表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
三章「タゼウロンの町」
51/156

第45話「気配」

テストオワタ

「さあ、クロネ。そろそろ寝るんだ」


「うん……抱きついて寝てもいいですか?」


クロネも夜の森が危険であることは分かっているから、邪魔にならないようにと配慮しようとしてくれている。


確かに寝ているクロネは、俺がいなくなってしまうのが心配なのかしっかりとしがみ付くから、簡単には抜け出せない。


しかし、スライムやコボルトならクロネを抱えながらでも十分戦える。


「ああ、いいぞ」


「やったっ」


クロネは、俺の胡座の上に乗り、腕と足を俺の背中に回して、安定する位置を探してしばらく調整を繰り返した。


やがて安定すると抱く腕に力が入る。


きゅっと抱きつく様は、まるで木にしがみ付くコアラだ。


俺はクロネを撫でながら、周囲を警戒した。



◇◇◇



時刻は、二十時。


地球の時間でいうと、午前零時くらいになる。


この世界の人は太陽の位置や月の位置から時間を読むらしいが、俺の場合は、しすてむめっせーじの定型文返信機能で確認している。


正確だし楽だ。


チートではないが、この加護は結構好きだ。


幼女だからではないぞ?



気配察知に、突如なにかが引っかかった。


一瞬驚いたが、すぐにかなり遠くの方だと分かり、落ち着き直した。


その気配は、俺の気配察知できる範囲の外にあった。


強い気配だから反応したようだ。


にしてもこの気配の感じ、どこかで感じたことがあるような……


ああ、思い出した。


初めてクロネに会った時の気配に似ているんだ。


もしかして誰かが襲われているのだろうか。


ここの魔物は、このロリコンどもめ!の加護のある俺にとっては雑魚だ。


助けられるなら助けに行こう。


動きやすくするためにクロネを一旦離す。


落ち着きがなくなったが、(かか)えるように抱き直すと、再びすやすやと眠りだした。


かわいいなあ、もう。


俺は、クロネを起こさないようにしながら駆け出した。



◇◇◇



気配のする場所に着き、俺は、思わず息を飲んだ。


そこにいたのは、いや、あったのは喉を切り裂かれた冒険者の死体だった。


少し離れた場所にも血だまりがあり、引きずったような跡がある。


これは……コボルトの仕業だろうか。


寝込みを襲われたとしたら、コボルトの強さはあまり関係が無くなる。


「全滅……か?」


しかし気配はまだ感じる。


犯人のコボルトか、生き残りかは分からない。


俺はクロネを抱き直して気配察知に集中する。


ただでさえ見通しの悪い森の中、半分以上欠けた月や星の光はあるもののあたりは真っ暗だ。


普通に隠れたものを探すのは、骨が折れる。



気配のする場所のかなり近くに来た。


目の前の茂みにおそらく気配の主がいる。


距離感的にも間違いない。


「おーい、誰かいるのかー?」


俺は、コボルトが飛び出してきた時に備えて武器を構えながら声を掛ける。


その瞬間、気配がとても強くなった。


しかし、飛び出しては来ない。


感じる気配は、次第に穏やかになっていく。


「い、いるのっ!」


がさり、と音がして暗闇で何かが立ち上がったのがうっすらと見えた。


声は高いが、背は高くない。


「明るいところに出てきてくれ」


そして、陰から現れたのは――


(首輪……奴隷か)


大きな首輪を付けた、人間の幼女だった。

感想・ご意見・誤字脱字などなど随時受け付け中!


気軽に書き込んで行ってください!


できる限りコメント返します


ブックマークもお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ