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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
三章「タゼウロンの町」
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第57話「焦り」

翌日、四人の冒険者の遺品の中にミズクに合う武器があったから、それを持たせて森へと赴く。


ミズクの武器は槍だ。


「小さいころ、お父さんが教えてくれたの」


なんとミズクは四歳の時から魔物との戦闘に参加していたらしい。


なんて、たくましい幼女だ……。


俺は、その歳のころ、銭湯で溺れていたというのに。


「ミズク、奴隷になる前のジョブはなんだったんだ?」


「村人なの」


「レベルは?」


「21なの」


「強いな」


「全然なの」


ミズクはそう言うが、コボルト一体ならなんとか一人で倒せていた。


「ミズクは強いな〜」


「ま、まだまだなの」


ミズクは謙遜するが、褒めて撫でると嬉しそうに照れ笑いを浮かべていた。


「わ、わたしも頑張りますっ」


「焦る必要はないからな」


俺は鼻息を荒くするクロネを撫でた。


うん、今日も幼女はかわいいな。



しばらく歩くとまたコボルトが現れた。


「行きますっ!」


「クロネ⁉︎」


クロネが勢いよく駆け出し、コボルトに接近した。


「えいっ!」


大きく振りかぶって右手のダガーナイフを振るうが、コボルトはジャンプして軽く躱し、クロネに組み付いた。


「クロネっ!」


俺は急いで近づき、コボルトを斬りつけ、クロネを離したところで思いっきり蹴飛ばした。


「ミズク、そいつ頼むっ!」


「わかったの!」


慌ててクロネの安否を確認すると、両腕に掴まれたことによる深い爪の跡と、頬に三本並んだ引っ掻き傷があった。


「ヒールッ!」


今までクロネが一度も怪我をしなかったわけではない。擦り傷や草で切った程度の怪我なら何度も見てきた。


でも、魔物に襲われて怪我を負ったのは、初めて会った時以来これが初めてだった。


「クロネ、大丈夫か?」


そう言ってクロネの顔を覗き込む。


クロネは俯いた。


「どこか痛むのか?」


クロネは首を横に振る。


そして地面に水滴がポタポタと落ちた。


「……クロネ?」


「……っお兄ちゃん、わたし、お兄ちゃんの役に立てないっ……」


本当にこの子は……。俺は、クロネを抱きしめた。


「焦らなくてもいいと言ったろ」


「——っでも」


「クロネは十分役に立ってるじゃないか」


「そんなことないです。お兄ちゃんは優しいからそうやって——」


「俺は優しくないぞ。いつもクロネに道案内してもらってるじゃないか」


「そんなのわたしがいなくてもお兄ちゃんならできるじゃないですかっ」


「いや、出来ないよ」


「嘘ですっ。わたしのために嘘をついてるんですっ」


「嘘じゃない。クロネには空間把握があるだろ? 俺にはない。それは証明にならないか?」


「っ……」


「それにクロネは木登りが得意で、いつもやってくれるだろ? 実は俺、木登りが出来ないんだ」


「それこそ嘘ですっ。木登りなんて誰にでもできますっ」


「そう言われると傷つくな……」


俺は割とガチで落ち込んだ。出来て当たり前なんだって、木登り。


「お兄ちゃん、ほんとだったんですか?」


「ああ……、情けないことにな」


「ミズクも、木登りはあんまりなの……」


ミズクも暗い顔になっている。ミズクも同志だったようだ。


「えっと、その……ごめんなさい」


謝らないでくれ。余計に情けなくなる。



◇◇◇



「そういえば、クロネは空間把握スキルを持ってるの?」


「はい、まだレベル3ですけど」


「それなら遠距離武器を持つといいかもしれないの」


「「遠距離武器?」ですか?」


「なの。」


「それはどうしてだ?」


「距離感が正確だからなの。ミズクの村にも空間把握持ってる弓の名人がいたの」


なるほど、距離感か。確かに弓は距離感が大切だよな。


「クロネ、弓使ってみるか?」


「お役に立てるならやります!」


「よし、じゃあ帰りに弓を買おうな」


「ありがとうございます!」


それから安全に魔物を狩り、クロネのレベルは13に、ミズクは8になった。

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