第63話「諺とか四字熟語とか」
翌日、いよいよ本格的にレベル上げ目的で森へ向かうことにする。
と言っても、昨日の実験が終わったあたりからすでにスキル試しが目的の狩りではなくなっていたが。
クロネの矢を追加購入しに武器屋に赴き、その時に面白恐ろしい話を聞いた。
弓術レベルが3になると、矢は金属製でも問題なく飛ぶようになるそうだ。
人の腕で鉄の矢を放てる世界とは……。どおりで銃器の類を見ないわけだ。
昨日が終わった時点でクロネと俺はレベル14に、ミズクは10に上がっている。
俺は、いつものようにコボルト10体の討伐クエストとスライム10体討伐クエストを受けようとする。
その時ミズクが疑問の声を上げた。
「ご主人様、どうしていつも一つずつなの?」
「ああ、あまりたくさん狩ってるのがバレると目立つからな」
「目立つとダメなの?」
「『出る杭は打たれる』と言う諺を知らないか?」
「なるほど、わかったの」
「ごめんなさい、どういう意味ですか?」
「あんまり目立つとその活躍をよく思わない奴が出てくるって意味だ。そうなると喧嘩の種になるだろう?」
「なるほどです」
うん、クロネも分かったみたいだな。
「ご主人様、それならミズクたちとご主人様で別々に依頼を受けるのはどうなの?」
「うーん、余計に目立つんじゃないか?」
「そんなことないの。冒険者の中には、自分たちが休日の日に奴隷を狩りに行かせている人も多いの」
「そうなのか……じゃあミズクの案に乗ってみようか」
そして魔物の討伐クエストをいつもの二倍と、いつもどおりの量の採取クエストを受けて町を出た。
◇◇◇
『ロリコンのレベルが上がったのです』
魔物を狩っていると、ついにレベルが15になった。
イチゴだよイチゴ! ロリって感じがするよね!
『加護《ロリ整然》を会得したのです』
それを言うなら理路整然だろ。
俺は加護の内容を確認する。
――――――――――――――――
《ロリ整然》
幼女の身だしなみを整える行動に大幅な補正が入る。
一応加護保持者にも効果がある。
――――――――――――――――
ほう、これはどういう風になるのか是非試してみないといけないな。
ちょうど七時(正午)も近いから、休憩がてら試してみることにした。
「クロネー、ちょっとおいでー」
「どうしたんですか?」
「髪を梳いてあげよう」
「わーい」
最近買ったブラシでクロネの髪を梳いてあげると、クロネの跳ねていた毛が一撫でで整った。
それも、幼さを醸し出すくせ毛は残して。
そして、ふんわりといい香りがする。
凄いなこの加護。梳いただけでクロネの魅力が跳ね上がったぞ。
せがむミズクには同じことをしてやると、こちらはぴちっとしすぎかな?と思うこともあったストレートヘアがふわっと柔らかく持ち上がり、印象が明るくなった。
やはりこちらからもいい匂いがする。
「ミズクがかわいくなったのです!」
「クロネもかわいくなったの」
幼女二人がきゃーきゃーと褒め合っている。
いやぁ、眼福眼福。
試しに水魔法で頭も洗ってみると、クロネの髪はつやつやと美しい緑の黒髪になり、ミズクの髪は輝くような亜麻色の髪になった。
そして、どちらからもシャンプーしたかのような優しい匂いがする。
その後二人が抱きついてきて、さらにいい匂いに包まれた。
幸福感が凄い。
俺はとんでもない加護を手に入れたのかもしれない。
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