第91話「ミズクの秘められし力?」
※ジャンケンの手は乱数で出しています。いやほんと。
※これにて四章終了となります。
※夏休みに入りました。勉強のため以降は四日置きに更新します。
ミズクが負けた晩。夜中にふと目がさめると隣のククラの耳元に何やら囁いているミズクの姿があった。
「明日は石を出すの明日は石を出すの明日は石をだすの……」
俺は、そっとしておくことにした。
そして次の日の晩は、
クロネ:石
ミズク:人→win!
ククラ:石
ククラが「石」を出しているだと?
ちょっとミズクが怖かった。
ちなみに二回目は、
クロネ:剣
ククラ:石→win!
ミズク……恐ろしい子……
しかし、今まで見せなかった屈託のない笑顔を浮かべるミズクはとても可愛かった。
「きゅふふーん♪ 今日もマスターと一緒♪」
「うう、明日……は、無いんでした……」
護衛で街を出ることを思い出して落ち込むクロネ。
勘違いしているようだから訂正しておくか。
「いや、隣町までは一日で着くから明日も多分宿だぞ」
「明日こそ頑張ります!」
頑張るって言ってもジャンケンなんだが……
その後、やはりというか夜のジャンケンの大会が開催された。
俺に勝ったらなでなでしてもらえるというやつだ。
まず一回目、
「「「「せーのでほい!」」」」
クロネ:石
ミズク:石
ククラ:石
ハヤト:石
何の呪縛だよ!
そろそろミズクが怖くなってきた。
確率的には81分の一だから起こりうるんだろうけどさすがに怖いぞ。
「「「「せーのでほい」」」」
クロネ:剣
ミズク:剣
ククラ:剣
ハヤト:人→lose
お、おう……一人負けって結構ショックだ。
「みんなでなでなで~」
「順番もジャンケンで決めるのです!」
「「「せーので、ほい!」」」
クロネ:石
ミズク:人
ククラ:剣
「「「ほい!」」」
クロネ:人
ミズク:石→lose
ククラ:人
「「せーのでほい!」」
クロネ:剣
ククラ:剣
クロネ:人
ククラ:人
クロネ:剣
ククラ:石→win!
「ククラが最初~♪」
「ククラちゃん、強いのです」
「勝つ秘訣教えて欲しいの」
そう言えば、この三日間の場所決めでも、ククラはずっと隣だな。
全員をなでなですると、すぐに二回目のジャンケンに入り、その後何回か続いた。
まあ、翌朝起きられなくなってはいけないから、早めに切り上げたが。
◇◇◇
『朝なのです。起きてくださいなのです』
夜明けの一時間前。加護 《おはようじょ》の目覚まし機能によって幼女の声が頭に響き、心地よい目覚めを迎える。
久々に聞いたな、女神のロリ声。
最近はあまりおはようじょを使っていなかったから懐かしさとも似た感情が沸き起こってきた。
ロビーには昨日のうちに早く起きる旨を伝えておいたから、しっかりとした佇まいの受付がいた。
朝食を四人分頼み、部屋に戻る。
起こすのは最年長のミズクからだ。
「ミズク、起きろー」
「ん……ハヤトにぃ? ……おはようなの」
ミズクはいつもより早い起床に少し戸惑っていたが、相変わらずすんなり起きてくれる。
今日の予定もすぐに思い出したようだ。
「クロネ~、起~き~ろ~よ~」
柔らかいほっぺをつんつんつつきながらクロネを起こす。
「……お兄ちゃん、おはようございます」
うん、クロネも頬をつつけば起きてくれるな。
問題は……。
「ククラ~」
「んにゃ、もうとえきえないよ~」
「寝言言ってるの」
「何を食べてるんでしょう?」
「さあ……おーいククラ~」
再度肩を揺すって起こしにかかる。
が、
「マスターは別腹なよ~」
「あ、喰われてるの俺だ」
「ハヤトにぃ、起きないときはくすぐるといいの」
「そうだな」
俺はククラの両脇の下に手を入れ、思いっきりくすぐった。
「んっ……はゃ、いはははははははははは、は、はふはーひゃにぇへー」
「おう」
やめてと言われたらすぐに辞める。紳士なら当然だな。
「はふぅ~……マスターおはよー……クロネとミズクもおはよー」
ククラは大きなあくびをしながら瞼を擦っている。
「顔洗いに行くぞー」
「はい」「はいなの」「ふゎーい」
三者三様の返事を聞きながら宿の裏の井戸に向かい、そこにある桶に水魔法で聖水を注ぎ、幼女達に顔を洗わせる。
「「「せーのでほい!」」」
「今日はわたしからです!」
「次はククラ~」
「やっぱり負けるの……」
ジャンケンを知ってからは、髪の毛を梳かしてもらう順番もジャンケンで決めるようになった。
それにしてもミズクは勝ちが少ないな……
クロネの髪を聖水で湿らせながら整え、乾いたタオルで拭いた後は柔らかいブラシで髪を梳く。
「よし、可愛くできたぞ」
「ありがとうございます」
「次はククラ~」
ククラがクロネと交代して俺の前に来る。
ククラの髪の毛は長く腰まであり、そのまま寝るから寝癖が凄いが、その分直すのが楽しい。
「よし、できたぞ」
「マスターありがとー」
「ようやくなの」
ミズクは、寝癖があまりつかないから楽だ。しかし、さらさら過ぎてぺっちゃんこになりがちだからふわりとなるように整える。
俺自身整え慣れはじめているのもあり、最初に比べるとみんなかなり可愛くなっている。
ロリ整然のアシストも、まだ十分ではないが欲しいところにだけ使えるようになって来てきた。
しばらく可愛さを増した幼女を見ていたかったが、そろそろ料理ができる頃だから部屋に戻り、運ばれて来るのを待って、朝ごはんを食べた。
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