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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
三章「タゼウロンの町」
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第47話「一対の……」☆

※6/19文字でのステータス表示を追加しました。

「そうか……、俺は今、ミズクの仮主人なのか」


主人のいない奴隷は、拾った人の物だということをすっかり忘れていた。


俺は、この子を奴隷にしたい。


いや、疾しい意味ではなく、保護したいという意味でだ。


奴隷の扱いは総じて酷いものだからな。


「かわいそうだが、クロネを起こすか」


駆け回っている間も全然起きなかったクロネを起こすのは苦労するだろうなと思ったが。


「クロネー、起きろー」


「んっ、んぅ、おにぃちゃん?」


ほっぺをツンツンとつつくと、可愛らしい声をあげて目を覚ました。


「おあようございます、あやと(ハヤト)お兄ちゃん」

「おはよう。って言ってもまだ夜だけどな」


クロネを腕から離す。


クロネは離れることを少しだけ嫌がったが、素直に従った。


「クロネ、後ろを向いてくれ」


言われて後ろを振り向いたクロネは、人がいたことに驚いたようだった。


「この子は……奴隷ですか?」


「ああ、新しく仲間になるかもしれない」


そう言うと、クロネはすごい勢いで振り向いた。


「お兄ちゃん、なんでもするからわたしを捨てないでください!」


「いや、捨てないって。なんでそういう考えになる」


「わたしが役立たずだから……」


「クロネはちゃんと役に立ってるよ。そうじゃなくて、この子――ミズクって名前なんだけど、前の主人が魔物に襲われたんだ。それで俺が拾ったわけだ」


「そうだったんですか。――って、わたしずっと寝て……。っごめんなさい!」


「気にしなくていい。交代した後なんだから」


「でも……」


「その話はいい。それより彼女を俺の奴隷にしてもいいか?」


「も、もちろんです!」


よし、クロネはいいと言ってくれた。


「ミズクは、俺の奴隷になってもいいか?」


傍観していたミズクに声を掛けた。


「へ? あっうん。変な質問なの……」


普通はそんなこと聞かずに奴隷にするんだよな。


「俺は、奴隷だからといって無下に扱ったりしないからな。安心して欲しい」

「ハヤトお兄ちゃんは、とっても優しいです!」


お、嬉しいことにクロネが援護射撃してくれた。


「それじゃあ奴隷紋を見せてくれ」


ミズクは服を脱ぎ、俺に背を向けた。俺の横にはクロネが立っているが、ミズクの方が少しだけ背が高そうだった。


そんな彼女の背中には見慣れないものがあった。


肩甲骨から伸びた子供の手のひらほどの小さな翼。


髪色と同じ薄茶色の羽毛が生えていた。


「これ、触ってもいいか?」


「いいけど……気持ち悪くないの?」


この世界の人間は獣人の特徴を嫌っているかもしれないが、俺はそんなことはない。


「全然気にならないよ」


ミズクの翼はふかふかしていた。まるで――と言うよりまさに雛鳥の毛だった。


「ふかふかだな」


「は、恥ずかしいの……」


「わ、悪い!」


「いや、そうじゃないの、ふかふかの毛は未熟な証なの……」


聞けば、大人になると羽根一枚一枚が大きく硬くなるそうだ。


俺は、幼い翼を触るのを止め、奴隷契約を結んだ。


「次は首輪に……」


ああ、首輪もあったか……。奴隷であるなら首輪はあったほうがいいが、なにもこの重そうな首輪にする必要はないな。


「いや首輪は外しておけ、今度別のを買う」


「わ、わかったの」


そうしてミズクが仲間になった。


ミズクのステータスはどんな感じだろうか。


――――――――――――――――

ミズク

梟人(ホーマン) 女

職業:《奴隷lv.6》

スキル:

《暗視lv.3》《聞き分けlv.3》

《待機lv.2》

――――――――――――――――

挿絵(By みてみん)


だから種族の読み方はなんなんだよ!


まあいい、ツッコんだって無駄だ。


それより待機というスキルは何だ?


「ミズク、今ミズクのステータスを確認したんだが、待機ってのはどんなスキルだ?」


「じっとしてたら、魔物に見つかりにくくなるの」


ああ、それでミズクだけ生き残ったのか。


地味に疑問だったが、それで分かった。


「まあ、取り敢えず明日タゼウロンに戻るから今日はゆっくり眠っておけ。と言っても、日の出まで後三時間ほどだが」


「わたしが起きています」

「いや、ミズクが見張るの」

「ダメだ。二人とも寝ておくんだ。これは命令だ」


「うん、分かりました」

「? 分かったの」


クロネは素直に、ミズクは、奴隷紋に反応がないことに首を傾げながら返事をする。


ミズクは、木にもたれて眠ったが、クロネは、再び俺にしがみついて眠るのだった。


俺は、コボルトに襲われた冒険者達の二の舞にならないよう、作った氷を首筋に当てながらクロネの寝顔を見る――のはほどほどにして、周囲を見張り続けた。

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