第71話「ホラーな洋館」
期末テストが近づいているので更新を二日に一回にします。
今回ヤバめなんですよ……
ホーンデットマンションに入ってまず目に入ってきたのは巨大なホールだった。
二階までが天井になっていてとても広い。
天井にはシャンデリアがぶら下がっていて貴族の屋敷だった感じがあるが、絨毯や大理石の床はここに来る冒険者の所為で汚れてしまっている。
まあ、その汚れがホラーな雰囲気を醸し出していて、ホラーゲームの洋館にやってきたような感じがあって、テンションが上がるのだが。
俺の興奮とは対照的に幼女二人は不安そうに周りを見回している。
そしてその時、建物の何処かから甲高い悲鳴が聞こえてきた。
「お、お兄ちゃん、今のは……」
クロネは俺の腰にぎゅっとしがみついて縋るような目で俺を見上げている。
その目にはわずかに涙が溜まっている。
「大丈夫だ。俺がいるから」
腰にしがみついてくるクロネの肩に腕を回してやる。
その時、ミズクが俺を呼んだ。
ミズクは二階の方を見上げている。
「ハヤトにぃ、あ、あそこ……」
「ああ、分かってる」
暗くて姿は見えないものの、ミズクの視線の先に何かがいる気配はしっかり感じ取っていた。
気配が一階に移動しこちらに近づいて来る。
そしてその姿が見えた。
「ひにゃあ!」
クロネがその姿を見て悲鳴を上げる。
ヤギの頭蓋骨が浮いているようにも見えるそれは、黒いマントをきたヤギの遺骸と言われている。
名前は、ケープゴート。
ヤギといえば草原で草を食べているイメージしかないからネウスから情報を聞いた時にそれほど怖そうとは思わなかったが、目にしてみるとすごく怖ろしい。
ヤギの頭蓋ってこんなに怖かったのか。
急ぎ水魔法で聖水を生み出し、作った水球をケープゴートに叩きつける。
「ギュオオオオオ……」
一発ぶつけると、ケープゴートの体から靄のようなものが上がり、すぐに水に落とした墨汁のように身体ごと掻き消えた。
そしてカランと石の床に何かが落ちた。
うん、余裕だったな。これならクロネたちと手を繋いだままでも十分に戦える。
ケープゴートから落ちたものを拾い上げてみると、透明な赤い石だった。
等価交換の法則を無視して色々と錬金できそうな見た目だな。
何に使えるかはわからないが、取り敢えず袋に入れておく。
「大丈夫だぞ、二人とも。また出てきても俺が倒してやるから」
「う、うん」「ミズクも頑張るの」
ミズクは俺から手を離して何やら息巻いていたけど、また悲鳴が聞こえてきた瞬間、いつの間にか俺の腕を掴んでいた。
はぁ、強がってるけどやっぱり怖いって感じがしてすごく萌える。
さあ、いよいよ奥に進んでみようか。
「二人とも、できるだけ俺から離れないようにな」
「うんっ」「わかったの」
ミズクはしっかりと俺の腕を抱き、クロネは腰あたりにしがみついた。
離れるなってそういう意味じゃないんだが……
まあ、幼女に引っ付かれて不満なんてあるはずもなく、俺は興奮しながら近くの扉へと向かった。
あ、ちなみに洋館探索に対する興奮だからな?
か、勘違いするんじゃないぞ?
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