第44話「作用反作用の法則」
頭に声が響いた。
『加護 《幼女の口付け》を会得したのです』
『加護 《幼女のファーストキス》を会得したのです』
『ロリコンのレベルが上がったのです』
わお、幼女のファーストキスだけでなく、幼女のファーストキスも手に入れてしまった。
ごめんなさい。言いたかっただけです。
それにしてもレベルが上がったってどういうことだ?
今回俺は、何もしてないぞ?
とりあえず加護の内容を確認する。
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《幼女の口付け》
幼女にキスをされた証。
運気が上がる。
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《幼女のファーストキス》
幼女のファーストキスを得た証。
運気が大幅に上がる。
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幼女のキスが何の効果も持たないはずがなかった。
運か……
お土産ショップであるような運気が上がるアイテムなどは胡散臭いことこの上ないが、胡散臭さとは対極である幼女の加護だから信頼できるな。
それに、幼女の尊い口付けによって得た加護が何の役にも立たない何てことは、あるはずがない。
そして今のレベルアップで、レベルが13になったわけだが……
キスを「する」のはもちろんのこと、「される」ことにも、ロリコンらしさがあるとは思えない。
幼女を護り、幼女の望みを叶えるのがロリコンの仕事だ。
言わばお姫様と騎士。
もちろん騎士のようにかっこいいものではないが、基本の理念は変わらない。
騎士がお姫様のキスを貰ったら……
……あ、分かった。
騎士にとって、お姫様のキスをもらうことは、とても名誉なことだ。
名誉ある騎士というのは、格の高い騎士のことだ。
そこから考えると、名誉を得ることでレベルという名の格が上がるとしても、おかしなことはない。
騎士とて、お姫様のキスが欲しいがために尽くしているわけではない。
同じくロリコンも、幼女に癒しを求めているとは言え、何か直接的な見返りを求めて尽くしているわけではない。
だが、名誉は名誉なのだ。
ロリコンにとって名誉なことをされたから、ロリコンの格が上がったのだろう。
――――ハヤトはそう納得していたが、クロネが単純に喜んでいる、という考えには、至らなかった。
キスをするということは、相手に決して少なくない好意を抱いているということで……
(お兄ちゃんに、ちゅうしちゃいましたっ きゃあ!)
……そんな相手に最大限の好意を示せるというのは、実はとても幸せなことだ。
ハヤトはクロネから喜びを得たが、それはクロネから減ったわけではない。
同じだけの喜びを、クロネは得ていたのだ。
喜びには、作用反作用の法則が成り立つ。
(それに『嬉しい』って言ってもらえましたっ)
……まあ今回に限っては、ハヤトが無意識にレシーブを返したので、クロネの喜びの方が大きかったけれども。
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