第36話「コボルト」
つい最近変えたばかりのボールペンの替え芯を買いました。
残りを気にせず使えていいですよ
ヨマワモルの森に葉脈のように広がる道をクロネと二人で歩いていく。
ところどころに行き止まりがあり、まるで自然の迷路のようだ。
すでに道は覚えていないからクロネだけが頼りだ。
ほんと、頼りになる仲間だ。
その上かわいい。
「クロネにはほんとに感謝してるよ、ありがとう」
「? こちらこそです」
感謝は、口に出さないと分からないから、ちゃんと口に出して伝える。
「この辺りにいるはずだ……いたな」
気配察知のおかげで魔物を探し回るという無駄な労力が必要ない。
「スライムか……。クロネちょっと戦ってみてくれ」
「はいっ」
返事を返して、クロネがスライムに迫る。
「えいっ」
可愛らしい掛け声とともに右手のダガーナイフがスライムに入る。
しかしダガーナイフが中ほどで止まる。
力不足だ。
「クロネ、引き抜けなさそうなら退がれ!」
「はいっ」
予想して駆け出していた俺は、クロネと入れ替わりにスライムを斬る。
スライムは倒れ、後に野球ボールくらいのプルプルしたものが残った。
「これは……スライムのドロップ品か?」
思い当たる節があって、ネウスに任されたクエストを見ると、スライムの討伐依頼の達成条件としてスライムゼリーの納品があった。
「どれくらいの確率で落ちるかだな。クロネ、次へ行こう」
その後、何十体かスライムを倒すとレベルが上がった。
『ロリコンのレベルが上がったのです』
新しい街に来て、気分で変えた口調がようやく聞けたな。
「クロネはレベル上がったか?」
「ううん。まだです」
やっぱりトドメを刺さないと経験値が入らないのだろうか。
そう思っていると、もう十体ほど倒した時にクロネが声を上げた。
「あ! レベル上がりましたよ」
「おお、やっぱり共闘でもいいみたいだな」
クロネのレベルアップが遅れたのは、俺にラストアタックボーナスがあったか、奴隷の必要経験値が多かったかだ。
「それにしてもスライムばっかりだな」
「ですね。コボルトはどこにいるんでしょうか?」
見かけないからといって、それがいないわけではなく、何か事件があったと考えるのは小説の読みすぎだ。
でも、さすがに何十体も連続でスライムというのは、おかしい。
これは事件の香りがするぞ!
と、思っていると、人間の腰くらいの背丈の、狼っぽい顔つきの魔物が現れた。
「あ、何か出てきました。多分コボルトですね」
「う、噂をすればというやつだな」
事件ではなかったようだ。
この香りは、コボルトの匂いだったわけだな(汗)
俺がコボルトを足止めして、クロネに攻撃をさせた。
その後、時々コボルトが出てくるようになった。
コボルトは、力が強かった。
ゴブリンは速さ、スライムは耐久力、コボルトは攻撃力があり、こいつらが雑魚でも一般人が勝てない理由となっているようだ。
スライムとコボルトを狩っているうちに、スライムゼリーは六十個、コボルトの討伐を証明する部位であるコボルトの牙は四十個溜まった。
小休憩を挟みながらも四時間ほど戦い、二人ともレベル11になったころ、クロネに疲れが見え始めたから、ちゃんとした休憩に入る。
「帰りは出会ったら倒す感じで、積極的に狩るのはよそう」
「わかりました。ご主人様なら気配察知で魔物を避けられるんじゃないですか?」
「それもそうだな。一応やってみるか」
魔物に出会いたくない事態が起きた時のためにも、そういう使い方を練習しておくべきだな。
クロネの案内で極力最短ルートを通り、気配を感じた時は回り道をして、最後まで一度も魔物に出会わずに町に戻った。
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