ何処だと思います?」

「ふ、フリースペースでお茶会......とか?」

「......冗談がお上手ですわね、リリアーネさん。そんなに面白いから第二王子殿下の御眼鏡にも適いましたのね」

きっと。と付け足してからいつの間にか集まっていたファンクラブ一行とともに校舎の裏。校庭の角。学校の完全な死角へ入る。


......しかし、これはまずいね。

「貴方、どっち?」

まずい。というのは人数などではない。たしかに、ファンクラブ一行はざっと10人以上いる。だが生まれた時から忌子として虐められてきていたし、前世も元は平民。暴力にはなれている。が、問題は今日ここには、この学園には国王がいる。それである。さて、何が悪いかというと────

「ちょっと?無視?」

「これは失礼いたしました。ですが、質問の意味がわからず......」


まぁ、今はこの子達を軽くあしらいますか。1人一発だとして十発と少し......顔には当たらないようにしないとね。

「全く、頭の悪い人ね。貴方は、万が一にも、億が一にもありえない事ですが、あわよくば、第二王子殿下と付き合いたい。とか、星に込めるような願いを持っているのかいないのか。という事に決まっているでしょう」

いや、知らないよ。

「は、はぁ。何故、殿下が私の様なものに御話しかけになるのかは理解に苦しみますが、私が殿下に色目を使う事はないのでご安心くださいますよう」

「ふ、ふ、不敬な!殿下が貴方を気にかけているわけないでしょう!殿下が御優しいから、誰にでも分け隔てなく接してくださるのです!」

いや、だからそう言ったじゃん。勘違いされない様に『お気にかける』じゃなくて『お話しかけになる』って言ったじゃん。ってか、お眼鏡に適った件は何処やら。


そして、指をビシィ!と指したまま立ち止まるお嬢様。

「わ、わかりました。色目を使うとか、そんな考えが浮かぶなんて。あ、あなた。さては本当に色気を使うつもりですね!?」

「いや、そんなつもりはございませんと申しましたでしょう?」

「そんな事ありません!絶対に嘘です!」

決めつけるなら何故質問をした。


「貴方が態度を改めるのならばと、貴方とお話をしにきましたが......しょうがありません」

いや、それ人殺す時に言うやつだから。ってか、最初から大人数でお話って...OHANASHIかよ......

「はぁ。物語の王子様は白馬に乗って助けてくれるものだけれどね...あ、いや学校で白馬も困るか......」



まぁ、もちろん王子様は来てくれなかったのでボッコボコにされました。えぇ、それはもう綺麗に。顔は防ぐつもりが1発大きくもらいました。はい。うら若き乙女がプリティな右頬がパンッパンですよ。そしてこれはまずい。何故か?この顔をあいつにでも見られたら......

「おう、リリアーネ嬢ではない...リリアーネ!?」

帰り道にこいつに会うとは......あぁ。厄日だ。

「そうか。朝の彼奴らか...殺すか......処刑...いや公開処刑だな」

「いやまてまてまてまて!?」

いやいやいや、先走りすぎだろ!たしかに『朝の彼奴ら』だけど!!殺すなよ!あぁ。もう!これが嫌だったんだ!


「む?あぁ、そうか。先に治療だな」

「い、いえ。そうではなく......」

「じゃあ、うちに来い!取り敢えず、部屋も清潔で、医者もその辺の病院より良い人材を雇っているぞ」

「え?いや、今日は親も家にいますので」

「なに。私の謝礼状を持って帰ればよかろう。よし、そうと決まれば早速向かおう!爺や!」

「......はっ」

うわぁ。爺や嫌だなぁって顔してる。めっちゃ渋々だ。あ、爺やどっかいった。


あ、来た1分とまたないで来た。車だ。ん?長くね?車長くね?ん?リムジン?え?何処に隠してた?それ。学校の駐車場は言ったのか?それ。

「さぁ行こう!リリアーネ嬢!我らの愛の巣......もとい、治療をしに王城へ!あぁ、今日は安静にしなければいかんから、うちに泊まると良い!ん、部屋は用意してやるから安心しろ...ま、まぁリリアーネ嬢が良ければ我が寝室を2人で使っても...」

「いえ結構です。はい。結構です!!」

あぁ。今世、初めて入る男の人の家が王城なんて...ハッ!?城は家じゃないからセーフか!?

何にせよ、エドワード様。私の純潔は貴方様に捧げるまで汚れる事はありえません。どうか、汚れなき私をお守りください。あぁ、エドワード様。暫しの別れ。どうか私の事を信じてお待ちください。



その後、城にて───

「いや、全治1ヶ月って長すぎだろ!どんだけ城に止めていたいんだよ!」


拝啓エドワード様。もうしばらく会えそうにありません。

初作品です。どうですか?初心者だなぁ。と、生暖かい目で見てくださいましたか?

極力男性にも読めるような恋愛ものにいたしました。まぁ、恋愛は毛ほどもしてない気もしますが...

この後どうなるか、作者も心配です。

因みに

リリアーネ(元王妃)

エドワード(男性教授)

だけが今名前が明かされています。

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