第59話「武術系スキル」☆
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好きに振れと言われても、それはそれで困ったものだ。
取り敢えず目の前のスライムを斬るようなイメージで剣を振る。
「カァッ! テメェ筋がいいな。これならスキル取得も早そうだ」
「スキル? 気配察知のことか?」
「ガハハハハ! そんな訳ねェだろ! 《短剣術》だよ」
「短剣術?」
「そうだ! ってか知らずに来たのか?」
「何をだ?」
「ハアッたく……説明してやるよ」
おっさん曰く、訓練所という施設は、武術系スキルを得る場らしい。
武術系スキルは、持っていると相手に与えるダメージが大きくなるそうだ。
魔法系スキルとはだいぶ毛色が違うな。
武術系スキルには《短剣術》《長剣術》《大剣術》《槍術》《弓術》などなど様々な種類があり、スキルを持った人から教わることで習得できるらしい。
独学で習得することもあるがかなり極めないと難しいとのことだ。
「そうなのか、知らなかった」
「知らなかったです」
「知らなかったの」
三人とも知らなかったことにおっさんはガハハハハハと、豪快に笑った。
まあ、ミズクの言う「知らない」は、スキルの存在を知らなかった俺たちとは違い、ここでスキルを習得できることを知らなかった訳だが。
最終的に、ミズクも教えを受けさせることにした。
◇◇◇
筋がいいと言われたのは本当だったようで、二時間程度でスキルを習得できた。
「ご主人様かっこいいです」
「ありがとう、クロネ」
ものすごく撫でてやりたいが、人前だから奴隷と仲のいい様子を見せるのは避ける。
帰ったら撫でてやるからな!
「カハァ、テメェは将来有望だな! 大剣を使う気は無いか?」
「い、いや、やめておく」
別に断ることも無いのだが、おっさんの目つきがギラギラしていて恐かった。
「次はクロネを見てやってくれ」
「よろしくお願いします」
「あいよ! しかし奴隷にスキルを覚えさせるなんて珍しいナ!」
訓練所で訓練をするのにもお金がかかるから、普通は奴隷に訓練させるくらいなら自分が訓練するという考えになるらしい。
「俺一人いろんなスキルを持っていても仕方ないだろ? それに才能がありそうだからな」
俺はクロネの才能を信じている。クロネは身軽で空間把握に秀でているから、優秀な狩人になってくれるんじゃないかと思う。
「ヨシッ! それじゃあ早速やるか! 弓は訓練所でも用意できるがどうする?」
「俺の方で買った弓があるからそれを使いたい」
クロネが背負っていた弓をおっさんに見せた。
「これなら初心者用だから問題ないな。じゃあ一度弓を引いてみてくれ」
クロネは言われたとおり弓を引いた。
「だめだ、まったくの素人じゃねェか。先ずは持ち方からだな」
間に休憩と間食は挟んだものの、六時間みっちりと訓練し、クロネは遂に弓術スキルを習得した。
「今日初めて使った風なのに、半日でスキル習得たァスゲェな。素人なら普通は一週間かかるってェのに」
最後の方なんか遠くの的に十回引いて十回中てていたからな。
そう言えばスキル習得を助ける加護があったな。
ああ、あの《兄性》とかいうよく分からない加護にそんな効果があった。
もともとのクロネの才能×空間把握スキル×加護。
それだけじゃなくクロネ自身真剣に頑張っていたもんな。
クロネの真剣な表情……可愛かったなぁ。
汗で額に引っ付いた前髪とか凄い可愛い。
可愛いは正義とも言うし、そりゃあこれだけ早く習得できるよな。
「ご主人様、わたしやりました!」
「ああ、凄いぞ。よく頑張った」
今すぐに褒めまくってやれないのが辛い。
これは帰ったら絶対褒めてやらなくちゃな。
「で、次にそっちのオメェだな」
「はいなの」
そしてミズクはものの一時間でスキルを習得した。
「テメェらスゲェな! そこのお嬢ちゃんは経験者だったにせよ、素人のお嬢ちゃんまで半日で習得しちまうとは思わなかった。
でもな、レベル1なら誰でも頑張ったら習得できるんだ。ここで調子に乗って死んだりすんなよ」
「わかっている」
「テメェらの活躍、期待してるぜ」
おっさんの暑苦しい笑顔に見送られ、俺たちは訓練所を後にした。
ちなみに訓練代は一時間100エソだった。
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ハヤト・オオタカ
ヒューマン 男
職業:《ロリコンlv.13》
スキル:
《ヒールlv.4》《水魔法lv.3》
《気配察知lv.2》《短剣術lv.1》
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クロネ
猫人 女
職業:《奴隷lv.13》
スキル:
《空間把握lv.3》《弓術lv.1》
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ミズク
梟人 女
職業:《奴隷lv.8》
スキル:
《夜目lv.3》《聞き分けlv.3》
《待機lv.2》《槍術lv.1》
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