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職業(ジョブ)がロリコンでした。  作者: とおか
三章「タゼウロンの町」
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第40話「ロリコン退職」

「次は転職ですね。ご案内します」


教えを受けた後は、いよいよ神殿(ここ)に来た目的である転職だ。


早くロリコンを退職したい。


ちゃんとした職に就きたいのだ。


クロネたちに誇れるような職に就きたいのだ。


俺たちが連れてこられたのは大きな鏡の前だった。


鏡の向こうのクロネを見ると、目が合う。


クロネがにっこりと笑った。


かわいいなぁ。


そこら一般にいる幼女よりも、クロネはダントツでかわいい。


「ホント、ハヤト様はお優しそうですね」


俺たちの様子を見ていた神官がそんなことを言った。


優しいとは違うよな、ただのロリコンだし。幼女を大切にするのは当たり前だ。


「では、転職の儀を始めます。説明は要りますか?」


「ああ頼む」


「転職の儀では、転職希望者の血を鏡面につけることで始まります。すると今職の名前が中央に、なれる職業が周囲に現れます。その中からなりたい職業を選べば転職ができます」


「わかった。ありがとう」


「転職代は転職後に頂きますが、お持ちですか? 1000エソです」


「ああ持っている」


俺は金貨を見せる。


「では始めてください」



渡された針で右手の人差し指の先を軽く突き、出てきた血を鏡面につける。


すると鏡に映った鏡像が暗くなり、夜の窓ガラスを室内から見たような感じになった。


俺の姿は見えず、離れているクロネとノロは見える。


鏡の向こうから白い光の粒子ようなものがやってきて、鏡面で文字の形になった。


俺が手を置いてる位置——鏡の中央に《ロリコン》

その周りに《村人》《魔法使い》《ソーサラー》の文字。


「ロリコン? 聞いたことのない職業ですね」


神官が鏡面を見て、そんなことを言った。


え⁉︎ これ見えてるの?


「ロリコンってどんな職業なんですか? どうやってなったんですか?」


興味津々といった様子で聞いてくる。


(あれ、ロリコンの意味を知らない?)


考えてみれば当然だった。だってロリコンの語源であるロリータは、前世のロシアの小説のタイトルなんだから。


でも、神聖文字(ヒエロロフィオ)って意味がなんとなく分かるんじゃなかったっけ? 読めるだけだったっけか。


「なんとなくわかったりしないのか?」


「神聖文字は、知っている言葉だけしか意味を察することはできませんよ」


おお、そうなのか。


助かったぜ……


「どういう職業か実はよくわかっていなくてな。得体がしれないから、早く転職したいんだ」


と、適当に嘘をついて説明から逃げ、鏡面に意識を戻す。


「一旦手を離して、なりたい職業に触れてください。就きたいと強く念じれば転職が完了します」


説明に従い一旦手を離す。


そして《ソーサラー》の文字へと手を伸ばして——


「「え⁉︎」」


神官と俺の驚いた声が重なる。


手を動かすと《ロリコン》の文字が追ってくるのだ。


《ソーサラー》を選ぼうとしても、手前に《ロリコン》が来て選べない。


「どうなってるんだ?」


俺は何としても《ソーサラー》に触れようと、下ろしていた左手を鏡面に触れさせる。


「はぁ⁉︎」


すると、《ロリコン》が二つに増え、《ソーサラー》の前に滑り込んできた。


「くっ! 斯くなる上は!」


ギリギリまで《ソーサラー》に近づき、素早く親指で(﹅﹅﹅)《ソーサラー》に触れる!


《ロリコン》が三つに増えた。


その後自棄になってすべての指を使った結果。



《ロリコン》《ロリコン》《村人》《ロリコン》《ロリコン》《ロリコン》《ソーサラー》《ロリコン》《魔法使い》《ロリコン》《ロリコン》《ロリコン》《ロリコン》


選べる職業四種類のうち、十個がロリコンになった。


もうやだ……

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