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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
一章「異世界」
5/156

第5話「はじめての戦い」

やっとレベル5です


夜に第6話投稿予定です

『スキル 《気配察知》を習得しまちた』


ただ歩いていただけなのに突然スキルを身につけた。


別に気を張り巡らせていたわけでもなく、むしろ空を見上げてぼーっとしていたくらいなのに。


現地でのスキルの習得は初めてだが、なんとなく奇妙なのは分かる。


脈絡がなさすぎる。



とりあえず気配察知スキルを使おうと周囲に気を張ってみる。


二時の方向(大嘘)に動く物体を発見!


俺は直ちに駆け出した。



◇◇◇



気配のした場所に着くと、確かに生き物がいた。


腰丈くらいのくすんだ緑の身体、常に前に屈んでいるようなひどい猫背、醜い見た目と尖った耳。


ゴブリンだった。


しかしそこにいたのはゴブリンだけではなかった。


「たす……けて……」


今にも消え入りそうなか細い声を絞るようにして助けを求める年端もない男の子がいた。


その光景にとてつもない嫌悪感を抱いた。


視界の中で、ゴブリンは手に持った棍棒で男の子を殴りつけていた。


そして今、おおきく振りかぶった棍棒が男の子に振り下ろされ――


『加護 《このロリコンどもめ!》を会得しました』


場にそぐわない名の加護の会得を知らせるシステムメッセージが言い終わらないうちに、地面を蹴り、次の瞬間にはゴブリンを棍棒ごと弾き飛ばした。


ゴブリンが地面の上を滑る。


ちらりと男の子を一瞥すると、下腹部を濡らして気絶していた。


(まずはゴブリンを片付けないとな)


跳ねるような身軽な動きで起き上がったゴブリンがこっちを向いた瞬間、急接近しロングナイフを横一文字に振り抜いた。


ぼすっという音とともにゴブリンが崩れ落ちた。


「……ふぅ」


戦闘の緊張が切れた瞬間、先ほどまであった怒りはなりを潜め、戸惑いと後悔が襲ってきた。


(生き物を殺してしまった……)


自分の手を見ると、ゴブリンを切りつけた時の嫌な感触が蘇ってきた。


キモチワルイ。


この感覚は不味い。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」


俺は空に向かって大声で叫んだ。


すると気持ち悪さが少し和らいだ。


そしてパチィンっと音が響くほどを両手を打った。


「ああ、痛え……でも、おかげで落ち着いたな」


まだ殺してしまったことを怖れる、身体の内側と外側が離れたような嫌な感覚はあったが、一先ず倒れている男の子のもとに向かう。


「後悔云々はとりあえずあとだ」


口に出して言い、自分に言い聞かせる。


男の子は、身体に行くつも痣を作り、特に腕が酷かった。


俺は、身体に刺激を与えないように出来るだけ注意しながら水魔法で身体に着いた土などを軽く落としていく。


「う、うぅ……」

「おっと痛かったか、ごめん」


顔を見ると目やにやら鼻水やらで酷く汚れていた。口元も戻した跡が残っている。

それらを綺麗にしてやると、見惚れるほどの整った顔立ちが現れた。


ふとある予感が過る。

しかし今は考えている場合ではない。


続けて、腕や足にヒールをかけていく。


ヒールのレベルが3に上がった。


そしてみすぼらしい服に手をかける。


躊躇いは一瞬、上の服をめくり上げた。


目を背けたくなるほどにたくさんの痣があった。


一つ一つ丁寧に治していく。


一通り治した後、服を全部脱がして水魔法で洗った。


もしかして、と予感はしていたが男の子ではなく女の子だった。


でも今は女の子であるとかは関係ない。


大きな水球の中で洗濯機をイメージして服をかき回しながら、新しい加護の効果を確認する。


――――――――――――――――

《このロリコンどもめ!》

 守るべき幼女が近くにいるとき、あらゆる能力が倍化。

――――――――――――――――


なるほど、確かにゴブリンを倒した時、明らかに自分の限界を超えた動きをしていたと思ったが、そういうことだったのか。


今、魔法をいつも以上に上手く扱えているのも、本当ならとっくに魔力切れしていてもいいのに、魔力切れの予兆の倦怠感すら感じていないのも、この加護のおかげなのか。


噂をすればとはこのことか、一人納得していると倦怠感を感じ始めた。


服を取り出し、水はその辺りにぶちまける。洗った服は水を切ってから近くの木に干した。


再び女の子の元に戻ってくると、横たわるすっぽんぽんの女の子と地面の間に手を突っ込み、近くにあったエキシピウムの小群生にそっと寝かせた。

幼児口調にするとマジで空気読まなくなって困る


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