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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
三章「タゼウロンの町」
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第42話「幸せをはんぶんこ」

立ち飲み屋を出たあとは、クロネと一緒にそぞろ歩きをし、日が暮れる前に宿に戻った。


今日は宿でクロネと向かい合って晩ご飯を食べる。


「やっぱり一緒に座って食べるのが一番いいな」

「うん。でもお兄ちゃんと、はんぶんこするのも好きです」


クロネが少しぎこちなくナイフを使いながらそう言った。


俺はその言葉に感動した。


はんぶんこだと!


クロネと食べ物をはんぶんこだと!


半分残した物をあげることに、下げ渡すような印象を抱いていたが、「はんぶんこ」と考えれば悪くない。というよりむしろイイ!


「よしクロネ、明日から二人で違う料理を頼もう」


「ハヤトお兄ちゃんとお揃いがいいです」


お揃い……


それもいいんだよな。


どちらも捨て難いが、今は「はんぶんこ」の方に心の針が振れてしまう。


「まあ聞け。二人で違う料理を頼んで、二人ではんぶんこするんだ。そしたら違う料理を少しずつ食べられるだろう?」


「ハヤトお兄ちゃん! わたし違うのでもぜんぜんいいです!」


「よし、決まりだな」



そして翌朝。


起きて顔を洗い、クロネと一緒にラジオ体操をしてから朝ごはんにする。


これは最近の習慣で、一日二食故に重めの朝ご飯をしっかり食べるための工夫である。


クロネのラジオ体操を見るためではない。


朝ごはんには、切り込みの入ったベーグルに、ベーコンとサニーサイドアップを挟んだものと、レタスとポテトサラダを挟んだものがセットになったものを一つと、


ブロッコリーやキャロットや肉の入ったのスープと丸パン二個のメニューを一つ頼んだ。


先に口をつけることに遠慮を示したクロネをうまく言いまるめて、それぞれ違うものを食べ始める。


「このベーグルサンド美味いぞ、食べてみろ」


「このスープも美味しいです。飲んでみてください」


そうやって何度も交換しながら食べ進めた。


自然と会話も弾む。


「!」


クロネが「ん」とも「は」とも「ほ」ともつかない声をあげた。


多分「あっ!」と言おうとしたのだと思う。


見ると、クロネがベーコンとサニーサイドアップを引っ張り出してしまっていた。


うんうん、かわいいよクロネ。


ハンバーガーとか食べてると割とよくあるよね。


そんな感じで幸福な朝の時間はゆっくり過ぎていった。


分けた幸せは、半分になるどころか質を増やして帰って来るのだ。



◇◇◇



その日は一日森でクエストをして、

スライムで900エソ、

コボルトで2500エソ、

採取クエストで430エソ、

の計3830エソ手に入れた。


俺は、レベル12になった。

クロネはそのままだ。



そしてその翌朝。


朝ご飯を食べながら今日の予定について話す。


「さて、今日はヨマワモルの森で野営をしようと思う」


野営ができるとやれることが増えるので、今後の冒険ためにも積極的に実習を重ねていくつもりである。


この世界のいろんなものを見てみたいしな。


幸いにもヨマワモルの魔物は弱いから、実習に適している。


「ちょっと不安です……」


でもクロネがそう言う気持ちも分かる。


「だから、昼の間は昼寝をしよう」


「お昼寝ですか?」


「ああ、夜にうっかり寝てしまわないように先に寝ておくんだ」


「なるほどです!」


しっかり眠るため、正午である七時になるまで森を駆け回り、コボルト十体と採取クエストで稼いだりしながら体力を消費した。


クロネのレベルも、12に上がった。


宿に戻って宿の人に連絡をし、身体を軽く洗って布団に入った。


「ちょっと恥ずかしいです……」


俺は割といつも通りなのだが、夜と違って甘えスイッチが入っていないクロネは、耳を赤くしてもじもじしていた。


相手が恥ずかしがると自分も恥ずかしくなるもので、寝ることに対して躊躇いのような思いが湧いてきた。


背徳感とも似ている。


「やめておくか?」


もともとクロネが嫌ならしないつもりだったから、そう尋ねる。


「ううん。一緒にお昼寝したいです」


クロネは、そう言って俺に身を寄せて来た。


「おやすみ、クロネ」

「おやすみなさい、ハヤトお兄ちゃん」

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