第81話「増えた槍亭」☆
アサートまだ作ってませんでした
しばらくお待ちください
冒険者ギルドは言われた通り赤い旗が掲げられていた。
「ククラの登録を済ませてしまおうか」
「登録するの~? 何に?」
「冒険者登録だ。まあ、身分証を作るんだ。それがあると街の出入りにかかるお金が安くなる」
セメカインストに入る時、実は250エソかかった。
奴隷二人は例のごとく無料だったが、ククラは身分証がないから入街に200エソ必要だったのだ。
「よくわかんないけどみんな持ってるならククラもする~」
受付の人に登録用紙を書いてもらい、冒険者証を発行してもらう。
ついでに俺とクロネとミズクもアサートを変更する。
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ククラ rnk.0
役:近接型、荷物運び
スキル:《魔力吸収lv.2》
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ハヤト rnk.3
役:近接型、遠距離型、治癒士
スキル:《ヒールlv.4》《水魔法lv.4》
《短剣術lv.2》
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クロネ rnk.2
役:遠距離型
スキル:《弓術lv.3》
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ミズク rnk.2
役:近接型
スキル:《夜目lv.3》《聞き分けlv.3》
《待機lv.2》《槍術lv.2》
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傀儡操作は、例の本にも載ってない珍しいスキルみたいだから伏せておき、魔力吸収だけ書いておくことにした。
他も同じだな。気配察知と空間把握も今までと同じように伏せたまま、武術系のスキルを追加した。
「偶人ですか。珍しいですね」
「ああ、気に入られてしまってな」
「魔法系スキルを二つも持っているのに、災難ですね」
魔力を吸われる話をしているのだろう。
「いや、そのあたりは配慮してくれるいい子でな」
「ククラいい子だよー」
ククラも、少しムッとしながら抗議した。
「くすっ、すいません和やかだったのでつい。それにしても水魔法レベル4と回復魔法レベル4って凄いですね、でも本当なんですか?」
「心外だな、ほら」
水魔法で水球を別々に四つほど作り出して見せると、受付員は非礼を詫びた。
魔法が複数同時に使えるのはレベル4からだと言うのは有名なようだ。手っ取り早く見せられる証拠があるのはありがたい。
安全な宿を紹介してもらって、俺たちはギルドを出た。
◇◇◇
この街は、そのかつての役割から分かれ道が多い構造になっていて、どうしても道を教える時に複雑になってしまう。
口頭での説明を覚えきれなかったから、街の人に聞きながら少しずつ進み、やっとの事で看板に三本の槍が描かれた宿に着いた。
「ここが『増えた槍亭』か……」
「ようやくだよー」
「長かったですー」
「なのー」
ククラたちもかなり気疲れしているようだ。
「あ、いらっしゃいませー! ええっと、二名様であっていますか?」
「ああ、」
相変わらず奴隷は人として数えられていないが、偶人は泊まる人の頭数に入っているようで良かった。
泊まることを伝えギルドからの紹介状を見せると、二部屋借りるか二人部屋にするかを聞かれた。
「ふたり部屋でよろしくお願いしまーす!」
おいククラ、何勝手に言ってるんだ。
まあ、ククラが嫌がってない以上、わざわざ高くなる二部屋にしてもらう必要もないからいいが。
とりあえず一日分だけ宿泊代を払い、部屋に案内してもらった。
部屋には当たり前だがベッドがそれぞれ壁にくっついておいてあり、どちらも入り口の反対側にある窓の方に頭を向けていた。
入ってすぐ横には椅子が二脚と丸テーブルが一脚あった。
「さて、ベッドはどう使う?」
今度こそ俺が床に寝ることになってしまうのだろうか? 幼女のためなら別に苦でもないが。
「マスター(ハヤトにぃ)(お兄ちゃん)と一緒に寝たい(です)(の)!」
「お、おう……」
まさかのハモりに少し感動してしまった。
「でも一つのベッドだと狭いな……移動させてくっつけるか」
加護で筋力も上がっているから動かすことは苦ではない。勝手に動かしていいか迷うが、寝る前に移動させて、朝に直しておけばいいだろう。
「じゃあ先に身体を洗ってしまおうか」
「「「はーい(なの)」」」
何のためらいもなく、服を脱ぎだす幼女たち。
紳士である俺は、できるだけあまり見ないようにしつつみんなの身体を洗った。
「ひにゃぁ……冷たいですっ!」
「きゅふふーんっ! 気持ちいいよ!」
クロネとククラは大きめの水球に包まれて楽しそうに身を捩っている。
そしてミズクは……
「んっ……ほあっ……や、やっぱりムリなのおっ……!」
くすぐったがりのミズクは、必死にくすぐったいのをこらえながらギブアップ宣言した。
「ほひゅぅ……ハ、ハヤトにぃ……やっぱりタオルにして……」
「ま、仕方ないよな」
ハンドタオルを水魔法で出した聖水で濡らし、ミズクに差し出した。
しかしミズクは受け取らなかった。
「……今日もハヤトにぃにやって欲しい」
「しょうがないな」
俺は丁寧にミズクの身体を拭いた。
ええ、背中の羽毛も、しっかり洗わせていただきましたとも。
まあ、ミズクから許可が出たからだが。
その後料理を頼み、ベッドの間にテーブルを置いて、俺とミズクが対面する形でベッドに座り、クロネが左手側、ククラが右手側になって夕ご飯を食べた。
ククラははじめてナイフとフォークを使って食べた。
「むむむ、難しい~。やっぱりマスターにするー」
そう言って俺の手を握って魔力を吸い始めた。
「はぁ~美味しい」
ククラ、右手を掴まれると肉が切れないんだが。
俺は仕方なく、ククラが魔力を吸い終えるまで、フォークでサラダを食べることに専念した。
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