第88話「護衛! But……」
今日も遅れてしまいました
すいません……
さて、改めて自己紹介でもしようか。俺は幼女に合わせてしゃがみ、各々の紹介をしていく。
「じゃあ改めて自己紹介を。俺は冒険者のハヤトだ。偶人の子がククラ、奴隷のうち帽子を被っている方がクロネで、もう一人がミズクだ」
「よろしく~」
「よろしくお願いします」
「お願いするの」
「ククラちゃんに、クロネとミズクだねー。ドールってことは……ハヤトさん『操者』なの?」
「ああ、そうだ」
右手の指輪を見せると、ルーは「へー」と感心の声を漏らしながらまじまじと指輪をみた。
「ずっと魔力吸われてるんだよね?」
「いや、今は吸われていない……よな?」
「うんっ」
「え? ドールって魔力ずっと吸ってるんじゃないんだ!」
「他のドールは知らないけど、ククラはお腹を空かせてから食べるのが好きだから!」
「へぇ~。なんか、ドールって怖いイメージがあったけど、全然そうじゃないね」
「怖かったのか?」
「うん。魔力を吸い尽くして人間を殺しちゃう話があったの」
それは確かに恐ろしいな。
「ククラはマスターが好きだから、そんなことはしないよ!」
おお、ククラから好きという言葉を頂いたぞ!
嬉しい限りだ。
溢れ出る感情を抑えられなくて、ついついククラの頭を撫でてしまう。
「きゅふふーん♪」
ククラの笑顔が一段と輝き、俺の肩に引っ付いて頬ずりしてきた。
「すごく好かれてるんだねー」
おっと、ルーが不満げな表情になっている。
さらに、気配察知が二人分のいいなぁオーラを検知した。
うん、今はやめておくべきだったな。
俺は、ククラを離して立ち上がった。
こういう時は話を変えよう。
「そういえば、ルーちゃんはどこに行きたいんだ?」
「え? 特にないよ?」
あれ?
「外に出たいんじゃなかったのか?」
「ハヤトさんに会いたかっただけだよ?」
おおぅ、嬉しいが、それなら護衛とかいらなかったんじゃないか?
「でも、せっかくハヤトさんと一緒に遊べるんだからどこか行こっかなー」
ルーは少し思案した後、
「そうだ! ハヤトさんってこの街に来たばかりなんだよね? 私、まあまあ知ってるから案内してあげる!」
俺としては嬉しいのだが、ますます護衛料をもらってよかったのか分からなくなるな。
まあ、露店で何か買ってやればいいか。
「いいのか? なら頼もうかな」
「よーし! じゃあハヤトさん、行こう?」
ルーは、そう言って開いた手を俺に向けてきた。
「その手は?」
手を繋ごうという合図にも見えるが、商人の子だから案内料をよこせと言っているのかもしれない。
「もうっ! こうするのっ!」
結局前者で合っていたらしい。
小さな柔らかい手が俺の左手を掴んだ。
「ならククラも~」
そしてククラは、俺の右手を握った。
そして気配察知に、少し前――具体的にはククラの頭を撫でたあたりから起こっていた二人分の羨望オーラがさらに強まった。
「まずはお父さんのお店を紹介するね!」
生き生きとしているルーに手を引かれ、俺たちは商人の宿を出た。
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