第78話「ククラの食事は危険です」
テスト終わりましたー
世界史オワりましたー
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次の日、まだ探索が終わってないからもう一度屋敷に入る。
まあ、ぶっちゃけ目的は書斎だ。
今まで本を目にする機会なんてなかったから、この世界には本がないのかと思っていたが、やはりあるところにはあるということが分かった。
これを機にこの世界の情報を大量に仕入れようというわけだ。
屋敷に入ると、甲冑鎧が無残に転がっていた。
「あ、忘れてた~」
おいおい。
しばらくすると、甲冑鎧がひとりでに立ち上がり、奥に向かって歩き始めた。
いや、ククラが操っているのか。
「本があったのはあっちだよ~」
そして甲冑さん先導のもと、階段を上って二階に行く。
ちなみに左手はクロネ、右手はミズクと手をつないでいて、ククラは肩車の状態だ。
どう考えても、魔物の出る場所を歩く格好じゃないな。
まあ、クロネとミズクは魔物に攻撃しても効果がないし、俺の水魔法やククラの傀儡操作は相手に近づく必要がないからな。
「マスター魔物が出たら倒すの少し待って欲しいな」
「ん、いいけどどうするんだ?」
「ご飯♪」
一見物騒に聞こえるけど、偶人の主食は魔力だったな。
「俺の魔力じゃ足りないか?」
「そういうわけじゃないよ~。ただ、マスター魔法使いだからあまり食べちゃダメでしょ?」
「いや、まだまだ魔力には余裕があるから食べていいぞ」
「ほんとに? やったー!」
すると首元から魔力が減っていくのがわかった。
「指輪から吸うんじゃないのか」
「指輪からでも吸えるよ? でもせっかくだから直接食べたかったんだけど、ダメだった?」
「いや、直接でいいぞ」
「よかったー。それでね今すごいことにチャレンジしてるの」
「お、どんなことだ?」
「今まで直接吸うときは手で触って吸ってたんだけど、今は脚で吸ってるのー」
そうか、脚か……つまりふとももだよな。
ぐはっ、意識しないようにしていたのに意識してしまった。
ドールっていうから陶磁器のように硬くて冷たいのかと思ったらそんなことはない。
ドールは、体の一部に人形の特徴を持つだけの、れっきとした「人」なのだ。
だから肩車をしているとククラの柔らかいふとももで首や耳元が挟まれるわけで……
書斎に着くまでに、少なく見積もっても十回はヒールを使った。
◇◇◇
書斎には二匹のケープゴートがいた。
さっさと倒して部屋の安全を確保する。しかしいつ湧いてくるかわかったもんじゃないよな。
そうだ、いいこと思いついた。
この屋敷にはケープゴートしか湧かないことはククラに聞いて分かっている。
そのケープゴートは、湧く時、地面からぬぅっと現れる。
だったら地面に聖水を撒いておけばいい。
もちろん普通にそんなことをしたら床が水浸しになっておわってしまうが、
「これでいいだろう。アクアリウムタイル」
中に発生した物が外に出ないように条件指定した平たい結界の中に、水魔法で中から水を注ぐ。
水は結界の中にとどまって床や本を濡らすことはない。
床に合わせて同じものを敷き詰めていく。
「お兄ちゃん賢いです!」
「いや、水の処理どうしようか、考えてなかった」
解除するまでは消えないような結界にしておいたからしばらくは問題ないが、どうにかしないといけない。
動く結界とか作れるだろうか。
「三人は好きに本を探してきてくれ、俺はちょっと魔法を弄りたいから」
「ミズクたちに出来ることはない?」
「うーん、すぐには思いつかないな……。でもありがとうな、ミズク。何かあったら大声で呼んでくれ」
「わかりました」「わかったの」「はーい!」
「なんかおもしろーい」「ここだけ濡れるのってなんか変な感じです」「不思議な感覚なの」
アクアリウムパネルで遊びながらクロネたちはきゃっきゃと本を探しに行った。
その後、結界魔法で色々試してみるが、動く結界は作ることができない。
うーん実力不足かな。
ある程度出来ることは試した後、ふと思い至って中の水を操ってみる。
「あ、出来た」
桶などに水を入れると、水は制御を離れてしまって操れなくなるが、結界はそうではないらしい。
同じ人間の魔法による結界だからかもしれない。
いずれにせよ、これで問題は解決したわけだ。
そして、クロネたちに童話を読んであげたりスキルや職業の勉強をしたりしながら過ごした。
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